ラシックス®️とルプラック®️ ループ利尿薬の併用は有効ですか?(単施設コホート研究; Int Heart J. 2018)
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Can Torsemide and Combination of Loop Diuretics Improve Mortality in Patients with Chronic Heart Failure After Discharge?
Yao Y, et al.
Int Heart J. 2018.
PMID: 29877310
本研究の目的は慢性心不全(HF)患者における現代診療におけるトルセミドとループ利尿薬(フロセミド+トルセミド)の組み合わせによる死亡率への影響を調査することだった。
【研究の目的】
【方法】
本研究ではFuwaiの心不全センターに入院していたHF患者を調査した。 対象は2009年から2013年に退院する際、フロセミド、トルセミド、または両薬剤を使用していた患者。 利尿薬戦略のランダムでない選択を説明するために逆確率重み付け(inverse probability weighting, IPW)を使用して、異なる利尿薬治療と死亡率との関連性を評価した。【結果】
・956例のうち、フロセミド群は19.7%(n = 188)、トルセミド群は36.6%(n = 350)、併用群は43.7%(n = 418)だった。 ・トルセミド治療および併用治療を受けた患者では、心機能が悪化し、フロセミド相当量が高かった。 ・単変量コックス比例ハザードモデルでは、併用群において、より転帰の悪化が示唆された。 総死亡のHR = 2.044, 95%CI 1.206〜3.465, P = 0.008 心血管死亡のHR = 1.988, 95%CI 1.171〜3.374, P = 0.011 ・一方、トルセミド群では、転帰との関連性がフロセミドと同様であった。 総死亡のHR = 1.640, P = 0.078 心血管死亡のHR = 1.509, P = 0.147 ・IPW後、トルセミドはフロセミドと比較して名目上低い死亡率と関連し(総死亡のHR = 0.738, P = 0.222; 心血管死亡のHR = 0.667, P = 0.110)、併用療法と死亡率の増加との関連はもはや統計的に有意ではなかった。 ・またトルセミドおよび併用治療がフロセミドと比較した場合に同様の結果をもたらすことを見出した。 総死亡のHR = 1.207, P = 0.470 心血管死亡のHR = 1.174, P = 0.540【結論】
異なる利尿薬治療を用いて死亡率に対する影響を検討したランダム化臨床試験(RCT)はない。したがってランダム化の前向き試験は慢性HFにおける異なる利尿薬戦略の影響を調査するために必要である。【コメント】
アブストのみ。 ループ系利尿薬の併用をよく目にする。根拠としてのデータがあるのか気になり検索し本論文を見つけた。さて、単施設コホート研究の結果から、ループ系利尿薬を併用している群で死亡リスクの増加が示唆された。しかし、フロセミド換算量増加との相関性から、そもそも全身状態の悪い、あるいはループ抵抗性など治療効果の乏しい患者が多かった可能性は充分に考えられる。
なぜループ系利尿薬同士を併用するのか、については疑問が残ったままだが、本試験結果のみで、ループ系利尿薬併用の是非までは問えない。
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