Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes
List of authors.
George L. Bakris et al.
NEJM 2020
October 23, 2020
DOI: 10.1056/NEJMoa2025845
Funded by Bayer
ClinicalTrials.gov number, NCT02540993. opens in new tab.
背景
非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノンは、慢性腎臓病(CKD)および2型糖尿病患者を対象とした短期試験において、アルブミン尿を減少させた。しかし、腎臓および心血管系アウトカムに対する長期的な効果は不明である。
方法
この二重盲検試験では、CKDおよび2 型糖尿病患者 5,734例を 1:1 の割合でランダムにフィネレノン投与群とプラセボ投与群に割り付けた。
対象患者は、尿中アルブミン/クレアチニン比(アルブミンの単位:mg、クレアチニンの単位:g)が30以上300未満かつ推定糸球体濾過率(eGFR)が25以上60mL/min/体表面積1.73m2未満、糖尿病性網膜症の患者、または尿中アルブミン/クレアチニン比が300以上5,000未満かつeGFRが25以上75mL/min/体表面積1.73m2未満の患者とした。
すべての患者にレニン-アンジオテンシン系遮断薬が投与されたが、ランダム化前に許容できない副作用を引き起こさない最大投与量に調整されていた。
主要複合アウトカムは、腎不全、ベースラインからのeGFRの持続的な40%以上の低下、または腎疾患による死亡であった。
主要な副次複合アウトカムは、心血管疾患による死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、または心不全による入院であった。
結果
・追跡期間中央値 2.6年の間に、主要アウトカムのイベント発生はフィネレノン投与群で2,833例中504例(17.8%)、プラセボ投与群で2,841例中600例(21.1%)でした。
★ハザード比 0.82、95%信頼区間[CI] 0.73~0.93;P=0.001
・主要な副次的アウトカムのイベント発生は、各群367例(13.0%)、420例(14.8%)で発生した。
★ハザード比 0.86、95%信頼区間[CI] 0.75~0.99;P=0.03
・全体的に有害事象の頻度は両群で同程度であった。高カリウム血症に関連した試験レジメン中止の発生率は、プラセボ群よりフィネレノン群の方が高かった(それぞれ2.3%、0.9%)。
結論
CKDおよび2型糖尿病患者において、フィネレノンの投与は、プラセボに比べてCKDの進行および心血管イベントのリスクを低下させた。
コメント
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MR拮抗薬)あるいは選択的アルドステロン拮抗薬としては、カンレノ酸カリウム、スピロノラクトン、エプレレノン、エサキセレノンがあります。フィネレノンはこれに続く新薬です。今回、フィネレノンのPhase Ⅲの結果が出ましたのでご紹介します。
さて、試験結果によれば、主要複合アウトカム(腎不全、ベースラインからのeGFRの持続的な40%以上の低下、または腎疾患による死亡)は、プラセボと比較して、フィネレノンで有意に低下しました。
3年後の群間差の絶対値は3.4(95%CI 0.6〜6.2)でした。NNT =30
構成要素である個々のアウトカムを見ていくと、腎関連死はほぼありませんでした。
- 主要複合アウトカムの構成要素 フィネレノン vs. プラセボ
- 腎不全:4.0%(112/2,833例) vs. 5.2%(147/2,841例)
- ベースラインからのeGFRの持続的な40%以上の低下:12.9%(366/2,833例) vs. 16.7%(474/2,841例)
- 腎疾患による死亡:0.1%未満(1/2,833例) vs. 0%(0/2,841例)
- 主要な副次的心血管系複合アウトカムの構成要素 フィネレノン vs. プラセボ
- 心血管死:2.4%(69/2,833例) vs. 3.3%(93/2,841例)
- 非致死的心筋梗塞:1.8%(51/2,833例) vs. 2.5%(70/2,841例)
- 非致死的脳卒中:2.6%(75/2,833例) vs. 2.5%(75/2,841例)
- 心不全による入院:3.2%(91/2,833例) vs. 4.8%(136/2,841例)
有害事象はこちら↓
重大な有害事象については、フィネレノンの方が少なかったようですが、有害事象による試験中止はフィネレノンの方が多いたとのこと(7.3% vs. 5.9%)。
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