ループ利尿薬はどれが良さそうですか?(文献まとめ; ブログ管理者によるナラティブレビュー)

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【最終更新:2020.March.15th】

ラシックス®️ vs. ルプラック®️

文献 1:Meta-Analysis Comparing Torsemide Versus Furosemide in Patients With Heart Failure.

・試験デザイン:メタ解析

・対象患者:心不全患者

・サンプルサイズ:19,280例(RCT9件、観察研究10件)

・追跡期間:平均15ヵ月

・結果:

①トラセミド(トルセミド)は、フロセミドと比較して、心不全による入院リスクが低い傾向にあった(10.6% vs. 18.4%; オッズ比[OR] =0.72、95%信頼区間[CI] 0.51-1.03、p =0.07、I2 =18%; NNT =23)。

②トルセミドは、フロセミドと比較して、NYHAクラスIII/IV から I/IIへの機能状態の改善と関連していた(72.5% vs. 58%; OR =2.32、95%CI 1.32-4.10、p =0.004、 I2 =27%; NNT =5)。

③トルセミドは、フロセミドと比較して、心死亡リスクが低かった(1.5% vs. 4.4%; OR =0.37、95%CI 0.20-0.66)、p <0.001、I2 =0%、NNT =40) 。

④両群間で全死亡率または薬剤使用による副作用に差は認められなかった。

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文献2:Torasemide in chronic heart failure: results of the TORIC study

・試験デザイン:オープンラベル、市販後調査委(第4相)、スペインの231施設

・対象患者:慢性心不全患者

・サンプルサイズ:2,303例

・追跡期間:平均9.2ヵ月

・結果:

①死亡率:トラセミド(n = 17、2.2%) vs. フロセミド/他の利尿薬群(n = 27、4.5%)、P <0.05

②NYHAクラス分類における機能改善:トラセミド(n = 356、45.8%) vs. フロセミド/他の利尿薬(n=223、37.2%)、P = 0.00017

③低カリウム血症(血清):トラセミド(n = 95、12.9%) vs. フロセミド/他の利尿薬患者(n = 102、17.9%)、P = 0.013

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文献3:Torasemide vs. furosemide in primary care patients with chronic heart failure NYHA II to IV–efficacy and quality of life.

・試験デザイン:オープンラベル、ランダム化

・対象患者:慢性心不全患者(NYHA Ⅱ〜Ⅳ)

・サンプルサイズ:237例

・追跡期間:9ヵ月

・結果:

①NYHAクラス分類:改善傾向はトラセミドのみで有意(P = 0.014)、フロセミドでは有意ではなかった。

②CHFによる有害事象と入院:両群で差がなかった。

③忍容性(P = 0.0001)、毎日の血行動態の改善(P = 0.0002):利尿摂取後3、6、および12時間(すべての時点でP <0.001)および排尿の緊急性(P <0.0001)については両群で差がなかった。

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ラシックス®️ vs. ダイアート®️

J-MERODIC study

・試験デザイン:オープン、ランダム化

・対象患者:慢性心不全患者(NYHA Ⅱ or Ⅲ)

・サンプルサイズ:320例

・追跡期間:35.2ヵ月

・結果:

①主要評価項目(心血管死またはうっ血性心不全による予定外の入院の複合):アゾセミド群で23例、フロセミド群で34例に発生(ハザード比[HR] 0.55、95%信頼区間[CI]0.32〜0.95:P=0.03)。

②副次評価項目のうち、うっ血性心不全による予定外の入院や心不全に対する治療法の変更の必要性も、アゾセミド群はフロセミド群に比べて減少(HR 0.60、95%CI 0.36〜0.99:P=0.048)。

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ランダム化比較試験の事後解析

・試験デザイン:ランダム化試験の事後解析(PSマッチング)

・対象患者:LVEFが低下した慢性心不全患者(NYHA Ⅱ〜Ⅲ)

・サンプルサイズ:108例

・追跡期間:5.22年

・結果:

①患者108例のうち24例で心臓死イベントが発生した。

②多変量Cox回帰分析(年齢、β遮断薬以外の治療、CSNAの低下を調整):フロセミド投与は心臓死イベントの独立した予測因子だった(ハザード比2.624、95%信頼区間1.074~6.047、p=0.034)。

③Kaplan-Meier解析:アゾセミド投与群の無心臓死率はフロセミド投与群よりも有意に高かった(p<0.05)。

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ラシックス®️ vs. ルネトロン®️

・質の低い研究が2件あった。試験デザインに問題があり、結果の解釈が困難であることから掲載を見送った。

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