中期〜後期の早産児に対する栄養サポートの効果はどのくらい?(RCT; DIAMOND試験; N Engl J Med. 2024)

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中期〜後期の早産児に対する栄養サポートの効果は?

中期〜後期の早産児のほとんどは、母乳のみで栄養を摂取できるようになるまで栄養サポートを必要とします。しかし、これらの乳児に対する栄養戦略の指針となる証拠は不足しています。

そこで今回は、中期〜後期の早産児を対象に、栄養サポートによる介入効果を検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験は、静脈内アクセスがあり、母親が母乳栄養を意図している妊娠32週0日~35週6日で出生した乳児を対象とした多施設共同、要因ランダム化試験でした。各乳児は、3つの介入またはその比較群に割り付けられました。
1)完全母乳栄養が確立されるまでのアミノ酸溶液(非経口栄養)またはブドウ糖溶液の静脈内投与
2)母乳が不充分な場合に投与される補助ミルクまたは補助ミルクなしの母乳のみ
3)胃管栄養の前に味覚および嗅覚に暴露する群または味覚および嗅覚に暴露しない群

非経口栄養およびミルク補充介入に関する主要転帰は、修正妊娠月齢4ヵ月時の体脂肪率であり、味覚・嗅覚介入に関する主要転帰は、完全経腸栄養(体重1kgあたり1日150mlまたは母乳のみの哺乳)までの期間でした。

試験結果から明らかになったことは?

合計532人の乳児(男児 291人[55%])が試験に組み入れられました。

非経口栄養群ブドウ糖溶液群調整平均差
(95%CI)
4ヵ月時の平均(±SD)体脂肪率26.0±5.4%26.2±5.2%調整平均差 -0.20
-1.32 ~ 0.92
P=0.72
補助ミルク群母乳のみ群調整平均差
(95%CI)
4ヵ月時の平均(±SD)体脂肪率26.3±5.3%25.8±5.4%調整平均差 0.65
-0.45 ~ 1.74
P=0.25

4ヵ月時の平均(±SD)体脂肪率は、非経口栄養を受けた乳児とブドウ糖溶液を受けた乳児(26.0±5.4% vs. 26.2±5.2%;調整平均差 -0.20、95%信頼区間[CI] -1.32 ~ 0.92;P=0.72)、補助ミルクを投与された乳児と母乳のみを投与された乳児(26.3±5.3% vs. 25.8±5.4%;調整平均差 0.65、95%信頼区間 -0.45 ~ 1.74;P=0.25)の間で程度でした。

味覚と嗅覚に曝露された群曝露されなかった群
完全経腸栄養までの期間5.8±1.5日
P=0.59
5.7±1.9日

完全経腸栄養までの期間は、味覚と嗅覚に曝露された乳児と曝露されなかった乳児とで同程度でした(5.8±1.5日 vs. 5.7±1.9日;P=0.59)。副次的転帰は介入間で同様でした。

重篤な有害事象は乳児1人に発生しました。

コメント

中期〜後期の早産児に対する栄養サポートの介入効果については充分に検証されていません。

さて、ランダム化比較試験の結果、中期~後期の早産児を支援するためのルーチンの栄養介入は完全経腸栄養までの期間または修正妊娠月齢4ヵ月時の身体組成に対する効果が示されませんでした。

裏を返せば、完全母乳育児にこだわる必要はないとも受け取れます。出生児の状態、置かれた環境に合わせて、栄養サポートを受け、児の健やかな成長を実現できると良いかもしれませんね。

続報に期待。

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✅まとめ✅ ランダム化比較試験の結果、中期~後期の早産児を支援するためのルーチンの栄養介入は完全経腸栄養までの期間または修正妊娠月齢4ヵ月時の身体組成に対する効果が示されなかった。

根拠となった試験の抄録

背景:中期〜後期の早産児のほとんどは、母乳のみで栄養を摂取できるようになるまで栄養サポートを必要とする。これらの乳児に対する栄養戦略の指針となる証拠は不足している。

方法:静脈内アクセスがあり、母親が母乳栄養を意図している妊娠32週0日~35週6日で出生した乳児を対象とした多施設共同、要因ランダム化試験を実施した。各乳児は、3つの介入またはその比較群に割り付けられた:完全母乳栄養が確立されるまでのアミノ酸溶液(非経口栄養)またはブドウ糖溶液の静脈内投与;母乳が不十分な場合に投与される補助ミルクまたは補助ミルクなしの母乳のみ;胃管栄養の前に味覚および嗅覚に暴露する群または味覚および嗅覚に暴露しない群。
非経口栄養およびミルク補充介入に関する主要転帰は、修正妊娠月齢4ヵ月時の体脂肪率であり、味覚・嗅覚介入に関する主要転帰は、完全経腸栄養(体重1kgあたり1日150mlまたは母乳のみの哺乳)までの期間であった。

結果:合計532人の乳児(男児 291人[55%])が試験に組み入れられた。4ヵ月時の平均(±SD)体脂肪率は、非経口栄養を受けた乳児とブドウ糖溶液を受けた乳児(26.0±5.4% vs. 26.2±5.2%;調整平均差 -0.20、95%信頼区間[CI] -1.32 ~ 0.92;P=0.72)、補助ミルクを投与された乳児と母乳のみを投与された乳児(26.3±5.3% vs. 25.8±5.4%;調整平均差 0.65、95%信頼区間 -0.45 ~ 1.74;P=0.25)の間で程度であった。完全経腸栄養までの期間は、味覚と嗅覚に曝露された乳児と曝露されなかった乳児とで同程度であった(5.8±1.5日 vs. 5.7±1.9日;P=0.59)。副次的転帰は介入間で同様であった。重篤な有害事象は乳児1人に発生した。

結論:母乳による完全栄養が可能になるまで中期~後期の早産児を支援するためのルーチンの栄養介入に関するこの試験では、完全経腸栄養までの期間または修正妊娠月齢4ヵ月時の身体組成に対する効果は示されなかった。

オーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録番号:ACTRN12616001199404

引用文献

Nutritional Support for Moderate-to-Late-Preterm Infants – A Randomized Trial
Tanith Alexander et al. PMID: 38657245 DOI: 10.1056/NEJMoa2313942
N Engl J Med. 2024 Apr 25;390(16):1493-1504. doi: 10.1056/NEJMoa2313942.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38657245/

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