血栓後症候群患者における静脈ステント血栓症予防のためのアスピリン+リバーロキサバン vs. リバーロキサバン単独(Open-RCT; ARIVA試験; Circulation. 2025)

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ステント留置後6ヵ月以内のステント血栓症に対する予防戦略

血栓後症候群患者において、腸大腿静脈または下大静脈のステント再疎通は静脈の開存性を回復し、機能的転帰を改善します。一方、ステント血栓症のリスクはステント留置後6ヵ月間に特に増加することが知られています。このリスク低減のために二重抗血小板薬療法(DAPT)や、抗血小板薬と抗凝固薬との併用が行われますが、単独療法との有効性・安全性の比較は充分に行われていません。

そこで今回は、血栓後症候群に対するステント留置後6ヵ月以内のステント血栓症の予防において、アスピリン100mgの連日投与とリバーロキサバン20mgの併用がリバーロキサバン20mgの単独投与よりも優れているかどうかについて検証した非盲検ランダム化比較試験の結果をご紹介します。

ARIVA試験(Aspirin Plus Rivaroxaban Versus Rivaroxaban Alone for the Prevention of Venous Stent Thrombosis in Patients With PTS)は、多国籍、学術的、非盲検、独立判定試験であり、Villaltaスコアが4点以上で、静脈ステント留置による治療が成功した下大静脈、腸骨静脈、総大腿静脈の狭窄または閉塞を有する患者が1:1で試験群にランダムに割り付けられました。主な除外基準は、18歳未満または75歳以上、抗凝固薬使用の禁忌、急性静脈血栓症<3ヵ月などでした。

本試験の主要有効性転帰は、連続二重層超音波検査で評価された治療区間に閉塞がないこと、または6ヵ月以内に開存性を維持するために再介入が必要でなかったことの複合でした。Villaltaスコア、QOL、安全性などの副次的アウトカムも評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

2020年から2022年までに172例がスクリーニングされ、169例がランダム化され、162例が全解析セットに組み入れられ、アスピリン+リバーロキサバン(n=80)またはリバーロキサバン単独(n=82)を6ヵ月間投与されました。平均±SD年齢は42.8±14.7歳、103例(60.9%)が女性、154例(97.5%)が白人、7%に下腿潰瘍が存在しました。

アスピリン+リバーロキサバン
(n=80)
リバーロキサバン単独
(n=82)
絶対リスク差
(95%CI)
6ヵ月後までの一次開存率94.8%92.4%絶対リスク差 2.4%
-13.6 ~ 18.0
ベースラインから6ヵ月後までの罹患下肢(潰瘍なし)のVillaltaスコア-6.7±4.4点
P=0.36
-7.0±5.2点

6ヵ月後の一次開存率はそれぞれ94.8% vs. 92.4%でした(絶対リスク差 2.4%、95%CI -13.6 ~ 18.0)。ベースラインから6ヵ月後までの罹患下肢(潰瘍なし)のVillaltaスコアの平均±SD低下は、それぞれ-6.7±4.4点、-7.0±5.2点でした(P=0.36)。

6ヵ月後のその他の転帰やQOLに差はありませんでした。また、大出血はみられませんでした。

コメント

ステント血栓症のリスクはステント留置後6ヵ月間に特に増加することが知られていますが、予防戦略において、抗血小板薬+抗凝固薬の併用療法と、抗血小板薬単独療法との比較検証は充分に行われていません。

さて、非盲検ランダム化比較試験の結果、血栓後症候群に対する血管内治療後6ヵ月間の全一次開存率は予想より高く、アスピリンとリバーロキサバンの併用投与を受けた患者とリバーロキサバン単独投与を受けた患者で同等でした。

非盲検デザインですが、客観的なアウトカムであることからバイアスリスクは低いと考えられます。一方、症例数は各群100未満であることから、検出力不足の可能性があります。

とはいえ、現時点において両薬剤を併用することの有益性はなさそうです。血栓リスクの高い患者において、追加の益が得られるのか、再現性の確認も含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 非盲検ランダム化比較試験の結果、血栓後症候群に対する血管内治療後6ヵ月間の全一次開存率は予想より高く、アスピリンとリバーロキサバンの併用投与を受けた患者とリバーロキサバン単独投与を受けた患者で同等であった。

根拠となった試験の抄録

背景:血栓後症候群患者において、腸大腿静脈または下大静脈のステント再疎通は静脈の開存性を回復し、機能的転帰を改善する。ステント血栓症のリスクはステント留置後6ヵ月間に特に増加する。ARIVA試験(Aspirin Plus Rivaroxaban Versus Rivaroxaban Alone for the Prevention of Venous Stent Thrombosis in Patients With PTS)では、血栓後症候群に対するステント留置後6ヵ月以内のステント血栓症の予防において、アスピリン100mgの連日投与とリバーロキサバン20mgの併用がリバーロキサバン20mgの単独投与よりも優れているかどうかが検証された。

方法:この多国籍、学術的、非盲検、独立判定試験において、Villaltaスコアが4点以上で、静脈ステント留置による治療が成功した下大静脈、腸骨静脈、総大腿静脈の狭窄または閉塞を有する患者が1:1で試験群にランダムに割り付けられた。主な除外基準は、18歳未満または75歳以上、抗凝固薬使用の禁忌、急性静脈血栓症<3ヵ月などであった。
主要有効性転帰は、連続二重層超音波検査で評価された治療区間に閉塞がないこと、または6ヵ月以内に開存性を維持するために再介入が必要でなかったことの複合であった。Villaltaスコア、QOL、安全性などの副次的アウトカムも評価された。この試験はClinicalTrials.gov(NCT04128956)に登録された。

結果:2020年から2022年までに172例がスクリーニングされ、169例がランダム化され、162例が全解析セットに組み入れられ、アスピリン+リバーロキサバン(n=80)またはリバーロキサバン単独(n=82)を6ヵ月間投与された。平均±SD年齢は42.8±14.7歳、103例(60.9%)が女性、154例(97.5%)が白人、7%に下腿潰瘍が存在した。6ヵ月後の一次開存率はそれぞれ94.8% vs. 92.4%であった(絶対リスク差 2.4%、95%CI -13.6 ~ 18.0)。ベースラインから6ヵ月後までの罹患下肢(潰瘍なし)のVillaltaスコアの平均±SD低下は、それぞれ-6.7±4.4点、-7.0±5.2点であった(P=0.36)。6ヵ月後のその他の転帰やQOLに差はなかった。大出血はみられなかった。

結論:血栓後症候群に対する血管内治療後6ヵ月間の全一次開存率は予想より高く、アスピリンとリバーロキサバンの併用投与を受けた患者とリバーロキサバン単独投与を受けた患者で同等であった。

試験登録番号:NCT04128956

キーワード:アスピリン、血管内治療、血栓後症候群、リバーロキサバン、血栓症

引用文献

Aspirin Plus Rivaroxaban Versus Rivaroxaban Alone for the Prevention of Venous Stent Thrombosis Among Patients With Post-Thrombotic Syndrome: The Multicenter, Multinational, Randomized, Open-Label ARIVA Trial
Stefano Barco et al. PMID: 39874026 PMCID: PMC11932446 DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.124.073050
Circulation. 2025 Mar 25;151(12):835-846. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.124.073050. Epub 2025 Jan 28.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39874026/

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