心房細動患者においてカテーテルアブレーションと抗不整脈薬はどちらが優れていますか?(Open-RCT; CABANA trial; JAMA 2019)

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Effect of Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy on Mortality, Stroke, Bleeding, and Cardiac Arrest Among Patients With Atrial Fibrillation: The CABANA Randomized Clinical Trial.

Packer DL, et al.
JAMA. 2019.
Trial Registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00911508.
PMID: 30874766

【試験の重要性】

カテーテルアブレーションは、心房細動(AF)の洞調律の回復に効果的だが、長期死亡率と脳卒中リスクへの影響は不明である。

【試験の目的】

AFのアウトカムを改善するためにカテーテルアブレーションが従来の内科的治療よりも有効であるかどうかを決定すること。

【デザイン、設定、および参加者】

心房細動に対するカテーテルアブレーションと抗不整脈薬治療の比較試験は、10カ国126施設を対象とした、治験担当医師による非盲検の多施設共同ランダム化試験である。 2009年11月から2016年4月までに、65歳以上あるいは、65歳以下かつ脳卒中リスク因子を一つ以上有する症候性心房細動の患者2,204人が登録され、追跡調査は2017年12月31日まで行われた。

【介入】

カテーテルアブレーショングループ(n =1,108)は、現地の研究者の裁量で追加のアブレーション処置を行い、肺静脈隔離術を受けた。 薬物療法群(n =1,096)は、同時期の診療ガイドラインに従って、標準的なリズム薬および/または心拍数制御薬を投与された。

【主要アウトカムと測定】

主な評価項目は、死亡、脳卒中、重度の出血、心停止の複合であった。 13の副次的評価項目のうち3つ(総死亡率、心血管イベントによる入院、AF再発)がこの報告書に含まれた。

【結果】

・ランダム化された患者2,204人(年齢中央値、68歳; 37.2%の女性; 42.9%が発作性AF、57.1%が持続性AF)のうち、89.3%が治験を完了した。 — ・カテーテルアブレーションに割り当てられた患者のうち、1,006人(90.8%)が手術を受けた。 — ・薬物療法に割り当てられた患者のうち、301人(27.5%)が最終的にカテーテルアブレーションを受けた。 — ・ITT分析では、中央値48.5ヵ月の追跡期間にわたって、主要評価項目はアブレーション群の8.0%(n = 89)に対して、薬物治療群の患者の9.2%(n = 101)で発生した。 ハザード比[HR] =0.86 [95%CI 0.65〜1.15]; P =0.30 — ・副次的評価項目のうち、アブレーション群と薬物治療群のアウトカムは、全死亡率でそれぞれ5.2%と6.1%であった。 HR =0.85 [95%CI 0.60〜1.21]; P =0.38 — ・死亡または心血管入院:51.7% vs. 58.1% HR =0.83 [95%CI 0.74〜0.93]; P =0.001 — ・AF再発:49.9% vs. 69.5% HR =0.52 [95%CI 0.45〜0.60]; P <0.001 —

【結論と関連性】

AF患者において、カテーテルアブレーション戦略は、内科的治療と比較して、死亡に関する主要な複合エンドポイント、脳卒中、重度の出血、または心停止を有意に減少させることはなかった。 ただし、カテーテルアブレーションの推定治療効果は、予想よりも低いイベント率と治療のクロスオーバーの影響を受けていたため、試験結果を解釈する際に考慮する必要がある。

【コメント】

アブストのみ。
心房細動に対するカテーテルアブレーションの効果は、薬物治療と比較して主要アウトカム(死亡、脳卒中、重度の出血、心停止の複合)に差は認められなかった。HR =0.86(95%CI 0.65〜1.15; P =0.30, ITT analysis)
しかし著者も述べている通り、薬物治療群においてカテーテルアブレーションを実施した患者は27.5%もおり、ITT解析すると差が得られなくなったのも頷ける。
主論文は有料であるが、YouTubeのJAMA Networkチャンネルに解説がありました。
・On-treatment analysis(試験脱落者を除外し治験計画書に適合した対象例のみを解析)では、HR =0.67(95%CI 0.50〜0.89; P =0.006)
・Per-protocol analysis(試験脱落者を含め治験計画書に適合した対象例を解析)では、HR =0.73(95%CI 0.54〜0.99; P =0.046)
つまりカテーテルアブレーションを受けた患者の方が、薬物治療に比べて予後も含めて治療効果が大きそう。あくまで仮説生成的な解析だが、本試験においては患者および試験背景を考慮すると重要な知見である。
心房細動患者におけるカテーテルアブレーションと薬物療法とはどちらが優れているのか?というclinical questionについては、充分検討されてきたのではないでしょうか。しかもCABANA trialに参加した患者は、発作性心房細動が半分以下であり、群間差が認められにくい条件(薬物療法群についても同様)だった。
したがって今後は、CASTLE-AFのように心房細動に何らかの並存疾患を有している患者を対象とした臨床試験が求められるのではなかろうか。
Figure 1. JAMA Network channel より引用
Catheter Ablation vs Drug Therapy for Patients With Atrial Fibrillation: The CABANA Trial
Two reports in JAMA detail findings from the CABANA trial, a randomized, open-label trial comparing the effects of drug ...
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