QT Prolongation, Torsades De Pointes and Sudden Death With Short Courses of Chloroquine or Hydroxychloroquine as Used in COVID-19: A Systematic Review
Heart Rhythm. 2020 May 10;S1547-5271(20)30431-8. doi: 10.1016/j.hrthm.2020.05.008.
PMID: 32438018
DOI: 10.1016/j.hrthm.2020.05.008
Keywords: COVID-19; SARS-CoV-2; arrhythmia; chloroquine; coronavirus; hydroxychloroquine; sudden death; torsades de pointes.
背景
現在、COVID-19の治療薬としてクロロキンおよびヒドロキシクロロキンが広く使用されている。両薬ともQT間隔を延長させるため、患者はTorsades de pointesや突然死のリスクが高まる可能性がある。
公表されているガイダンス文書では、これらの潜在的な副作用をモニタリングし、管理するための推奨事項が異なっている。
そこで、我々はクロロキンまたはヒドロキシクロロキンの短期投与による不整脈誘発効果について、系統的なレビューを行うことを目的とした。
方法
クロロキンおよびヒドロキシクロロキンの短期使用によるQT延長、トルサード、心室性不整脈、突然死のリスクについて、2020年4月17日までのMEDLINEおよびEmbase、灰色文献(grey literature)を検索した。
結果
・ユニークな記録390件が得られ、そのうち14件が最終的に質的合成のために選択され、COVID-19患者1,515例のデータが含まれていた。
・これらの薬剤で治療されたCOVID-19患者の約10%がQT延長を発症した。
・高用量クロロキンで治療されたCOVID-19患者28例のうち、2例で心室性不整脈のエビデンスを発見した。
・これらの結果の限界は、追跡調査が不明確であることと、公表/報告にバイアスがかかる可能性があることであるが、クロロキンおよびヒドロキシクロロキンが有意なQT間隔延長を誘発し、潜在的に不整脈のリスクを増加させることを示す説得力のあるエビデンスがある。
結論
現在、実証されていない治療法であることから生じる可能性のある危害を防ぐために、毎日の心電図モニタリングやその他のリスク軽減戦略を検討すべきである。
コメント
クロロキン(本邦未承認)あるいはヒドロキシクロロキン(プラケニル®️)使用によるQT延長リスクは以前から報告されています。またCOVID-19患者において、これらの薬剤の使用がQT延長・不整脈リスクとなることも示されています。
さて、今回のシステマティックレビューにより、研究14件、COVID-19患者1,515例が組み入れられました。
結果としては、クロロキンあるいはヒドロキシクロロキン使用によりCOVID-19患者の約10%がQT延長を発症しました。さらに高用量クロロキンで治療されたCOVID-19患者28例のうち、2例(7.1%)で心室性不整脈が認められました。過去の報告と矛盾しません。
クロロキンあるいはヒドロキシクロロキンによる上記のリスクは間違いなさそうです。一方で、有効性については、有意かつ明らかな結果は得られていません。現段階では、COVID-19に対するこれらの薬剤を使用する意義はなさそうです。
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