日本人は風邪のとき市販薬をどの程度使うのか?(BMC Public Health. 2025)

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ー COVID-19後のセルフメディケーション実態調査


臨床疑問(Clinical Question)

日本では、風邪や咳の症状に対してどの程度セルフメディケーションとしてOTC医薬品が使用されているのか?
また、OTC使用や受診行動に影響する要因は何か?


研究の背景

セルフメディケーションは、

  • 医療費の抑制
  • 医療機関受診の適正化
  • 患者の健康管理能力の向上

といった観点から重要とされている。

特に風邪や咳などの軽症疾患では、OTC医薬品による対応が広く行われている可能性がある。

一方で、どの程度OTCが利用されているのか、受診行動にどのような要因が影響するのか、について、COVID-19後の日本における実態は十分に明らかになっていない。

そこで本研究は、日本における風邪・咳に対するOTCセルフメディケーションの実態と関連要因を調査した。


PICO

P:日本の成人(オンライン調査参加者)
I:風邪・咳症状発症時のOTC医薬品使用
C:社会背景・心理尺度などの要因
O:OTC使用行動、医療機関受診、服薬遵守など


試験デザイン

  • 研究タイプ:横断研究(オンライン調査)
  • 調査期間:2024年4月25日〜6月26日
  • 参加者数:1,086人
  • 解析:多変量ロジスティック回帰
  • 追加解析:サブグループ解析および感度解析

収集した項目には、社会的背景、心理尺度、OTC使用行動が含まれていた。


試験結果から明らかになったことは?

OTC使用行動

指標結果
風邪・咳発症時にOTCを使用する割合43.6%
症状が1週間続いた場合に受診する割合61.7%
用法・用量を守ると回答した割合80%以上

医療機関受診に関連する要因

要因関連
年齢関連あり
居住地域関連あり
教育レベル関連あり
婚姻状況関連あり
保険の種類関連あり
基礎疾患の有無関連あり
定期受診の有無関連あり
外向性(性格特性)関連あり

OTC服薬遵守に関連する要因

要因影響
協調性(agreeableness)正の関連
子どもの有無負の関連

OTC期限認識に関連する要因

要因影響
eHEALS(健康情報のインターネットリテラシー)正の関連

試験の限界(批判的吟味)

本研究にはいくつかの制約がある。

第一に、本研究はオンライン調査による横断研究であり、OTC使用行動と関連要因の因果関係を示すことはできない

第二に、回答は自己申告であり、実際の行動と回答が一致しない可能性(報告バイアス)が存在する。

第三に、オンライン調査のため、インターネット利用者に偏ったサンプルとなる可能性がある。

また、本研究では風邪・咳に対するOTC使用を対象としており、他の症状や疾患に対するセルフメディケーション行動へ結果を直接一般化することはできない。


コメント(臨床的解釈)

本研究は、COVID-19後の日本における風邪症状へのセルフメディケーション行動を示した調査である。

本研究結果から、43.6%が症状発症時にOTCを使用、61.7%が1週間以内に医療機関を受診、という行動パターンが示された。

また、OTC使用において80%以上が用法・用量を守ると回答した点は興味深い。

さらに、性格特性、インターネットリテラシーといった心理社会的要因がセルフメディケーション行動に関連する可能性も示唆された。


まとめ

本研究では、日本において風邪や咳に対してOTC医薬品を使用する人は約4割、多くの人が用法・用量を意識していることが示された。

セルフメディケーションの促進には、社会背景や心理的要因を考慮した支援が重要と考えられる。

処方薬との相互作用や重複などが発生する可能性が高いことから、ドラッグストアや調剤薬局んぼ薬剤師・登録販売による指導など利用者との関わり方が重要と考えられる。医薬品の適正使用におけるあり方について改めて考えてみてはどうか。

継続して追っていきたいテーマです。続報に期待。

over the counter pharmacy medications display

✅まとめ✅ 日本の横断研究の結果、日本人の多くは、風邪や咳止めに市販薬を使用していることが明らかになった。ほとんどの参加者は、OTC医薬品の適切な使用について強い意識を示した。OTC医薬品のさらなる普及のためには、本研究で明らかになった主要な要因に対処することが重要である。

根拠となった試験の抄録

背景: 市販薬(OTC医薬品)の使用に影響を与える要因を理解することは、OTC医薬品の適正使用を導き、国民医療費の削減に重要な情報を提供する。本研究は、COVID-19パンデミック後の日本における風邪や咳に対するOTC医薬品のセルフメディケーションの状況を調査し、関連要因を考察する。

方法: 本研究は、2024年4月25日から6月26日まで実施されたオンライン横断調査である。日本における風邪と咳に対するセルフメディケーション行動の実態と、社会背景および心理尺度を共変量として収集した。これらの関連性は、多変量ロジスティック回帰を用いて分析した。サブグループ分析および感度分析を実施し、結果の堅牢性を検証した。

結果: 本研究には1,086人が参加した。参加者の43.6%は風邪や咳の症状が現れてから市販薬を服用していた。症状が1週間続いた後に医療機関を受診した割合は61.7%だった。参加者の80%以上が使用上の注意を厳守していた。1週間以内に医療機関を受診することに関連する要因には、年齢、居住地域、教育水準、婚姻状況、保険の種類、基礎疾患の有無、定期的な受診、外向性などがあった。服薬遵守に関しては、協調性の特性がプラス要因と判断された一方、子供がいることはマイナス要因と判断された。市販薬の使用期限の認識については、健康関連情報の検索に関するインターネットリテラシーを示すeHEALSが有意かつ強力なプラス要因であることが判明した。

結論: 日本人の多くは、風邪や咳止めに市販薬を使用していることが分かりました。ほとんどの参加者は、OTC医薬品の適切な使用について強い意識を示しました。OTC医薬品のさらなる普及のためには、本研究で明らかになった主要な要因に対処することが重要です。

キーワード: 遵守、市販薬、心理的要因、医療を求めること、自己治療行動

引用文献

Status and influencing factors of OTC medicine use for self-medication in cold and cough: a cross-sectional survey in Japan
Yu-Shi Tian et al. PMID: 40413411 PMCID: PMC12102812 DOI: 10.1186/s12889-025-23113-4
BMC Public Health. 2025 May 24;25(1):1918. doi: 10.1186/s12889-025-23113-4.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40413411/

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