Efficacy of antibiotic prophylaxis in cystoscopy to prevent urinary tract infection: a systematic review and meta-analysis.
Garcia-Perdomo HA et al.
Int Braz J Urol. 2015
PMID: 26200530
私的背景
90歳代女性。血尿のため泌尿器科を受診。その際、膀胱鏡検査を実施し、クラビット®(一般名:レボフロキサシン塩酸塩)錠500 mg、1日1回朝食後、3日分が処方された。
膀胱及び尿検査に異常は認められなかった。
年齢や腎機能等を考慮しクラビット錠250 mgへの変更提案を行い採択された。しかし、そもそも膀胱鏡検査後に抗生剤はどの程度必要なのかという疑問がわいてきたため文献検索を行い、上記の文献を見つけることができた。文献では、膀胱鏡検査30~60分前に抗生剤の投与を行った論文が対象となったようだ。
結論
外来診療で膀胱鏡検査を受ける予定の患者に対し、尿路感染症および無症候性の細菌尿症を予防するための抗生物質使用を推奨しない(moderate evidence)。 しかし、統合された例数は1,500弱と少ない。また無症候性細菌尿症については、異質性I2=83%。本結果から少なくとも尿路感染症については、ルーティンな抗生剤投与は必須ではなさそう。
PICOT
P:膀胱鏡検査を受ける予定の18歳以上の男女(尿培養:陰性)
I :検査30~60分前の抗生剤投与(投与量やクラスの制限無し)
C:プラセボあるいは抗生剤以外の介入
O:primary — 抗生剤投与30日後の尿路感染症(尿培養で105>5 Colony Forming Unit/mL超を陽性と定義)+蓄尿症状
secondary — 無症候性の細菌性尿症(蓄尿症状のない尿培養陽性)
T:予後、最大6試験の統合、ランダム化比較試験のシステマティックレビュー&メタ解析(1980年1月1日~2013年12月31日)
批判的吟味
使用した文献データベースは何か?
Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、 Clinicaltrials.gov、conference abstracts、DARE and PROSPERO
検索語は?
Search strategy for medline via pubmed: (Cystoscopy [mh] OR Urethroscopy [tw] OR Urethrocystoscopy [tw] OR “flexible cystoscopy” [tw] OR “transurethral cystoscopy” [tw]) AND (“anti-infective agents, urinary” [mh] OR “antibiotic prophylaxis” [mh] OR “antibiotic” [tw] OR “antimicrobial prophylaxis” [tw]) AND (urinary tract infection [mh] OR bacteriuria [mh] OR pyuria [mh]) AND (randomized controlled trial [pt] OR controlled clinical trial [pt] OR randomized controlled trials [mh ] OR clinical trial [pt] OR “clinical trial” [tw]) Search strategy for EMBASE: (‘cystoscopy’/exp OR ‘urethroscopy’/exp OR urethrocystoscopy OR ‘flexible cystoscopy’ OR ‘transurethral cystoscopy’) AND (‘urinary tract antiinfective agent’/exp OR ‘antibiotic prophylaxis’/ exp OR ‘antibiotic agent’/exp OR ‘antimicrobial prophylaxis’) AND (‘urinary tract infection’/exp OR ‘pyuria’/exp) AND (‘randomized controlled trial’/exp OR ‘controlled clinical trial’/exp OR ‘clinical trial’/exp OR ‘clinical trial’) Search strategy for CENTRAL: (cystoscopy OR “urethroscopy” OR “urethrocystoscopy”:ti,ab,kw OR ¨flexible cystoscopy¨:ti,ab,kw OR “transurethral cystoscopy”:ti,ab,kw) AND (“anti-infective agents, urinary” OR “antibiotic prophylaxis” OR “antibiotic”:ti,ab,kw OR “antimicrobial prophylaxis”:ti,ab,kw) AND (¨urinary tract infection¨ OR bacteriuria OR pyuria) AND (¨randomized controlled trial¨:pt OR ¨controlled clinical trial¨:pt OR ¨randomized controlled trials¨ OR ¨clinical trial¨:pt OR “clinical trial”)
研究の種類は?
Randomized Clinical Trials(RCTs)
参考文献まで調べたか?
調べた。ハンドサーチ
個々の研究者に連絡を取ったか?
取った(contacted with authors about knowledge of published or unpublished articles)
出版されていない研究も探したか?
探した
同じ研究が複数報告されているか?
重複無し
英語以外で書かれた論文も探したか?
言語制限無し
研究は網羅的に集められたか?(出版バイアスは無いか?)
概ね集められているが、基準を満たせたのは94試験中7試験。最終的に統合されたのは5〜6試験
集められた研究の評価はどのように行われたか?(各研究の評価は妥当か?)
2人の研究者が独立して行い、意見が分かれたときは3人目が判断した
評価基準は明確か?(Risk of Biasの評価基準は?)
明確(Cochrane Collaboration’s toolを使用)
研究の異質性は検討されたか?
I2 統計量を用い検討されている
最終的に残った研究数は?
7件
結果は統合されたか?
統合された。基本的には fixed-effect modelを使
Funding sources/sponsors
記載なし
Conflict of interest
None declared.
結果は?
(本文 Figure 2より引用)
プライマリーアウトカム
尿路感染症
抗生剤 vs. 抗生剤以外の介入
リスク比Risk Ratio, RR =0.52(95%CI 0.31〜0.89)
リスク差Risk Difference, RD =-0.012(95%CI -0.023〜-0.002)
抗生剤 vs. 介入無し
RR =0.55(95%CI 0.32〜0.96)
RD =-0.012(95%CI -0.023〜-0.002)
セカンダリーアウトカム
無症候性の細菌性尿症
抗生剤 vs. 抗生剤以外の介入
リスク比Risk Ratio, RR =0.28(95%CI 0.20〜0.39)
リスク差Risk Difference, RD =-0.012(95%CI -0.023〜-0.002)
抗生剤 vs. 介入無し
RR =0.26(95%CI 0.18〜0.38)
RD =-0.012(95%CI -0.023〜-0.002)
コメント
最終的に残った研究数が10未満のためファンネル・プロットは無し。
尿路感染症については、抗生剤の予防投与は効果なさそうとのこと。抗生剤使用と非使用、あるいは抗生剤以外の介入を比較した場合のリスク差はほぼ無し(-0.012の差をどう捉えるかによる)。
しかし統合された例数およびイベント数が少ない。続報を待ちたい。
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