心房細動患者における減酒効果はどのくらいですか?(Open-RCT; NEJM 2019)

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Alcohol Abstinence in Drinkers With Atrial Fibrillation

Aleksandr Voskoboinik et al.

N Engl J Med.2020

Funded by the Government of Victoria Operational Infrastructure Support Program and others

Australian New Zealand Clinical Trials Registry number, ACTRN12616000256471.

PMID: 31893513

DOI: 10.1056/NEJMoa1817591

背景

過度のアルコール消費は、偶発的な心房細動と有害な心房リモデリングに関連している。ただし、心房細動の二次予防に対する減酒の影響は不明である。

方法

オーストラリアの6つの病院で、多施設、前向き、非盲検、ランダム化、対照試験を実施した。

1週間に10杯以上の標準飲料(1杯の標準飲料の定義:約12 gの純粋なアルコールを含む)を消費し、ベースラインの洞調律で発作性または持続性心房細動のある成人は、アルコールを控えるか、通常のアルコール消費を続けるか、のどちらかに1:1の比率でランダム割付された。

2つの主要エンドポイントは、6ヵ月の追跡期間中の心房細動の再発のないこと(2週間の「ブランク期間」後)および心房細動の総負荷(心房細動の時間の割合)だった。

結果

・ランダム化を受けた140人の患者(85%の男性、平均[±SD]年齢、62±9歳)のうち、70人が減酒グループに、70人が対照グループに割り当てられた。

・減酒グループの患者は、アルコール摂取量を16.8±7.7から週に2.1±3.7標準飲酒に減らし(87.5%減)、対照群の患者は、アルコール摂取を週に16.4±6.9から13.2±6.5に減らした(19.5%減)。

・2週間のブランク期間の後、減酒グループでは37/70例(53%)、対照グループでは51/70例(73%)に心房細動が再発した。

・減酒グループは、対照グループよりも心房細動の再発までの期間が長かった(ハザード比 =0.55、95%信頼区間 0.36〜0.84、P = 0.005)。

・6ヵ月間の追跡における心房細動の負荷は、減酒グループの方が対照グループよりも有意に低かった。

★心房細動の時間の中央値 0.5%[四分位範囲 0.0〜3.0] vs. 1.2%[四分位範囲 0.0〜10.3]; P = 0.01

結論

減酒により、心房細動の常飲者の不整脈再発が減少した。

コメント

アブストのみ。

過去のレジストリ研究によれば、心房細動のトリガー因子として、アルコール(35%)、カフェイン(28%)、運動(23%)、そして睡眠不足(21%)が報告されています。

https://pharmacyebmrozero.com/2019/02/18/発作性心房細動のトリガーは何ですか?(heart-rhysm-2019)/

今回の研究では、トリガー因子として一番リスクが高そうなアルコールについての介入。

オープンラベルな部分は残念ですが、なかなかアルコールに対するプラセボは難しいので致し方ないかもしれませんね。バイアスの影響は多分にありそうですが、なんといっても前向き研究として実施しただけでも価値が高いと思います。

さて結果としては、飲酒量を87.5%(絶対差で68%)減らすことにより、心房細動の再発を絶対差で20%減少しました。なんとNNTは5!!やはりオープンラベルと例数が関係してそう。やや結果が過大評価されてますね。

それでも減酒による心房細動再発リスクの低下効果は間違いなさそう。

続報に期待。

✅まとめ✅ 週に120g飲酒する心房細動患者では減酒すると心房細動の再発リスクが低下する

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