2型糖尿病患者におけるインスリン分泌促進薬は心筋梗塞や死亡リスクを増加させますか?(デンマーク人口ベース研究; Eur Heart J. 2011)

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Mortality and cardiovascular risk associated with different insulin secretagogues compared with metformin in type 2 diabetes, with or without a previous myocardial infarction: a nationwide study.

Schramm TK et al.

Eur Heart J. 2011 Aug;32(15):1900-8.

doi: 10.1093/eurheartj/ehr077. Epub 2011 Apr 6.

PMID: 21471135

背景

2型糖尿病の長期の主要な臨床アウトカムに対するインスリン分泌促進薬(insulin secretagogues; IS)の影響は不明のままである。全国的な研究で、メトホルミンと比較して、利用可能なすべてのISに関連する死亡率と心血管リスクを調べた。

方法

1997年から2006年の間にIS単剤またはメトホルミンを開始した20歳以上のデンマーク居住者について、全国的レジスターの個人レベルでの追跡は最大9年間(中央値3.3年)続いた。

総死亡率、心血管死亡、および個々のISに関連する心筋梗塞、脳卒中、および心血管死亡の複合は、傾向分析を含む多変数Cox比例ハザード分析により、心筋梗塞既往の有無にかかわらず調査された。

結果

・合計107,806人の参加者が含まれ、そのうち9,607人は心筋梗塞既往だった。

・心筋梗塞の既往のない患者では、メトホルミンと比較して、グリメピリド(ハザード比および95%信頼区間):1.32(1.24〜1.40)、グリベンクラミド:1.19(1.11〜1.28)、Glipizide:1.27(1.17〜1.38)、およびトルブタミド:1.28(1.17〜1.39)使用により総死亡リスクの増加に関連していた。

・心筋梗塞既往のある患者での結果は次のとおりだった。

グリメピリド:1.30(1.11〜1.44)

グリベンクラミド:1.47(1.22〜1.76)

Glipizide:1.53(1.23〜1.89)

トルブタミド:1.47(1.17〜1.84)

・グリクラジド[1.05(0.94〜1.16)、0.90(0.68〜1.20)]およびレパグリニド[0.97(0.81〜1.15)、1.29(0.86〜1.94)]使用の結果では、心筋梗塞既往の有無にかかわらず、メトホルミン使用と比較して統計的な差は認められなかった。結果は、心血管死亡率と複合エンドポイントで同様だった。

結論

グリメピリド、グリベンクラミド、Glipizide、トルブタミドなど、最も使用されているIS単独療法は、メトホルミンと比較して死亡率と心血管リスクの増加に関連しているようであった。グリクラジドとレパグリニドは、他のISよりもリスクが低い可能性があった。

コメント

アブストのみ。

経口インスリン分泌促進薬の使用は、メトホルミン使用と比較して、心筋梗塞および総死亡リスク増加と関連していた。グリメピリド(アマリール®️)、グリベンクラミド(ダオニール®️、オイグルコン®️)、Glipizide、トルブタミド(ヘキストラスチノン®️; 2015年販売中止)ではリスク増加が認められた。おそらく低血糖に起因するグルコース・スパイクに起因していると考えられます。

一方、グリクラジド(グリミクロン®️)およびレパグリニド(シュアポスト®️)使用については、メトホルミン(メトグルコ®️)使用とリスク増加は変わらなかった。ただし複合エンドポイントについては、レパグリニドで増加傾向であった。

今日の治療において、インスリン分泌促進薬単剤での治療はなかなか無いと思います。あったとしてもDPP-4阻害薬(本論文発表時には未発売)やメトグルコ®️が多いと思います。スルホニル尿素に比べて、低血糖イベントの少ないグリニドにおいてリスク増加の可能性が示唆された点は気になるところ。

他の論文も読んでみようと思います。

✅まとめ✅ メトホルミンと比較してインスリン分泌促進薬の使用は心筋梗塞や総死亡リスクを増加させるかもしれない

参考文献

1: Schramm TK, Gislason GH, Vaag A, Rasmussen JN, Folke F, Hansen ML, Fosbøl EL, Køber L, Norgaard ML, Madsen M, Hansen PR, Torp-Pedersen C. Mortality and cardiovascular risk associated with different insulin secretagogues compared with metformin in type 2 diabetes, with or without a previous myocardial infarction: a nationwide study. Eur Heart J. 2011 Aug;32(15):1900-8. doi: 10.1093/eurheartj/ehr077. Epub 2011 Apr 6. Erratum in: Eur Heart J. 2012 May;33(10):1183. PubMed PMID: 21471135.

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