Relationships of Diabetes and Hyperglycaemia With Intraocular Pressure in a Japanese Population: The JPHC-NEXT Eye Study
Akiko Hanyuda et al.
Sci Rep. 2020.
PMID: 32210291
PMCID: PMC7093393
DOI: 10.1038/s41598-020-62135-3
背景
以前のメタアナリシスにおいて、糖尿病と眼圧(IOP)との間に正の関係が示唆されたが、糖尿病、IOP、その他の眼球生体パラメータの相互関係は不明である。
本研究では、筑西市在住の非緑内障の日本人成人を対象に、糖尿病、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、血清グルコースと眼圧および眼圧(IOP>21mmHg)との関係を検討した。
方法
糖尿病の定義は、自己申告による糖尿病歴、抗糖尿病薬の使用、またはHbA1c値が6.5%以上とした。
結果
・40歳以上の登録者6,786人のうち、734人が糖尿病と分類された(10.8%)。
・いくつかの交絡因子を調整した後、眼圧値は糖尿病患者では糖尿病なしの患者よりも有意に高く(14.4±0.1 vs. 13.9±0.1 mmHg、P<0.001)、HbA1cおよび血清グルコース値が高い患者でも有意に上昇した(いずれもP<0.001)。
・さらに、糖尿病は眼圧亢進症と有意に関連していた。
★多変量調整オッズ比 =1.75;95%信頼区間 1.09~2.81;P<0.05
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・眼圧亢進症と糖尿病の正の影響は、中心角膜厚を調整した後でも一貫していた。
結論
糖尿病、HbA1cの上昇、血清グルコースの上昇は、眼圧上昇の有意な寄与因子である。
コメント
糖尿病は眼圧の上昇や緑内障に関与していることは周知の事実であると捉えていました。しかし、緑内障に進展する前の段階において、糖尿病がどのくらい影響しているのかは不明だったようです。意外。
さて、今回の研究では、日本の茨城市筑西市で行われました。結果としては、緑内障の既往を有さない糖尿病群において、非糖尿病群と比較して眼圧値は有意に高く、眼圧亢進症と有意に関連していたとのこと。
眼圧値については、絶対差0.5mmHgです。個人的にはそこまで大きくないと感じました。しかし、糖尿病は眼圧亢進症と有意に関連しているとのことですので、緑内障へ進展してしまう前に対処する上で重要な報告であると考えます。
他の寄与因子による影響の大きさは本研究からは不明です。今後の報告に期待。
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