Association of Glucose-Lowering Medications With Cardiovascular Outcomes: An Umbrella Review and Evidence Map
Jianhong Zhu et al.
Lancet Diabetes Endocrinol. Mar 2020
PMID: 32006518
DOI: 10.1016/S2213-8587(19)30422-X
Funding: None
背景
糖尿病および関連する心血管疾患の世界的な負担を考慮すると、利用可能な最良の証拠に基づいた最良の治療法が緊急に必要である。
グルコース低下薬と広範な心血管転帰との関連を調べ、これらの関連の証拠の強度を評価した。
方法
包括的レビューのために、PubMed、Embase、およびCochrane Libraryを検索して、グルコース低下薬の心血管安全性を調べるランダム化比較試験の体系的レビューとメタ分析を特定した。
検査された心血管転帰には、主要かつ有害な心血管イベント、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、心不全、不安定狭心症、および心房細動が含まれた。
各メタ分析について、相対リスク(RR)と95%CIを推定した。 また、各介入のもっともらしい利点または害、および証拠の確実性を示す証拠マップを作成した。
調査結果
・10種類の糖尿病薬を評価したメタ分析232件を調査した。
・6つのリスクと38の保護協会を特定し、高い証拠を示した。
・次の薬剤を6つの関連は心血管リスクを増加させた。
★グリメピリド:脳卒中 RR = 2.01; 95%CI 1.02-3.98
★ロシグリタゾン:心筋梗塞 RR = 1.28; 1.02-1.62、心不全 RR = 1.72、1.31-2.27
★ピオグリタゾン:心不全 RR = 1.40; 1.16-1.69
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・38件の関連性により、クラスとしてのグルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト(GLP-1RA)を含む心血管疾患のリスクが減少した。
★主要な有害心血管イベント RR = 0.88; 95%CI 0.84-0.92
★心血管疾患による死亡 RR = 0.87; 0.81-0.94
★心筋梗塞 RR = 0.92; 0.86-0.99
★脳卒中 RR = 0.84; 0.77-0.93
★心不全 RR = 0.90 ; 0.83-0.99
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- アルビグルチド(MACEイベント:RR = 081; 0.68-0.96、心筋梗塞 RR = 0.77; 0.64-0.92、心不全 RR = 0.71; 0.55-0.93)
- デュラグルチド(脳卒中 RR = 0.78; 0.64-0.96)
- エキセナチド(主要な心血管有害事象 RR = 0.91; 0.83-1.00)
- リラグルチド(主要な有害心血管イベント RR = 0.86; 0.77-0.96)
- セマグルチド(主要な有害心血管イベント RR = 0.76; 0.62-0.92、脳卒中 RR = 0.67; 0.45-1.00)、クラスとしてのナトリウム-グルコース共輸送体-2阻害剤(SGLT2i、主要な有害な心血管イベント RR = 0.87; 0.82-0.93)、心血管疾患による死亡 RR = 0.82 ; 0.75-0.90、心筋梗塞 RR = 0.86; 0.78-0.94、心不全 RR = 0.68; 0.63-0.73)
- カナグリフロジン(MACEイベント RR = 0.84; 0.75-0.93]、心血管疾患による死亡 RR = 0.82; 0.71-0.96]、心不全 RR = 0.65; 0.54-0.78)
- ダパグリフロジン(心不全 RR = 0.70; 0.60-0.82)
- エンパグリフロジン(MACEイベント RR = 0.85; 0.77-0.94、心血管死 RR = 0.62; 0.50-0.78、心不全 RR = 0.64; 0.53-0.77)
- ピオグリタゾン(主要な心血管有害事象 RR = 0.84; 0.74-0.96、心筋梗塞 RR = 0.80; 0.67-0.95、脳卒中 RR = 0.79; 0.65-0.95)。
結果の解釈
糖尿病薬と心血管転帰との関連については、さまざまなレベルの証拠が見つかった。
心血管疾患リスクを高める薬もあれば、有益な薬も認められた。
コメント
経口血糖降下薬のアンブレラレビュー。グリメピリドは脳卒中リスク増加、ロシグリタゾンは心筋梗塞と心不全リスク増加、ピオグリタゾンは心不全リスク増加がみとめられた。
一方、心血管イベントにおいて益が大きい薬剤クラスは、GLP-1RAとSGLT2i。過去の大規模研究の結果と変わらない。
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