錠剤の外観変更に対する患者の嗜好と治療継続率は？（横断研究; Am J Manag Care. 2020）

錠剤の外観変化に対する患者の変化とは？

医薬品の流通状況や後発医薬品の発売により服用中の薬の外観（大きさ、形状、色、マーク）が変化することは、しばしば見られる事象です。しかし、この変化が患者の服薬コンプライアンスに及ぼす影響については不明です。

そこで今回は、錠剤の外観（大きさ、形状、色、マーク）の変化に対する患者と薬剤師の嗜好と経験をよりよく理解することを目的に実施された横断研究の結果をご紹介します。

うつ病、糖尿病、てんかん、HIV、高脂血症、高血圧の治療薬としてジェネリック医薬品を服用している50歳以上の患者、およびチェーン薬局、フランチャイズ薬局、または個人薬局で働く免許を有する薬剤師を対象に、独自の全国調査をが実施されました（回答収集期間：2016年1月〜4月）。

試験結果から明らかになったことは？

1,000人の患者回答者（回答率30％）のうち、ほとんどが錠剤の外観の変化を経験したと報告し（51％）、それについて通知されることを希望していました（82％）が、通知されたことを記憶していましたのは半数以下でした（口頭：36％、ステッカー経由：45％）。変化を経験したと報告した患者のうち、12％が服薬の中止または使用頻度の減少を報告しました。

薬剤師の回答者710例（回答率33％）のうち、多くは自分の薬局で錠剤の外観の変更が頻繁に起こっていると報告し（変更が月に6回以上起こっていると報告：47％）、4分の3以上が患者に対して頻繁に通知していると報告しました（口頭：88％、ステッカー経由：77％）。

コメント

錠剤の外観変化については、流通状況や後発医薬品の発売などにより、医療業界ではよく認められる事象です。しかし、この変化が患者の服薬アドヒアランスにどのように影響するのかについては充分に検証されていません。

さて、横断研究の結果、錠剤の外観変化について通知を希望したのは82%であり、服薬中止または使用頻度が減少したのは12%でした。より良い告知方法と患者教育を通じて、錠剤の外観変更に関する患者の経験を改善することが求められます。

ただし、本調査は2016年のデータであることから、現在の状況とは異なっていると考えられます。定期的な調査が求められます。

続報に期待。

✅まとめ✅ 横断研究の結果、錠剤の外観変化について通知を希望したのは82%であり、服薬中止または使用頻度が減少したのは12%だった。より良い告知方法と患者教育を通じて、錠剤の外観変更に関する患者の経験を改善することが求められる。

根拠となった試験の抄録

目的：錠剤の外観（大きさ、形状、色、マーク）の変化に対する患者と薬剤師の嗜好と経験をよりよく理解すること。

研究デザイン：横断研究

方法：うつ病、糖尿病、てんかん、HIV、高脂血症、高血圧の治療薬としてジェネリック医薬品を服用している50歳以上の患者、およびチェーン薬局、フランチャイズ薬局、または個人薬局で働く免許を有する薬剤師を対象に、独自の全国調査を実施した。回答は2016年1月から4月の間に収集された。

結果：1,000人の患者回答者（回答率30％）のうち、ほとんどが錠剤の外観の変化を経験したと報告し（51％）、それについて通知されることを希望した（82％）が、半数以下は通知されたことを記憶していた（口頭：36％、ステッカー経由：45％）。変化を経験したと報告した患者のうち、12％が服薬の中止または使用頻度の減少を報告した。薬剤師の回答者710例（回答率33％）のうち、多くは自分の薬局で錠剤の外観の変更が頻繁に起こっていると報告し（変更が月に6回以上起こっていると報告：47％）、4分の3以上が患者に対して頻繁に通知していると報告した（口頭：88％、ステッカー経由：77％）。

結論：今回の調査結果は、より良い告知方法と患者教育を通じて、錠剤の外観変更に関する患者の経験を改善する機会を明らかにした。

引用文献

Preferences for and experiences with pill appearance changes: national surveys of patients and pharmacists
Rachel E Barenie et al. PMID: 32835461 DOI: 10.37765/ajmc.2020.44070
Am J Manag Care. 2020 Aug;26(8):340-347. doi: 10.37765/ajmc.2020.44070.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32835461/