Cholesterol reduction yields clinical benefits: meta-analysis including recent trials.
Gould AL et al.
Clin Ther. 2007 May;29(5):778-794.
PMID: 17697899
利益相反
著者全員が Merkの社員
資金提供
Merck/Schering Plough
私的背景
前回に引き続き、コレステロール低下により恩恵を受けるのは誰か、探っていきます。
結論
コレステロール低下により CHD患者または CHDハイリスク患者において臨床的に有益であることが示唆された。 また非 CHD関連死亡が脂質低下と無関係であるという以前の報告を支持する結果であった。
PICOT
I : 脂質低下薬(ベザフィブラート、ゲムフィブロジル、スタチン、ナイアシン[ニコチン酸])
C: (脂質低下薬無し?)
O: 全死亡、冠動脈性心疾患(coronary heart disease:CHD)関連死亡、全 CHDイベント(致死性または非致死性心筋梗塞)および非 CHD関連死亡
T: 治療・予後、62試験の統合、システマティックレビュー&メタ解析、掲載期間は 1999〜2005年
批判的吟味
使用した文献データベースは何か?
MeSH key termsを使用しているため Pubmedであると考えれる。
検索語は?
①bezafibrate, ②coronary disease, ③efficacy, ④gemfibrozil, ⑤hydroxymethylglutaryl-CoA reductase inhibitors, ⑥hypercholesterolemia, ⑦niacin [nicotinic acids], ⑧randomized controlled trials, and ⑨treatment outcome
研究の種類は?
ランダム化比較試験
参考文献まで調べたか?
不明
個々の研究者に連絡を取ったか?
不明
出版されていない研究も探したか?
不明
同じ研究が複数報告されているか?
不明
英語以外で書かれた論文も探したか?
英語のみ
研究は網羅的に集められたか?(出版バイアスは無いか?)
不明
集められた研究の評価はどのように行われたか?(各研究の評価は妥当か?)
不明
評価基準は明確か?(Risk of Biasの評価基準は?)
不明
研究の異質性は検討されたか?
不明
最終的に残った研究数は?
62試験
結果は統合されたか?
統合された。解析モデルは不明
結果は?
全患者において、総コレステロールを 38.7 mg/dL下げる毎に全死亡のリスク比(Risk Ratio:RR)が 17.5%、CHD関連死 RR =24.5%、全 CHDイベント RR =29.5%低下した。
また低比重リポタンパクコレステロール(Low Density Lipoprotein-Cholesterol:LDL-C)38.7 mg/dL下げる毎に全死亡 RR =15.6%、CHD関連死 RR =28.0%、全 CHDイベント RR =26.6%低下した。
CHDを有さない患者においても同様であった。
脂質低下と非 CHD関連死亡リスクとの間に有意な関係は見られなかった。
ちなみに総コレステロール 1mmol/L =38.7 mg/dL(アブストに記載あり)。自分で確認したい方は、過去の記事↓で単位変換を取り上げましたのでご利用ください。
コメント
アブストのみ。
利益相反ありまくり。メルクはリポバス®(シンバスタチン)を製造販売している。論文を読んでる途中に気が付きましたが、とりあえず全部読んでみました。
本結果から CHDを有さない患者における脂質低下効果は少なそう。全死亡も低下していますが、あくまで CHD関連による死亡やイベントを低下させたことによると考えられる。
-Evidence never tells you what to do-
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