The Effect of Advance Care Planning on Heart Failure: A Systematic Review and Meta-analysis
Markus Schichtel et al.
J Gen Intern Med.2019
PMID: 31720968
DOI: 10.1007/s11606-019-05482-w
Keywords: advance care planning; effect; heart failure; meta-analysis; outcomes; palliative care; systematic review.
背景
心不全に苦しむ患者の終末期ケアのアウトカムを改善するために、事前ケア計画が広く提唱されている。しかし、これまでは、臨床結果に対する事前ケア計画(ACP)の影響に関する体系的な評価はなかった。本試験の目的は、ランダム化比較試験(RCT)のメタ分析を通じて心不全におけるACPの効果を決定することだった。
方法
CINAHL、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Database of Systematic Reviews、Embase、ERIC、Ovid MEDLINE、Science Citation Index、PsycINFOを検索した(2018年7月開始)。
病院、ホスピスまたは地域社会で治療された心不全の成人患者を含むRCTを選択した。
3人のレビューアが独立して研究をスクリーニングし、データを抽出し、バイアスのリスク(コクランバイアスのバイアスツール使用)を評価し、エビデンスの質(GRADEツール)を評価し、介入記述と複製のテンプレート(TIDieR)に従って介入効果を分析した。
一般的な逆分散法を使用して、プール効果のランダム効果モデルで標準化平均差(SMD)を計算した。
結果
・2,924人を含むRCT14件がすべての選択基準を満たした。 心不全に苦しむ患者の生活の質(SMD =0.38; 95%CI [0.09〜0.68])、終末期ケアに対する満足度(SMD =0.39; 95%CI [0.14〜0.64] ])および終末期コミュニケーションの質(SMD =0.29; 95%CI [0.17〜0.42])についてはACPに有利な中程度の効果があった。
・ACPは、患者における病気経過の重要なマイルストーンで導入され、家族およびフォローアップの予約が含まれ、民族の選好が考慮された場合に最も効果的であると思われた。
・いくつかの感度分析により、統計的に有意な効果の方向が確認された。
・異質性は、主に異なる研究設定、追跡期間の長さ、ACPの組成によるものだった。
結論
ACPは、心不全に苦しむ患者の生活の質、終末期ケアに対する患者の満足度、および終末期のコミュニケーションの質を改善し、重要なタイミング、フォローアップ、その他のものの関与が考慮された。
コメント
アブストのみ。
近年、日本でもACPを聞くことが増えました。簡単に説明すると、自己意思決定が出来なくなるような状況に備え、想定された状況に対して事前に考えておき、周囲と話し、その記録を残しておこうという取り組みです。
厚生労働省が8〜10年前くらいから調査をし、経過を報告しています。
さて、RCTのSR&MAを検証した結果、心不全患者における生活の質はもちろんのこと、終末期患者におけるケア満足度、終末期におけるコミュニケーションの質が改善していました。
今のところは、少なくとも心不全患者に対してはACP実施の有効性は得られそうですね。
置かれた状況や心境により心不全患者の考えは刻一刻と変化すると思います。ACPは完成して終わり、というものではなく定期的に見直したほうが良いのではないかと個人的には考えています。
コメント
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