カフェインは就寝何時間前まで摂取して良いですか?(SR&MA; Sleep Med Rev. 2023)

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カフェインを摂るなら何時まで?

カフェインは覚醒作用を持つ代表的な刺激物質であり、眠気対策や集中力向上のために日常的に摂取されています。しかし、睡眠の質や時間に悪影響を与える可能性があることが指摘されており、「何時間前までに控えるべきか」は明確なエビデンスが求められてきました。

今回ご紹介するのは、24件の研究を統合した系統的レビューとメタ解析です。カフェイン摂取が夜間睡眠に与える影響と、摂取を控えた方が良い時間の目安を明らかにした研究です。


試験結果から明らかになったことは?

◆研究概要

項目内容
研究デザイン系統的レビュー・メタ解析
対象研究24件のヒト試験
評価項目総睡眠時間、入眠潜時、睡眠効率、睡眠段階(N1・N3など)など
目的カフェインが睡眠構造・質に与える影響と、就寝前に控えるべき時間を明らかにすること

◆主な結果(アウトカム別)

アウトカムカフェイン摂取の影響
総睡眠時間−45分短縮
睡眠効率−7%低下
入眠潜時(寝つくまでの時間)+9分延長
覚醒時間(入眠後の覚醒)+12分延長
浅い睡眠(N1)の時間+6.1分増加(+1.7%)
深い睡眠(N3・N4)の時間−11.4分減少(−1.4%)

このように、カフェインは睡眠の量だけでなく質(睡眠段階)にも悪影響を及ぼすことが示されました。


◆就寝前の摂取制限時間の目安

研究では、摂取量ごとに「睡眠時間への影響を回避するための目安時間」が算出されました:

カフェイン摂取内容摂取を控えた方が良い時間(就寝前)
コーヒー(250mL中 約107mg)8.8時間以上前
プレワークアウトサプリ(約217.5 mg)13.2時間以上前

つまり、午後遅く〜夕方以降のカフェイン摂取は、夜間の睡眠を顕著に妨げる可能性が高いことがわかります。


◆臨床的・実生活への示唆

  • 睡眠の質を高めたい場合、昼過ぎ以降(特に午後3時以降)のカフェイン摂取は控えることが推奨されます。
  • 深い睡眠(N3)が減少すると、成長ホルモン分泌や記憶定着などの重要な生理機能にも影響を及ぼす可能性があります。
  • 覚醒作用だけでなく、睡眠段階の質的変化も考慮してカフェイン摂取をコントロールすることが重要です。

◆研究の限界と今後の課題

  • 研究間で対象者の年齢・性別・カフェイン耐性に差があるため、個人差の影響を完全に排除できていません。
  • 睡眠への影響は個人の代謝速度(CYP1A2遺伝子多型など)にも左右されるため、個別化指導の必要性があります。
  • 今後は、実生活に近い条件(カフェインの習慣的摂取など)での研究が求められます。

◆まとめ

✅ カフェインは総睡眠時間を約45分短縮し、睡眠効率・深い睡眠を低下させる。
✅ コーヒーは8.8時間前、カフェイン高用量サプリは13.2時間前までに摂取を終えるのが理想。
✅ 睡眠の量だけでなく「質」を守るためにも、摂取タイミングに注意が必要。


本研究のポイント
「夕方の一杯くらい大丈夫」と思っていても、その一杯が深い眠りを妨げ、翌日の集中力・代謝・免疫機能に影響を及ぼしている可能性があります。睡眠の質を重視するなら、カフェインの “摂取タイミング” を見直すことが重要です。

日本人においても同様の結果が示されるのか、再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。

続報に期待。

close up photography of sleeping tabby cat

✅まとめ✅ システマティックレビュー・メタ解析の結果、カフェインは総睡眠時間を約45分短縮し、睡眠効率・深い睡眠を低下させることが明らかとなった。コーヒーは8.8時間前、カフェイン高用量サプリは13.2時間前までに摂取を終えるのが睡眠への影響を最小化するために必要なようであった。

根拠となった試験の抄録

背景・方法: 睡眠不足に対するカフェインの摂取は、その後の睡眠の開始および維持を損なう可能性があります。このシステマティックレビューとメタアナリシスでは、就寝前にカフェインを摂取すべきでない時間を特定することを目的として、夜間の睡眠の特徴に対するカフェインの影響を調査しました。

結果: 文献のシステマティック検索が行われ、24の研究が分析に含まれました。カフェイン摂取により、総睡眠時間は45分、睡眠効率は7%減少し、入眠潜時は9分、入眠後の覚醒時間は12分増加しました。浅い睡眠(N1)の持続時間(+6.1分)および割合(+1.7%)はカフェイン摂取とともに増加し、深い睡眠(N3およびN4)の持続時間(-11.4分)および割合(-1.4%)はカフェイン摂取とともに減少しました。睡眠時間の減少を防ぐには、コーヒー(250mLあたり107mg)は就寝の少なくとも8.8時間前までに摂取し、標準的なプレワークアウトサプリメント(217.5mg)は就寝の少なくとも13.2時間前までに摂取する必要があります。

結論: 本研究の結果は、睡眠への有害な影響を軽減するための適切なカフェイン摂取に関するエビデンスに基づいた指針を示しています。

キーワード: アデノシン、睡眠行動、睡眠障害、睡眠に関する推奨事項、眠気、刺激剤

引用文献

The effect of caffeine on subsequent sleep: A systematic review and meta-analysis
Carissa Gardiner et al. PMID: 36870101 DOI: 10.1016/j.smrv.2023.101764
Sleep Med Rev. 2023 Jun:69:101764. doi: 10.1016/j.smrv.2023.101764. Epub 2023 Feb 6.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36870101/

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