テリパラチド週1回投与で一過性低血圧は起こるのか?(J Med Invest. 2015)

osteoporosis treatment and medication overview 06_骨代謝系
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― 80歳女性の症例報告


臨床疑問(Clinical Question)

テリパラチド週1回皮下注射は、投与直後に血圧低下を引き起こす可能性があるのか?


研究の背景

テリパラチド(副甲状腺ホルモン1-34, 商品名:テリボン)は、骨形成を促進する作用を持つ骨粗鬆症治療薬である。骨密度増加や骨折リスク低下が報告されており、骨粗鬆症治療の重要な選択肢の一つとされている。

既知の副作用としては

  • 頭痛
  • 悪心
  • めまい
  • 四肢痛

などが報告されている。

一方で、テリパラチド投与後の血圧低下については言及があるものの、各投与後の血圧変化を詳細に評価した症例報告はほとんどなかった

本報告では、高血圧治療中の骨粗鬆症患者において、テリパラチド週1回投与後の血圧変化を観察した症例が報告されている。


PICO

P:骨粗鬆症を有する80歳女性(高血圧あり、降圧治療を受けている)
I:テリパラチド週1回皮下注射(56.5 μg) ※商品名:テリボン
C:ー(なし)
O:投与後の血圧変化、心拍数、症状


試験デザイン

  • 研究タイプ:症例報告
  • 対象:80歳女性
  • 投与薬:テリパラチド56.5 μg(週1回皮下注射)
  • 観察期間:24週間
  • 評価項目
    • 血圧
    • 心拍数
    • 自覚症状

血圧測定は、投与前、投与30分後、投与60分後で実施された。

患者は高血圧治療薬として、バルサルタン、ヒドロクロロチアジド、アテノロール、アムロジピンを服用していた。


試験結果から明らかになったことは?

血圧・心拍数の変化

指標投与前30分後60分後
収縮期血圧基準値低下低下(やや回復)
拡張期血圧基準値低下回復
心拍数基準値上昇上昇

収縮期血圧は投与30分および60分後に低下し、心拍数は時間経過とともに増加した。これは血圧低下に対する代償性頻脈と考えられた。


最大血圧低下

指標最大変化
収縮期血圧−66mmHg
拡張期血圧−32mmHg

添付文書の薬理試験では、収縮期血圧 −4.6mmHg、拡張期血圧 −8.8mmHg程度とされており、本症例ではそれより大きな低下が観察された。


自覚症状

症状発生
悪心初回・2回目投与後のみ軽度
その他症状なし

低血圧はほとんど無症状であった。


試験の限界(批判的吟味)

本報告は単一症例であり、いくつかの制約がある。

第一に、症例報告であるため、観察された血圧低下がテリパラチドによるものか、あるいは患者個別の要因によるものかを明確に区別することはできない。

第二に、この患者は複数の降圧薬(ARB、利尿薬、β遮断薬、Ca拮抗薬)を服用しており、血圧低下には降圧薬の影響が関与している可能性がある。
著者らも、血管平滑筋弛緩作用による血管拡張と降圧薬の作用が関係している可能性を指摘している。

第三に、本症例では症状を伴わない低血圧が多く、実臨床で見逃される可能性がある。

また、観察対象は80歳女性1例のみであり、結果を他の患者に一般化することはできない。


コメント(臨床的解釈)

本報告は、テリパラチド週1回投与後に一過性の低血圧が起こり得る可能性を示した症例である。

機序としては

  • PTHによる血管平滑筋弛緩
  • 血管拡張
  • 代償性頻脈

が関与する可能性が示唆されている。

また、高血圧治療薬を併用している患者では血圧低下が強く現れる可能性も考えられる。


まとめ

本症例報告では、

  • テリパラチド週1回投与後
  • 投与30〜60分以内に
  • 一過性低血圧と心拍数増加

が観察された。

多くは無症状であったが、投与後少なくとも1時間は注意深い観察が推奨される可能性が示唆された。

テリボン投与後に低血圧や嘔気が認められる患者では、治療継続が困難であると考えられることから、投与初期に慎重なモニタリングが求められます。

日本の研究では、テリボン投与後に収縮期血圧30mmHg以上の低下が認められる症例を対象に、投与時に水分500mLの摂取を行うことで血圧低下や嘔気の軽減が報告されています(木村文敏. 新薬と臨牀 2016: 65(12): 1602-1615)。また投与時には10~20秒間かけて注入することで上記の副作用が軽減するようです。

症例報告であることから、より大規模な研究結果が待たれます。

続報に期待。

person holding blue plush toy and white syringe

✅まとめ✅ テリパラチド週1回投与製剤であるテリボン投与後に、血圧低下や嘔気症状がみられるかもしれない。降圧治療中の高齢者での継続的なモニタリングが求められる。

試験結果から明らかになったことは?

テリパラチドは、副甲状腺ホルモンの遺伝子組み換え体であり、骨粗鬆症の治療に有用な選択肢として広く認識されています。テリパラチドの副作用としては、頭痛、吐き気、めまい、四肢痛などが報告されています。本研究では、高血圧症を伴う骨粗鬆症の急性期反応として、テリパラチドを週1回皮下注射した、一過性の無症候性低血圧の80歳女性の症例を紹介します。注射前と比較して、注射後30分および60分の両方で収縮期血圧が低下しました。心拍数は時間の経過とともに増加しました。テリパラチド注射前、30分、60分の間で統計的に有意な差が認められました。30分後の1回目および2回目の注射で、自覚症状として軽い吐き気が見られました。この症例は、高血圧症を伴うオステオプロテインの患者に対する治療において、テリパラチドの週1回の皮下注射を行う際には、少なくとも1時間以上の注意深い観察が推奨されることを示しています。これは、我々の知る限り、高血圧症患者にテリパラチドを週1回注射した後に一過性の無症候性低血圧が認められた初めての報告です。一過性低血圧は治療期間中のテリパラチド注射後に発現し、最初の2回の注射を除いて無症候性でした。

根拠となった試験の抄録

Transient severe hypotension with once-weekly subcutaneous injection of teriparatide in osteoporotic patient: a case report and insight for the drug interaction between hypotensive agents and teriparatide
Tetsuya Enishi et al. PMID: 25817292 DOI: 10.2152/jmi.62.93
J Med Invest. 2015;62(1-2):93-6. doi: 10.2152/jmi.62.93.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25817292/

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