ACE阻害薬による咳嗽と血管浮腫はどのくらいですか?(Ann Intern Med. 1992)

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Cough and angioneurotic edema associated with angiotensin-converting enzyme inhibitor therapy. A review of the literature and pathophysiology.

Israili ZH et al.
Ann Intern Med. 1992 Aug 1;117(3):234-42.
PMID: 1616218

私的背景

古くから使用されているアンギオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting enzyme inhibitorACE-I)、そして比較的新しいアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensin receptor blockerARB)。ここの違いについて改めて検証していきたいと思いますまずは ACE-I使用で懸念される咳嗽と血管浮腫について調べてみました。

試験の目的

アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤に関連する咳および血管新生浮腫に関する利用可能な情報を検討する。

データソース

19661991までのすべての関連文献は、主にMEDLINEの検索と参考文献を用いて特定された

研究の選択

400以上の文献が特定された。罹患率またはメカニズムから薬剤関連が疑われる副作用またはその両方を含む 200文献が組み入れられた。

データ抽出および合成

ACE阻害剤誘発の発咳および血管浮腫の発生率および機序を含むすべての関連情報をレビューし対象とした。

結論

咳嗽は ACE阻害剤で治療した患者の 5%〜20で起こり、同じACE阻害剤または別の ACE阻害剤(咳嗽を誘発した薬剤とは別の同クラス薬)を再導入しても再発していた。これは女性でより共通して認められた。

ACE阻害剤の咳嗽誘発メカニズムは、プロスタグランジン、キニン(ブラジキニンなど)、またはサブスタンスP(気道 C線維に存在する神経伝達物質)の蓄積を伴う可能性がある。なぜならブラジキニンおよびサブスタンスPの両方が ACEによって分解される。

ACE阻害剤を中止した4日間の試験または他クラスの降圧剤の一時的な代替療法は安価かつ容易に ACE阻害剤が咳を引き起こしたかどうかを確認できる。従って別の ACE阻害剤への変更または(ACE阻害剤への)非ステロイド性抗炎症薬の追加療法はお勧めしない。

ACE阻害剤に関連する咳嗽の迅速な認識は、不必要な診断検査および治療を防ぐことができる。

血管浮腫について ACE阻害剤使用患者の 0.1%〜0.2で起こった。通常、血管浮腫は治療を開始してから数時間以内、または最大でも1週間以内に起こる。このメカニズムは、自己抗体、ブラジキニン、または免疫システムの補体を関与していると考えられる。治療にはまず気道を保護し、必要に応じてエピネフリン、抗ヒスタミン剤、コルチコステロイドを投与する。その後、別クラスの抗高血圧剤で治療を再開する。


コメント

アブストのみ。CQテーマが古いせいか、発表年数がやや古い論文しか見当たらなかった。最近の論文をご存知の方がいましたら是非教えてください!!

ACE-Iは咳嗽が多いという印象を持っていましたが、数字で見るとそこまで多くないという印象を受けました(520%)。血管性浮腫は 0.10.2%。ここは個々人で情報に対するインパクトが異なると思います。

また過去の報告では ARBより ACE-Iの方が心血管イベント等の抑制効果が優れているとの報告もあります。まずはACE-Iで治療して副作用が出る場合は、ACE-I以外の薬剤にする方がコスパが良いかもしれませんね。

✅まとめ✅ ACE阻害薬による咳嗽は5~20%、血管性浮腫は 0.1~0.2%

-Evidence never tells you what to do-




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