ゼローダ®️服用による手足症候群へのピリドキシンの効果はどのくらいですか?(RCT; JAMA 2017)

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Predictors of Hand-Foot Syndrome and Pyridoxine for Prevention of Capecitabine-Induced Hand-Foot Syndrome: A Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Yap YS, et al.

JAMA Oncol. 2017.

Trial Registration: clinicaltrials.gov Identifier: NCT00486213.

PMID: 28715540

【研究の重要性】

手足症候群(HFS)は、カペシタビン治療の一般的な副作用である。

【研究の目的】

ピリドキシンとプラセボを投与された患者におけるHFSグレード2以上の発症率と発症までの時間を比較し、HFSを予測するバイオマーカーを特定する。

【試験デザイン、設定および参加者】

シンガポールにある国立がんセンターシンガポールで実施された本単一施設、ランダム化二重盲検、プラセボ対照第3相試験では、カペシタビン単剤投与予定の患者(乳がん、結腸直腸がん、その他のがんに対するカペシタビン化学療法)210人において、経口ピリドキシンがHFSグレード2以上の発症を予防できるかどうかを評価した。

【介入】

性別およびアジュバントまたはネオアジュバント対緩和設定での層別化により、最大8サイクルのカペシタビンで毎日ピリドキシン(200 mg)またはプラセボを同時に投与するように患者をランダム化した。

患者は、グレード2以上のHFS発症またはカペシタビン中止に関して試験から脱落された。

【主なアウトカムと測定】

主要エンドポイントは、ピリドキシンを投与された患者におけるグレード2以上のHFS発生率だった。

副次的エンドポイントには、グレード2以上のHFS発症までの時間(日)と、ベースラインの葉酸およびビタミンB12レベルを含むHFSを予測するバイオマーカーの同定、ならびにゲノムワイドアレイを用いた遺伝子多型が含まれる。

【結果】

・210人の患者(中央[範囲]年齢、58 [26-82]歳、162人が女性)集団では、ピリドキシン群の33人(31.4%)とプラセボ群の39人(37.1%)でグレード2以上のHFSが発生した(P = .38)。

・グレード2以上のHFS発症までの時間(中央値)は、両群で到達しなかった。

・単変量解析では、カペシタビンの開始用量(オッズ比[OR] =1.99; 95%CI 1.32〜3.00; P = 0.001)、血清葉酸レベル(OR =1.27; 95%CI 1.10〜1.47; P = 0.001)、赤血球葉酸レベル(OR =1.25; 95%CI 1.08〜1.44; P = 0.003)は、グレード2以上のHFSリスク増加と関連していた。

・多変量解析では、血清葉酸(OR =1.30; 95%CI 1.12〜1.52; P <0.001)および赤血球葉酸(OR 1.28; 95%CI 1.10〜1.49; P = 0.001)のみが グレード2以上のHFSの重要な予測因子であった。

・グレード2以上のHFSは、ゲノム全体で重要な300のDNAバリアント(P <5×10-8)に関連しており、これには新規DPYDバリアント(rs75267292; P = 1.57×10-10)およびMACF1のバリアント(rs183324967 、P = 4.80×10-11; rs148221738、P = 5.73×10-10)およびSPRY2(rs117876855、P <1.01×10-8; rs139544515、P = 1.30×10-8)創傷治癒に関与する遺伝子であった。

【結論と関連性】

ピリドキシンはグレード2以上のHFS発症を有意に予防または遅延しなかった。 血清および赤血球の葉酸レベルは、HFSの独立した予測因子であった。


【コメント】

アブストのみ。

単施設での検討において、ピリドキシンはゼローダ®️による手足症候群を予防できなかった。

ゼローダ®️服用中の患者さんに保湿剤のヒルドイドソフト軟膏とV.B6のピリドキシンが処方されることがあります。正直、ピリドキシンに保湿剤以上の効果は感じていなかったので、スーッと本試験結果が入ってきました。

あと有益な情報としては、葉酸の値がHFSの予測因子であったこと。またDNAバリアントが関連していたとのことだが、なかなかDNAバリアントまで測定しているところはないですよね?気になります。

ただ単施設かつ少数例の検討では不十分だと考えられます。またピリドキシンの用量が200mgと、日本と比べて高用量である点も気になります。

メタ解析の結果が知りたいところ。

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