A Cluster Randomised Trial of Cloth Masks Compared With Medical Masks in Healthcare Workers
Randomized Controlled Trial
C Raina MacIntyre et al.
BMJ Open. 2015
PMID: 25903751
PMCID: PMC4420971
DOI: 10.1136/bmjopen-2014-006577
Trial registration number: Australian New Zealand Clinical Trials Registry: ACTRN12610000887077.
Keywords: Cloth mask; Influenza.
目的
研究の目的は、病院の医療従事者(HCW)における布製マスクと医療用マスクの有効性を比較することだった。
帰無仮説:医療用マスクと布製マスクの間に差はない
試験設定
ベトナムのハノイにある2次レベル/ 3次レベルの病院12施設
試験参加者
特定の高リスク病棟でフルタイムで働いている18歳以上の病院の医療従事者1,607人。
介入
病棟では、医療用マスク、布製マスク、または対照群(マスク着用を含む通常の診療)にランダム化された。
参加者は、連続4週間、シフト毎にマスクを使用した。
主要アウトカム
臨床呼吸器疾患(CRI)、インフルエンザ様疾患(ILI)、および実験室(PCR?)で確認された呼吸器ウイルス感染。
結果
・すべての感染アウトカムの割合は布製マスク群で最も高く、ILIの割合は統計的に有意に高かった。
★ vs. 医療用マスク:相対リスク(RR)= 13.00、95%CI 1.69〜100.07
—-
・また布製マスクは、マスク着用を含むコントロール群と比較しても、ILIの割合が著しく高かった。
・マスク使用による分析では、医療用マスク群と比較して、布製マスク群でILI(RR = 6.64、95%CI 1.45〜28.65)および検査室確認済みウイルス(RR = 1.72、95%CI 1.01〜2.94)が有意に高いことが示された 。
・粒子の透過性については、布製マスクで約97%であり、医療マスクは44%だった。
結論
本研究は布製マスクの効果を検証した最初のRCTであり、布製マスクの使用に注意する必要がある結果となった。
これは、労働安全衛生を知らせる重要な発見である。
保湿(マスク内に湿気がこもる)、布製マスクの再利用、および不十分な機能的ろ過により、感染リスクが高まる可能性がある。
布製マスクが世界中で広く使用されていることを知らせるには、さらなる研究が必要である。
ただし、予防措置として、特にリスクの高い状況で医療従事者に布製マスクを推奨するべきではなく、ガイドラインを更新する必要がある。
コメント
アブストのみ。
著者曰く、布製マスクの効果を検証した最初のRCTとのこと。実は2011年にも似たような研究が発表されています。デザインが違うのかな?
さて、医療従事者を対象とした布製マスクの効果検証の研究結果は一貫しています。布製マスクは、医療用マスクやコントロール群(マスクの着用を含む)と比較して、インフルエンザ様疾患の罹患リスクが高かいです。ただしアウトカム発生件数が少ないように感じました。実施時期や地域の問題でしょうか。
インフルエンザ様疾患
群:罹患数(罹患率)
・医療用マスク:1/580 (0.17%)
・布製(ガーゼ)マスク:13/569 (2.28%)
・コントロール:3/458 (0.66%)
絶対差(布製マスク vs. 医療用マスク):2.11%
NNH =48
なかなかインパクトのある数字です。少なくとも医療機関においては、布製マスクよりも医療用マスクの方が良さそう。あとは手洗いと水うがい(感冒症状がないときはポビドンヨードでのうがいを避ける)ですね。
それにしても布製(ガーゼ)マスクの粒子透過性が高すぎる。ほぼマスクつけていない時と同じぐらいですね。それでも、エアロゾルを防ぐ効果に差はないと考えられます。医療機関ではなく、一般人口ベースの研究でマスクの効果を検証した試験がみつかりましたので、後日紹介します。
現状では、少なくとも医療機関において、布製マスクより不織布マスクをつけた方が良さそうですね。
コメント