ー 職場におけるゴシップと評価・相談行動の関係(Journal of Experimental Social Psychology 2024)
臨床疑問
職場においてゴシップ(噂話)をする人は、第三者からどのように評価され、どのような場面で相談相手として選ばれるのか?
研究の背景
これまでの研究では、ゴシップは「話し手・聞き手・対象者」の三者関係で分析されてきた。一方で、実際の職場ではその外側にいる第三者(観察者)が評価や意思決定に関与する。
本研究は、こうした第三者の視点からゴシップ行動の評価と実務的影響(相談行動)を検証した。
PICO
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| P(対象) | 実験参加者(N = 1400) |
| I(曝露) | ゴシップ好きの人物 |
| C(比較) | ゴシップを行わない人物 |
| O(アウトカム) | 人物評価(道徳性・能力・社交性)、相談相手としての選択 |
試験デザイン
- 研究タイプ:事前登録された実験研究(5つの実験)
- 総サンプルサイズ:N = 1400
- 主な検証内容:
- ゴシップ行動に対する第三者の評価
- タスク別の相談相手選択
- 評価に影響する手がかり(道徳性・能力・社交性)
- 追加検証:
- インセンティブ付き実験での再現性確認
試験結果

人物評価(Experiment 1)
| 評価項目 | ゴシップする人の評価 |
|---|---|
| 道徳性 | 低い |
| 能力 | 低い |
| 社交性 | 高い |
相談行動(Experiment 2)
タスク別の相談選択
| タスク特性 | ゴシップする人への相談 |
|---|---|
| 高い道徳性が必要 | 少ない |
| 高い能力が必要 | 少ない |
| 高い社交性が必要 | 多い |
評価に影響する要因(Experiment 2a–2c)
| 要因 | 結果 |
|---|---|
| 道徳性の手がかり | 評価・相談行動に影響 |
| 能力の手がかり | 同様に影響 |
| 社交性の手がかり | 同様に影響 |
再現性(Experiment 3)
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| Experiment 2a–2cの インセンティブ付き条件での実施 | Experiment 2a–2cの結果と同様 |
試験の限界(批判的吟味)
- 実験研究であり、実際の職場環境での外的妥当性に限界
- ゴシップの定義や内容の違いが考慮されていない可能性
- 短期的評価であり、長期的な信頼関係への影響は不明
- 文化差・職種差の影響は未検討
- 自己報告およびシナリオベースの判断であり、実行行動との乖離の可能性
コメント(解釈)
本研究では、ゴシップ好きの人物は「社交性が高いが、道徳性と能力は低い」と評価されることが示された。この評価の違いが、タスクに応じた相談行動の選択に影響している。
特に、倫理判断や専門的判断が求められる場面では避けられ、対人調整が重要な場面では選ばれる傾向が示された点は、職場における役割分担の一側面を示唆する。
まとめ
- ゴシップ好きな人は「道徳性・能力は低く、社交性は高い」と評価
- 相談相手はタスク特性に応じて選択される
- 倫理・専門性が必要な場面では選ばれにくい
- 対人関係調整では選ばれやすい
コミュニケーションの一つとして噂話をすることもあると思いますが、周囲からの評価においては効果が限定的なようです。
とはいえ、組織においては対人関係調整が重要であることから “適材適所” と考えることもできそうです。
再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。
続報に期待。

✅まとめ✅ 5つの実験研究の結果、ゴシップ好きな人は「道徳性・能力は低く、社交性は高い」と評価されるようであった。
根拠となった試験の抄録
これまでの研究では、ゴシップの三者(つまり、発信者、受信者、標的)における職場のグループダイナミクスが広く研究されてきた。本研究は、ゴシップの三者以外の第三者の観察者に焦点を移し、彼らがゴシップをする人としない人をどのように評価し、誰に助言を求めるのかを検証する。事前登録された 5 つの実験(N = 1400)を通して、本研究はゴシップの統合的な定義に基づいて構築され、観察者によるゴシップをする人の性格に対する微妙な評価を全体的な視点から機能主義的に説明する。観察者は、ゴシップをする人を、しない人よりも道徳的かつ有能ではないが、社交的であると認識している(実験 1)。その結果、観察者は、高い道徳性(例:倫理的行動の徹底;実験2a)や高い能力(例:過剰在庫の管理;実験2b)を必要とするタスクにおいては、噂話をする人(噂話をしない人と比較して)から助言を求める可能性は低いが、高い社交性(例:歓迎ランチの企画;実験2c)を必要とするタスクにおいては、助言を求める可能性が高くなる。プロセス調整アプローチでは、道徳性、能力、社交性を示す偶発的な手がかりが、関連するタスクにおける観察者の噂話をする人(噂話をしない人と比較して)に対する評価や助言の求め方に影響を与えることが示されている(実験2a~2c)。これらの知見は、インセンティブ適合環境においても頑健である(実験3)。本研究は、観察者による噂話をする人の評価と、それが職場での助言の求め方に及ぼす影響についての理解を深めるものである。
引用文献
Whispered words and organizational dynamics: The nuanced evaluation of gossipers’ personality and its effect on workplace advice seeking
Lijun (Shirley) Zhang et al. Received 31 August 2023, Revised 1 May 2024, Accepted 31 May 2024, Available online 21 June 2024, Version of Record 21 June 2024.
Journal of Experimental Social Psychology Volume 115, November 2024, 104643
ー 続きを読む https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022103124000568

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