食べ物による完全食道閉塞患者に対してコーラは有効ですか?(Open-RCT; BMJ. 2023)

coca cola cans and glasses with lines 04_消化器系
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食べ物による食道閉塞に対するコーラの影響は?

食べ物(食塊)による完全食道閉塞の解消におけるコーラの効果については不明です。

そこで今回は、食塊による食道閉塞に対するコーラの有効性・安全性を検検証した小規模なランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本研究は、オープンラベル、多施設、ランダム化比較試験です。2019年12月22日~2022年6月16日の間に、オランダの2次および3次レベルの5施設の病院救急部で実施されました。

食塊による完全食道閉塞を呈し、食物摂取後に突然唾液が通過できなくなると定義された成人51例が対象となりました。骨を含む肉を摂取した患者、米国麻酔科学会(ASA)の身体状態分類がIV以上の患者は除外されました。

介入:介入群の患者28例に、最大総量200mLまで、間隔をあけて25mLのコーラ1杯を摂取するよう指示した。対照群の23例は自然排泄を待った。いずれの群においても、症状が完全に消失しない場合は、現在のガイドラインに従って内視鏡的抜去が行われた。完全閉塞の場合は6時間以内、部分閉塞の場合は24時間以内。症状が完全に消失した場合は、選択的診断内視鏡検査が必要とされた。

主要評価項目:患者が報告した食塊を原因とする食道閉塞の改善(すなわち、完全通過と部分的通過の合計)、および完全通過の評価。副次的アウトカムは、介入に関連した有害事象であった。

試験結果から明らかになったことは?

介入群
(コーラ摂取)
対照群
オッズ比
(95%CI)
相対リスク減少
(95%CI)
食塊を原因とする食道閉塞の改善
(完全通過と部分的通過の合計)
17/28例(61%)14/23例(61%)オッズ比 1.00
0.33~3.1
相対リスク減少 0.0
-0.55~0.36
P>0.99
 完全通過12/28例(43%)8/23例(35%)オッズ比 1.4
0.45~4.4
相対リスク減少 -0.23
-1.5~0.39
P=0.58

コーラは食塊による食道閉塞の改善に有意な影響を及ぼしませんでした(介入:17/28例(61%) vs. 対照:14/23例(61%); オッズ比 1.00、95%信頼区間 0.33~3.1; 相対リスク減少 0.0、95%信頼区間 -0.55~0.36; P>0.99)。

完全通過は介入群で多く報告されましたが、この差は有意ではありませんでした(介入群:12/28例(43%)vs. 対照群:8/23例(35%); オッズ比 1.4(0.45~4.4); 相対リスク減少 -0.23(-1.5~0.39); P=0.58)。

重篤な有害事象は発生しませんでした。しかし、介入群の6例(21%)がコーラを飲んだ後に一時的な不快感を経験しました。

コメント

米国等では、食塊による食道閉塞の発症に食道狭窄、逆流性食道炎などの器質的疾患が関与する割合が高いと考えられています。診療ガイドラインでは、食塊による食道閉塞に対して、内視鏡的抜去が推奨されていますが、より侵襲性の低い治療法が求められています。

さて、ランダム化比較試験の結果、コーラ摂取が食塊による完全食道閉塞の解消において改善率を高めることはありませんでした。

ただし、小規模な非盲検ランダム化比較試験の結果であることから、追試が求められます。

続報に期待。

coca cola can and drinking glass filled with coke

✅まとめ✅ ランダム化比較試験の結果、コーラ摂取が食塊による完全食道閉塞の解消において改善率を高めることはなかった。

根拠となった試験の抄録

食べ物(食塊)による完全食道閉塞の解消におけるコーラの有効性と安全性を検討すること。

試験デザイン:オープンラベル、多施設、ランダム化比較試験

試験設定:2019年12月22日~2022年6月16日の間に、オランダの2次および3次レベルの5施設の病院救急部。

試験参加者:食塊による完全食道閉塞を呈し、食物摂取後に突然唾液が通過できなくなると定義された成人51例。骨を含む肉を摂取した患者、米国麻酔科学会(ASA)の身体状態分類がIV以上の患者は除外した。
・Class IV:生命を脅かす程の全身性疾患を有し、日常の活動が不能である患者
・Class V:手術の施行、非施行にかかわらず、24時間以上は延命できそうにない瀕死の患者

介入:介入群の患者28例に、最大総量200mLまで、間隔をあけて25mLのコーラ1杯を摂取するよう指示した。対照群の23例は自然排泄を待った。いずれの群においても、症状が完全に消失しない場合は、現在のガイドラインに従って内視鏡的抜去が行われた。完全閉塞の場合は6時間以内、部分閉塞の場合は24時間以内。症状が完全に消失した場合は、選択的診断内視鏡検査が必要とされた。

主要評価項目:患者が報告した食塊を原因とする食道閉塞の改善(すなわち、完全通過と部分的通過の合計)、および完全通過の評価。副次的アウトカムは、介入に関連した有害事象であった。

結果:コーラは食塊による食道閉塞の改善に有意な影響を及ぼさなかった(介入:17/28例(61%) vs. 対照:14/23例(61%); オッズ比 1.00、95%信頼区間 0.33~3.1; 相対リスク減少 0.0、95%信頼区間 -0.55~0.36; P>0.99)。完全通過は介入群で多く報告されたが、この差は有意ではなかった(介入群:12/28例(43%)vs. 対照群:8/23例(35%); オッズ比 1.4(0.45~4.4); 相対リスク減少 -0.23(-1.5~0.39); P=0.58)。重篤な有害事象は発生しなかった。しかし、介入群の6例(21%)がコーラを飲んだ後に一時的な不快感を経験した。

結論:本研究では、コーラ摂取が食塊による完全食道閉塞の解消において改善率を高めることはなかった。治療群に有害事象がなく、治療後にいくつかの事象が消失したことから、コーラは第一選択治療として考慮されるかもしれないが、内視鏡的管理の計画を遅らせるべきではない。

試験登録:Netherlands Trial Register(現在はInternational Clinical Trial Registry Platform) NL8312

引用文献

Efficacy of cola ingestion for oesophageal food bolus impaction: open label, multicentre, randomised controlled trial
E G Tiebie et al. PMID: 38081653 PMCID: PMC10711662 DOI: 10.1136/bmj-2023-077294
BMJ. 2023 Dec 11:383:e077294. doi: 10.1136/bmj-2023-077294.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38081653/

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