Blood Pressure Thresholds and Neurologic Outcomes After Endovascular Therapy for Acute Ischemic Stroke: An Analysis of Individual Patient Data From 3 Randomized Clinical Trials.
Rasmussen M et al.
JAMA Neurol. 2020 Jan 27.
doi: 10.1001/jamaneurol.2019.4838.
PMID: 31985746
PMCID: PMC6990929
試験の重要性
急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke, AIS)に対する血管内治療(endovascular therapy, EVT)中の最適な血圧目標値は不明である。
目的
特定の血圧閾値を含む手続き的血圧パラメータがEVT後の神経学的転帰と関連しているかどうかを研究すること。
試験デザイン、設定、参加者
本レトロスペクティブコホート研究は、2014年2月から2017年2月の間にEVTの麻酔戦略を評価するランダム化臨床試験に登録された前方循環(内頚動脈の分岐)AISの成人を対象とした。
各試験の血圧プロトコルは同等であり、患者は90日間追跡調査された。
合計3,630人の患者が当初アプローチされ、3,265人の患者が除外された。
暴露
血管内治療。
主な転帰および測定方法
主な有効性変数は、90日後のmodified Rankin Scale(mRS)スコア*で定義された機能的転帰であった。また、血圧パラメータおよび平均動脈圧(MABP)閾値未満および閾値以上の時間と転帰との関連を分析した。
*mRSスコア:0〜5の6段階で評価。0点は全く症状がない状態
結果
・解析に含まれた患者365人のうち、平均(SD)年齢は71.4歳(13.0歳)、女性は163人(44.6%)、National Institutes of Health Stroke Scaleスコアの中央値は17(四分位間範囲[IQR] 14-21)であった。
・コホート全体では、182人(49.9%)が全身麻酔を受け、183人(50.1%)が処置的鎮静を受けた。
・MABPが70mmHg未満の最小10分間の累積期間(調整後OR =1.51;95%CI 1.02〜2.22)およびMABPが70mmHg未満の最小20分間の連続エピソード(調整後OR =2.30;95%CI 1.11〜4.75)は、90日間のmRSスコアが高くなる方向へのシフトと関連しており、これはそれぞれ、害に必要な数が10および4であった。
★MABPが70mmHg未満の最小10分間の累積期間:NNT=10
★MABPが70mmHg未満の最小20分間の連続エピソード:NNT=4
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・MABPが90mm Hg以上で最低45分間の累積期間(調整済みOR =1.49;95%CI 1.11〜2.02)およびMABPが90mm Hg以上で最低115分間の連続エピソード(調整済みOR =1.89;95%CI 1.01〜3.54)は、90日目のmRSスコアが高くなる方向へのシフトと関連しており、それぞれ10および6の危害を必要とする数に対応していた。
★MABPが90mm Hg以上で最低45分間の累積期間:NNT=10
★MABPが90mm Hg以上で最低115分間の連続エピソード:NNT=6
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結論と関連性
転帰不良の臨界MABP閾値とその持続時間は、10分以上のMABPが70mmHg未満、45分以上のMABPが90mmHg以上であり、いずれの持続時間も危害を加えるのに必要な数は10人であった。
平均動脈血圧は、EVT後の機能的転帰不良を予防または軽減するための修正可能な治療目標である可能性がある。
コメント
脳卒中には脳の動脈系( 脳の動脈系)、すなわち前方循環系(内頸動脈の分枝)と後方循環系(椎骨および脳底動脈の分枝)のいずれかが関与しています。
今回の試験では、前方循環系を起因とする脳卒中患者が対象です。
さて試験結果によれば、10分以上のMABPが70mmHg未満、45分以上のMABPが90mmHg以上で転帰不良とのこと。
となると平均動脈圧* 70mmHg〜89mmHgに保つことが良さそうだが、あくまでも仮設生成。今後の研究報告に期待。
*平均動脈圧=拡張期血圧+[(収縮期血圧-拡張期血圧)/3]
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