ジクアホソル vs. レバミピド:オフィス作業者のドライアイにはどちらが良い?(RCT;Sci Rep. 2017)

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はじめに:この論文でわかること

現代のオフィスワーカーに多い悩み、「ドライアイ」。特にパソコン作業などVDT(Visual Display Terminal)作業に従事する人では、涙の安定性や角結膜上皮障害、QOLの低下が問題となります。

今回紹介する論文では、ムチン分泌促進作用をもつ2種類の点眼薬「ジクアホソル(DQS)」と「レバミピド(RBM)」について、効果と使用感を比較したランダム化比較試験の結果が報告されています。


研究の概要

研究デザイン

  • ランダム化比較試験(RCT)
  • 対象:1日4時間以上のパソコン作業を行うドライアイ症候群(DES)患者
  • 比較群
     - DQS群(ジクアホソルナトリウム3%点眼)
     - RBM群(レバミピド2%点眼)
  • 観察期間:4週間(2週および8週は任意)

試験結果から明らかになったことは?

■主な評価項目

項目結果(両群共通)
DEQSスコア(ドライアイQOL指標)2週、4週、8週で有意に改善
TBUT(涙液層破壊時間)2週、4週で有意に延長
角結膜フルオレセイン染色スコア有意改善(時期不明)
患者の使用感(アンケート)DQSの方が快適との回答が多い

※いずれの群も局所・全身の有害事象なし


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◆臨床的意義

ムチン分泌を促進することで角膜上皮を保護し、涙の安定性を改善するジクアホソルとレバミピド。今回のRCTでは、どちらも効果的であり、安全性も高いことが確認されました。

一方で、患者の主観的な「使い心地のよさ」は、ジクアホソルにやや軍配が上がりました。これはドライアイ治療において継続使用のモチベーションに影響する可能性があり、無視できないポイントです。


◆試験の限界

  • 短期間(4〜8週)の観察にとどまっており、長期的な効果や継続率は不明
  • DEQSやTBUT以外の視機能指標(例:涙液分泌量、視力)には言及なし
  • 任意来院(2週・8週)によるバイアスの可能性
  • 使用感に関するアンケートの詳細な設問・スコアは本文に明記されていない

◆今後の検討課題

  • 長期使用による効果持続性・安全性の検証
  • 重症ドライアイや他の基礎疾患(シェーグレン症候群など)への応用
  • 涙液安定性や炎症マーカーとの関連評価
  • コストパフォーマンスやアドヒアランス(服薬遵守)への影響

ドライアイ治療薬を比較した貴重なランダム化比較試験の結果、効果に差はなさそうです。一方、使用感としてはジクアホソルの方が良さそうです。個人的な推測となりましが、レバミピドは薬液が白濁しており、点眼後に視界が遮られます。このため使用感の評価が思わしくなかったものと考えられます。短期間の使用結果ではありますが、効果に違いがなければ、どちらを使用してもよいでしょう。

より長期的な効果検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ ランダム化比較試験の結果、ジクアホソルとレバミピドの両方がオフィスワーカーのドライアイ治療に有効であることが示唆された。

根拠となった試験の抄録

背景:本研究の目的は、オフィスワーカーのドライアイ症候群(DES)の治療において、2種類のムチン分泌促進薬、ジクアホソル(DQS)とレバミピド(RBM)を比較することであった。

方法:1日4時間を超えてコンピュータを使用するドライアイ患者は、DQSまたはRBMによる治療にランダムに割り当てられた。主要評価項目は、涙液膜破壊時間(TBUT)の変化とドライアイ関連の生活の質スコア(DEQS)で評価した自覚症状であった。被験者は0週と4週目に検査を予定し、2週と8週目の検査は任意であった。角結膜フルオレセインスコアの変化と患者満足度質問票も記録した。

結果:両群とも、研究開始後2、4、8週目にDEQSスコアの有意な改善を示した。両群とも、2週目と4週目にTBUTの有意な増加を示した。患者は、RBMと比較してDQSの使用の方が快適であると報告しました。局所的または全身的な副作用は認められませんでした。

結論:本研究の結果は、DQSとRBMの両方がオフィスワーカーのDES治療に有効であることを示唆しました。

引用文献

A Prospective, Randomized Trial of Two Mucin Secretogogues for the Treatment of Dry Eye Syndrome in Office Workers
Jun Shimazaki et al. PMID: 29123104 PMCID: PMC5680274 DOI: 10.1038/s41598-017-13121-9
Sci Rep. 2017 Nov 9;7(1):15210. doi: 10.1038/s41598-017-13121-9.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29123104/

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