Kang JH et al.
JAMA Ophthalmol. 2019 May 2.
doi: 10.1001/jamaophthalmol.2019.0900. [Epub ahead of print]
PMID: 31046067
【研究の重要性】
スタチン（ヒドロキシメチルグルタリルコエンザイムA阻害剤）の使用は、原発性開放隅角緑内障（POAG）のリスクの低下と関連している。しかし、これまで報告された結果は矛盾しており、そして高コレステロールレベルとPOAGとの間の関連についてはほとんど知られていない。
【目的】
コレステロール値の上昇とスタチン使用およびPOAGの関連性を評価すること。
【デザイン、設定、および参加者】
本研究は、緑内障のない40歳以上の参加者から2年ごとに収集されたデータを使用し、以下3つの集団を対象としたコホート内における眼検査について結果を解析した。
・コホート１：the Nurses’ Health Study (N = 50 710; followed up from 2000 to 2014)
・コホート２：the Nurses’ Health Study 2 (N = 62 992; 1999-2015)
・コホート３：the Health Professionals Follow-up Study (N = 23 080; 2000-2014)
POAGはカルテレビューによって確認され、分析は2019年1月に行われた。
【曝露】
コレステロール値の上昇、血清コレステロール値、スタチン使用期間に関する2年ごとの自己申告情報。
【主要アウトカムと測定】
多変量調整相対リスク（RR）および95％CIは、コホート別に層別化した、プールデータに対するCox比例ハザード回帰モデルを使用して推定した。
【結果】
・3つのコホート（113702人の女性および23080人の男性）136,782人の中で、886人のPOAG発生イベントが確認された。
・総血清コレステロール 20 mg/dL 増加ごとに、POAGリスク7％増加と関連していた（RR =1.07 [95％CI 1.02〜1.11]; P =0.004）。
・自己申告によるコレステロール上昇の既往歴もまた、POAGリスク上昇と関連していた（RR =1.17 [95％CI 1.00〜1.37]）。
・スタチン使用歴は、POAGリスクの15％低下と関連していた（RR =0.85 [95％CI 0.73〜0.99]）。
・5年以上のスタチン使用では、スタチン未使用と比較して、POAGリスクを21％低下した（RR =0.79 [95％CI 0.65〜0.97]； 線形傾向 P =0.02）。
・POAGリスクとの関連性において、5年以上のスタチン使用は、スタチン未使用と比較して、高齢者ではより逆相関していた（65歳以上：RR =0.70 [95％CI 0.56〜0.87] vs. 65歳未満： RR =1.05 [95%CI 0.68〜1.63]； 交互作用 P =0.01）。
【結論と関連性】
40歳以上の成人において、より高値な血清コレステロール値はPOAGのより高いリスクと関連していたが、スタチン未使用と比較して5年以上のスタチン使用はPOAGのより低いリスクと関連していた。
The associationbetween use of statins for 5 or more years vs never use of statins and risk of POAG was more inverse in those who were older (≥65 years: RR, 0.70 [95% CI, 0.56-0.87] vs <65 years: RR, 1.05 [95% CI, 0.68-1.63]; P = .01 for interaction).
【コメント】
アブストのみ。
コホート研究のプール解析。あくまでも仮説生成的な結果です。
さて、本研究結果により開放隅角緑内障（Primary Open-AngleGlaucoma, POAG）の発症リスク因子として、コレステロール値の増加が示唆された。また5年以上のスタチン使用はリスクを低下させた。しかしサブグループ解析によると、スタチンの有効性は65歳以上の方が高そうとのこと。
スタチンすごいね（語彙力）。
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