Kim TH et al.
Stroke 2017 Jun;48(6):1524-1530.
PMID: 28455320 背景と目的
CHA2DS2-VAScの脳卒中スコア(うっ血性心不全、高血圧、年齢≧75(2点)、糖尿病、前脳卒中または一過性脳虚血発作(2点)、血管疾患、65-74歳、女性)は、大部分のガイドラインで用いられている心房細動(AF)におけるリスク層別化であるが、このスコアの大部分のデータは西洋人で得られている。脳卒中リスクにおける民族・人種差が存在する可能性がある。そこで、AFの脳卒中リスク因子とアジアの韓国AF人口におけるCHA2DS2-VAScスコアの適用について検討した。
方法
2002年から 2008年にかけて、国民健康保険サービスサンプルのコホートから 20歳以上の 5,855名の経口抗凝固剤未使用の非弁膜症性 AF患者が登録され、2013年12月まで追跡調査された。
結果
虚血性脳卒中発症率(100人-年あたり)は全人口で 3.32
低リスク(CHA2DS2-VAScスコア0 [男性]または1 [女性])では 0.23
高リスク患者(CHA2DS2 -VASc≧2)では 4.59
虚血性脳卒中または複合血栓塞栓エンドポイントの発生率は、CHA2DS2-VAScスコアの上昇に伴って明らかな増加を示した。
多変量解析では、CHA2DS2-VAScリスク因子と虚血性脳卒中との有意な関連が認められた。しかし、血管疾患や糖尿病の重要性は多変量調整後に減少し、性別リスクとしての女性(ハザード比 =0.73, 95%信頼区間 0.64-0.84)は男性よりも虚血性脳卒中リスクが低かった。
一貫してリスクが低いと分類された患者は、年間1%未満のイベント率を有していた。
結論
アジア人におけるCHA2DS2-VAScスコアのパフォーマンスは、西洋人に匹敵する。本スコアは脳卒中/血栓塞栓症に対する、真に低リスク AF患者を定義する際の良好なパフォーマンスを示す。
コメント
西洋人のデータを基に作成された CHA2DS2-VAScをアジア人にも外挿できるか?という前景疑問から実施された study。
結果としては、外挿できるだろうということ。
西洋人との違いとしては、多変量解析後に①糖尿病、②血管疾患、③女性、のリスク増加は少なそうということ。ただし有料論文であるため患者背景が分からない。
個人的には “女性” は血管リスク低下に寄与すると認識していたが、本スコアでは本来 “女性” はリスク増加ファクターとのこと。
コホートの背景が分からないため想像でしかないが、アジア(韓国)人女性での心房細動に伴う脳卒中リスク低下は、年齢が低かったためではなかろうか。
閉経は心血管疾患リスク増加の因子であり、女性ホルモンによる血管保護作用はこれまでに数多くの報告がある。
-Evidence never tells you what to do-
👇 ポチッていただけますと喜びます。 にほんブログ村]]>
コメント