Use of N-nitrosodimethylamine (NDMA) contaminated valsartan products and risk of cancer: Danish nationwide cohort study. Pottegård A et al. BMJ. 2018 Sep 12;362:k3851. doi: 10.1136/bmj.k3851. PMID: 30209057
目的
バルサルタン製品にコンタミしたN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)曝露に伴う癌リスクの迅速な評価を行うこと。試験デザイン
Nationwide cohort study.試験設定
個人レベルの処方薬使用、がん発生、および病院診断に関するデータが登録されているDanish health registriesを利用試験参加者
2005年1月1日~2012年1月1日と2017年6月30日の間に当該薬剤の使用を開始した癌の既往がない40歳以上のデンマーク人、5150人を対象とした。 試験参加者は、コホート組入れ1年後(lag time period)から追跡を開始し、がんアウトカム、死亡、転移、または試験期間の終了(2018年6月30日)まで追跡された。 NDMAへの曝露(曝露および累積バルサルタン曝露の事前定義されたカテゴリー)は、1年遅れ(one year lag)を適用しながら時変変数としてマッピングされた。アウトカムの測定
Cox回帰を用いて、NDMA曝露と非黒色腫皮膚がんを除く全てのがん発生との関連性について推定した。補足分析では、個々のがんリスクについて検討した。結果
最終コホートは5150人で構成され、中央値は4.6年であった。 合計で3,625人のコホート参加者が、NDMA非暴露者として7,344 person yearsに、3,450人の参加者がNDMA暴露として11,920 person yearsに寄与した。 NDMA曝露されていない参加者のうち104例、曝露された参加者のうち198例で癌と診断された。調整ハザード比( adjusted hazard ratio)は1.09(95%信頼区間CI 0.85〜1.41)であり、用量反応関係の証拠はなかった(P = 0.70)。 単一のがんアウトカムについては、大腸がん(HR =1.46, 95%CI 0.79〜2.73)および子宮癌(HR =1.81, 95%CI 0.55〜5.90)のリスク上昇が認められたが、幅広い信頼区間にはnull(つまり空の値)が含まれていました。結論
本結果では、NDMAで汚染されたバルサルタン使用者において、短期間使用による癌の全体的リスクが著しく増加したことを意味するものではない。しかし、長期にわたるがんリスクを評価するためには、単一のがんアウトカムについて不確実性が存続し、より長期のフォローアップが必要であるコメント
少し前にニュースで流れてきた医薬品への発がん物質混入。 本件をジェネリック医薬品への非難として使う方もいらっしゃるようですが、問題の本質を捉えていただきたいと思っています。つまり先発医薬品であっても充分に起こりうる問題なのです。 さて、発がんリスクについては当該薬剤服用によるリスクはそこまで大きくなかった(全てのがん HR =1.09)。一方、個々のがんアウトカムをみると大腸がん(HR =1.46)と子宮がん(HR =1.81)のハザード比が増加傾向であった。しかし著者も述べているように薬剤使用による発がんリスクについては長期の追跡が必用である。また発がん物質の他、発がんイニシエーターの作用も考慮しなければならず、薬剤短期使用による発がん作用との因果関係を示すのは難しい。 服薬期間を考慮しなければならないが、少なくとも現時点において当該薬剤の短期間の使用(4.6年)による発がんリスクは少なそうである。-Evidence never tells you what to do-
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