Randomized controlled trial
Funding: F. Hoffmann-La Roche/Genentech
ClinicalTrials.gov number, NCT02425891
【背景】
切除不能な局所進行性または転移性のトリプルネガティブ(ホルモン受容体ネガティブおよびヒト上皮成長因子受容体2 [HER2]ネガティブ)乳がんは、転帰不良の攻撃的な疾患である。
ナノ粒子アルブミン結合(Nanoparticle albumin-bound, nab) – パクリタキセルはアテゾリズマブの抗癌活性を増強するかもしれない。
【方法】
本第3相試験では、未治療の転移性トリプルネガティブ乳がん患者が対象となった。
試験参加者(患者)はアテゾリズマブとnab-パクリタキセル、またはプラセボとnab-パクリタキセルへランダムに(1:1)割り当てられた。
患者は、疾患の進行または許容できないレベルの薬剤誘発性の毒性が生じるまで介入を続けた。
層別化因子は、ネオアジュバントまたはアジュバントタキサン療法経験の有無、ベースラインにおける肝転移の有無、およびベースラインでのプログラムされたデスリガンド1(programmed death ligand 1, PD-L1)の発現(陽性 vs. 陰性)であった。
2つの主要評価項目は、無増悪生存期間(治療意図のある集団およびPD-L1陽性サブグループにおける)および全生存期間(治療意図のあるITT集団において試験された。 PD-L1陽性サブグループで試験実施)だった。
【結果】
・各グループには451人の患者が含まれていた(追跡期間中央値 12.9ヶ月)。
・ITT解析において、無増悪生存期間の中央値はアテゾリズマブとnab-パクリタキセルの併用で7.2カ月であったのに対し、プラセボとナブパクリタキセルの併用で5.5カ月だった。
・進行または死亡のハザード比 0.80; 95%信頼区間CI 0.69〜0.92; P=0.002
・PD-L1陽性腫瘍患者の無増悪生存期間の中央値はそれぞれ7.5ヵ月および5.0ヵ月であった。
ハザード比 0.62; 95%CI 0.49〜0.78; P <0.001
・ITT分析において、全生存期間中央値はアテゾリズマブ+nab- パクリタキセルで21.3ヶ月、プラセボ+nab- パクリタキセルで17.6ヶ月であった。
死亡のハザード比 0.84, 95%CI 0.69〜1.02; P =0.08
・PD-L1陽性腫瘍を有する患者では、全生存期間中央値はそれぞれ25.0ヶ月および15.5ヶ月であった。
ハザード比 0.62, 95%CI 0.45〜0.86
・新たな有害作用は確認されていません。 任意の薬剤の中止につながった有害事象は、アテゾリズマブ+nab- パクリタキセルを投与された患者の15.9%、およびプラセボ+nab – パクリタキセルを投与された患者の8.2%で発生しました。
【結論】
アテゾリズマブとnab- パクリタキセルを併用すると、ITT集団およびPD-L1陽性のサブグループの両方において、転移性トリプルネガティブ乳がん患者の無増悪生存期間が延長した。 有害事象は各薬剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。
【コメント】
アブストのみ。
2019年7月の日本において、アテゾリズマブ (ヒト型抗ヒトProgrammed Death-Ligand 1モノクローナル抗体; 抗PD-L1抗体; テセントリク®️)の適応症は非小細胞肺がんのみ。
さて、本研究の結果 nab-パクリタキセル(アブラキサン®️)単独治療よりも、テセントリク®️との併用で、PD-L1陽性のトリプルネガティブ進行性乳がん患者の全生存期間(Overall Survival, OS)の延長が認められた。
PD-L1を測定した方が良いのは誰か?検討したいですね。
]]>
コメント