Comparison of oral montelukast with oral ozagrel in acute asthma: A randomized, double-blind, placebo-controlled study. Magazine R et al. Lung India. 2018 Jan-Feb;35(1):16-20. doi: 10.4103/lungindia.lungindia_226_17. PMID: 29319028
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Nil.(ゼロ)
Conflicts of interest
There are no conflicts of interest.
私的背景
久しぶりに喘息患者へのオザグレル(ドメナン®️)処方に出会いました。ググってみたところ2018年の論文が見つかったので、早速読んでみました。結論
急性喘息の標準治療にモンテルカストまたはオザグレルを追加しても、追加の利益をもたらさなかった。しかしモンテルカスと追加群では多少の益がありそう。サンプルサイズの設定が甘い気がする。またアウトカムはピークフローであることから代用のアウトカムと考えられるが、追跡期間が2日+αなので現実的なアウトカム設定であると考えられる。 (2017年のコクランレビューでは、標準治療へのモンテルカスト追加は、喘息悪化の抑制、症状緩和に一定の効果があるとする結果であった)組入基準
18〜65歳、以前に気管支喘息と診断された症例、喘息の急性増悪の1次診断、過去12ヶ月以内のピーク呼気速度(peak expiratory flow rate, PEFR)が少なくとも75%以上。 心臓、代謝、または他の呼吸器疾患に起因する急性増悪状態がない患者。除外基準
10箱/年 以上の喫煙歴、妊娠中または授乳中の女性、2週間以内にロイコトリエン受容体拮抗薬またはトロンボキサンA2合成酵素阻害薬を使用している患者、1ヵ月以内に経口または非経口ステロイドの5日超の使用、1週間以内のテオフィリン使用、挿管の必要性があった患者、定期的なリファンピシン、フェニトイン、またはフェノバルビトンの使用、モンテルカストまたはオザグレルに対するアレルギー歴、ベースライン時の腎機能検査および肝機能検査の異常PICOTS
P:一次診断により喘息の急性増悪を有す外来あるいは救急外来患者 I :モンテルカスト群(40例) オザグレル群(40例) C:プラセボ群(40例) O:Primary — 処置後の各測定時点(投与6、12、24、48時間後および退院時)での平均PEFR Secondary — 救助薬の必要性 T:治療・予防、前向き、ランダム化、ダブルブラインド S:単施設、インド批判的吟味
研究デザインは?ランダム化されているか? ランダム化されている ランダム割付が隠蔽化されているか?(selection bias は無いか?) 不明 マスキングされているか?(ブラインドか否か?) されている。 交絡因子は網羅的に検討されているか? 概ね検討されている。 Baseline は同等か? 喘息罹患期間や併存疾患に偏りがある。例数が少ないので仕方ないかも。 (Table 1. 本文より引用) ITT 解析されているか? 脱落がないため全例を解析に含めている。 追跡期間は? 2日+α(3日目に退院?) サンプルサイズは充分か? 充分。各群40例が必用であった。 PEFRの最小差が40L /分であり、95%信頼水準で標準偏差が100L /分であると予測したため、40人の被験者が各群に含まれた(power =80%)。結果は?
プライマリーアウトカム 3群間で差は認められなかった。 セカンダリーアウトカム レスキューの使用回数はオザグレル群が一番多かった。コメント
喘息患者を対象とした臨床試験では、喘息発作の増悪回数がアウトカムとして良く用いられている印象。 本試験ではフォローアップが短期間であるためかピークフローがプライマリアウトカムであった。 結果としては、標準治療にオザグレルあるいはモンテルカストを上乗せしても追加の益はないとの事。ただし対象患者は、気管支喘息の急性増悪期患者であり、標準治療としてステロイドである静脈内メチルプレドニゾロン40mg(ソル・メドロール®️)、抗コリン薬であるイプラトロピウム臭化物(アトロベント®️)、β2刺激薬であるサルブタモール(サルタノール®)を使用している。また必要時に酸素吸入やメチルキサンチン(テオロング®️、ユニフィル®️、テオドール®️等)も使用している。 2017年のコクランレビュー(PMID: 28301050)では標準治療へのモンテルカスト(キプレス®️/シングレア®️)追加は効果ありそう。 個人的にオザグレルは点滴の方が使われている印象。しかし急性期の脳血栓症に効果があったとする論文(PMID: 12715790)はベースラインに群間差があり、オザグレル群の方が重症患者が多い。さらにアウトカムは治療による改善度の比較であるためオザグレル群の方が有利。従って、オザグレルによる脳血栓症への効果はかなり薄いのではないかと考えられる。 オザグレルの使いどころっていったい。。。-Evidence never tells you what to do-
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