小児片頭痛に対するシプロヘプタジンの有効性とは?(Neurol Int. 2024)

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― 併存疾患が治療効果に与える影響を検討した後ろ向き研究 ―

第一世代の抗ヒスタミン薬は小児の片頭痛に有効なのか?

小児片頭痛は学童期から思春期にかけて頻度が高く、学業や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。しかし、小児を対象とした片頭痛予防薬のエビデンスは成人と比較して限られており、治療選択に難渋することも少なくありません。

その中で、抗ヒスタミン薬であるシプロヘプタジンは、比較的安全性が高く、食欲増進作用などもあることから、小児片頭痛の予防薬として用いられてきました。

今回紹介する論文は、
👉 シプロヘプタジンの有効性
👉 神経発達症や起立性調節障害(OI)の併存が治療効果に与える影響
を検討した後ろ向き研究です。


試験結果から明らかになったことは?

◆研究概要

項目内容
研究デザイン後ろ向き観察研究
対象小児片頭痛患者 155例
年齢3~15歳
介入シプロヘプタジン内服
評価項目頭痛頻度の50%以上減少を「有効」と定義
解析方法Fisher正確検定、重回帰ロジスティック解析

◆対象患者の背景

項目内容
対象人数155例
男児 / 女児71人 / 84人
神経発達症の併存27例(17.4%)
起立性調節障害(OI)22例(14.2%)

※神経発達症には、発達障害スペクトラムなどが含まれています。


◆有効性の結果

▶ 全体の治療効果

  • 評価可能例:148例
  • 有効(頭痛頻度50%以上減少)
    👉 68.9%(102例)

➡ 小児片頭痛に対して、シプロヘプタジンは一定の有効性を示しました。


▶ 併存疾患と治療効果の関係

因子結果
神経発達症あり有効率が低下
起立性調節障害あり有効率が低下
シプロヘプタジン用量有効例では低用量で効果あり
頭痛頻度高頻度ほど効果が低下

👉 神経発達症および起立性調節障害の併存は、治療効果を弱める要因であることが示されました。


◆多変量解析の結果

ロジスティック回帰分析により、以下の因子が治療効果に影響していました。

因子影響
頭痛頻度高いほど効果が低下
シプロヘプタジン投与量高用量ほど効果低下
神経発達症の併存効果低下
起立性調節障害の併存効果低下

📌 併存疾患の有無が、治療反応性に大きく影響する点が本研究の重要な知見です。


臨床的な解釈

✔ シプロヘプタジンは小児片頭痛の第一選択になり得るか?

本研究では約7割で有効とされており、
小児片頭痛の予防薬として一定の有用性があることが示されました。

特に以下の点が臨床的に重要です:

  • 低用量で効果が出る症例が多い
  • 比較的安全性が高い
  • 小児で使用実績が多い

✔ 併存疾患を見逃さないことが重要

一方で、

  • 神経発達症
  • 起立性調節障害

を有する児では、有効率が低下していました。

これは、

  • 自律神経異常
  • 痛覚処理の違い
  • 薬物反応性の個体差

などが関与している可能性が示唆されます。

単に薬を増量するのではなく、併存疾患の評価・対応が重要と考えられます。


試験の限界

本研究には以下の明確な限界があります。

① 後ろ向き研究である

  • ランダム化比較試験(RCT)ではない
  • バイアス(処方選択・評価バイアス)を完全に除外できない

② 対照群(プラセボ群)が存在しない

  • 自然経過やプラセボ効果の影響を評価できない

③ 用量・投与期間が統一されていない

  • 実臨床ベースのため、投与量にばらつきあり

④ 頭痛評価が主観的

  • 頭痛日誌やVASの標準化がなされていない可能性

⑤ 長期予後が不明

  • 治療継続時の有効性・副作用の評価は限定的

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◆まとめ

✔ シプロヘプタジンは小児片頭痛に対して約7割で有効
神経発達症・起立性調節障害を合併すると効果が低下
✔ 低用量で効果が出る症例が多い
✔ 後ろ向き研究であり、今後は前向き研究が必要

👉 「効かない=薬が悪い」ではなく、「背景因子を評価する」ことが重要であることを示した研究といえます。

どのような患者で、より有効性が高いのか、既存薬との比較など更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 日本の後ろ向き研究の結果、 シプロヘプタジンは小児の片頭痛の治療に有効であるようであった。しかし、神経発達障害および起立性不耐性の患者では有効性が低下することが示された。

根拠となった試験の抄録

目的: 小児片頭痛の予防薬に関するエビデンスは限られており、特に併存疾患が治療抵抗性の一因となっている場合、その効果は限定的である。本研究では、片頭痛を有する小児におけるシプロヘプタジンの有効性を評価し、併存する神経発達障害および起立性不耐症(OI)の影響を検討した。

方法: シプロヘプタジン投与を受けた小児片頭痛患者を後方視的に解析した。有効性は頭痛頻度の減少に基づいて評価し、治療効果判定は頭痛エピソードが50%以上減少した患者と定義した。フィッシャーの正確検定を用いて、有効性と併存疾患または治療順序との関係を解析した。有害事象に関連する因子を同定するため、多重ロジスティック回帰分析を実施した。

結果: 3~15歳の小児155名(男児71名、女児84名)が対象となった。併存する神経発達障害およびOIは、それぞれ27名(17.4%)、22名(14.2%)に認められた。有効性は148名で評価され、そのうち68.9%が奏効例と分類された。併存疾患を有する患者では有効性は低かった。奏効例ではシプロヘプタジンの投与量が少なくて済んだ(p = 0.039)。多重ロジスティック回帰分析の結果、頭痛頻度、シプロヘプタジン投与量、併存するOIおよび神経発達障害が治療効果に影響を与える因子であることがわかった。

結論: シプロヘプタジンは小児の片頭痛の治療に有効であるが、神経発達障害およびOIの患者では有効性が低下することが示された。

キーワード: 小児、併存疾患、シプロヘプタジン、片頭痛、予防的治療

引用文献

Cyproheptadine Treatment in Children and Adolescents with Migraine: A Retrospective Study in Japan
Hideki Shimomura et al. PMID: 39585058 PMCID: PMC11587002 DOI: 10.3390/neurolint16060099
Neurol Int. 2024 Oct 30;16(6):1308-1317. doi: 10.3390/neurolint16060099.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39585058/

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