Olanzapine for the Treatment of Advanced Cancer-Related Chronic Nausea and/or Vomiting: A Randomized Pilot Trial.
Navari RM et al.
JAMA Oncol. 2020 May 7. doi: 10.1001/jamaoncol.2020.1052. [Epub ahead of print]
TRIAL REGISTRATION: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03137121.
PMID: 32379269
DOI: 10.1001/jamaoncol.2020.1052
試験の重要性
化学療法とは無関係の悪心と嘔吐は、進行がん患者の実質的な症状である可能性がある。
目的
進行がん患者における化学療法とは無関係の慢性の悪心/嘔吐の治療に対するオランザピンの有用性を評価すること。
試験デザイン、設定、参加者
本試験は、2017年7月から2019年4月まで実施された二重盲検プラセボ対照ランダム化臨床試験であり、2019年に解析が行われた。
対象となったのは、過去14日間に化学療法や放射線療法を受けておらず、持続的な悪心/嘔吐を有する進行がんの外来患者であった。
慢性的な吐き気が少なくとも1週間存在していた(1日における最悪の悪心の数値評価スコアは0~10のスケールで3以上である必要があった)。
介入
患者はオランザピン(5mg)またはプラセボを毎日7日間経口投与された。
主要アウトカムと測定法
試験のエンドポイントには患者報告アウトカムが使用された。
データはベースライン時に収集され、さらに7日間毎日収集された。
研究の主要エンドポイント(ベースラインから最終治療日までの悪心の数値評価スコアの変化)と研究仮説は、データ収集前に確認された。
結果
・合計30人の患者(各群15人)が登録された。これらには女性16人と男性14人が含まれ、平均(範囲)年齢は63歳(39-79歳)であった。
・ベースライン中央値の悪心スコアは、全患者で10点満点中9点であった(範囲 8-10点)。
・試験開始1日後と1週間後の悪心スコア中央値は、プラセボ群では両日とも10点満点中9点(範囲 8~10点)であったのに対し、オランザピン群では1日目のスコアが10点満点中2点(範囲 2~3点)、1週間後のスコアが10点満点中1点(範囲 0~3点)であった。
・治療1週間後のオランザピン群の悪心スコアの減少は、プラセボ群よりも8ポイント(95%CI 7~8)高かった。主要エンドポイントのP値(両側)は<0.001であった。
・プラセボ群とは対照的に、オランザピン群の患者は嘔吐が少なく、他の制吐剤の使用が少なく、食欲、鎮静、疲労感が少なく、幸福度が高いと報告された。
・プラセボ群の患者1人は、有益性を認識できなかったために早期に治療を中止した。オランザピンを投与された患者で、過剰な鎮静やその他の有害事象を報告した患者はいなかった。
結論と関連性
オランザピンは、1日5mg/dで、悪心と嘔吐のコントロール、およびその他の症状とQOLの改善に効果的であるように思われた。
コメント
高度催吐リスクのある化学療法レジメンを受ける患者において、制吐目的でオランザピン(ジプレキサ®️)の併用が推奨されることがあります。今回の試験では、化学療法終了14日以降の慢性悪心/嘔吐に対するオランザピン単独投与の効果を検証しています。
さて、試験結果によると、慢性悪心/嘔吐に対するオランザピンの7日間の使用は、プラセボに比べて、著明な改善効果が示されました(スコア減少8ポイント、95%CI 7~8)。
主要評価項目は、患者報告アウトカムですが、試験デザインは二重盲検のプラセボ対象試験ですので、バイアスは入り込みづらいと考えられます。例数30と小規模な結果ですので、追試が必要ですが、期待できる結果ですね。続報に期待。
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