合併症のない創傷感染予防のための予防的局所抗生物質の効果はどのくらい?(SR&MA; Infect Drug Resist. 2018)

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局所抗生物質の予防的投与は有効か?

合併症のない創傷の感染予防のために局所抗生物質を処方することは一般的です。しかし、その有効性はあまり報告されていません。

そこで今回は、予防的外用抗生物質による合併症のない創傷の感染予防に効果について検証したシステマティックレビュー・メタ解析の結果をご紹介します。

検索対象は、Pubmed、Google Scholar、SCOPUS、Embase、Cochrane、ClinicalTrials.gov、International Clinical Trials Registry Platform、National Technical Information Service、National Guidelines Clearinghouseでした。

試験結果から明らかになったことは?

システマティックレビューの基準を満たす8件のランダム化比較試験と4件の準ランダム化試験が同定されました。これらの試験のうち、外用抗菌薬とプラセボの効果を比較するために11試験がメタ解析にプールされ、合併症のない創傷に対する外用抗菌薬と外用消毒薬の効果を比較するために4試験がプールされました。

リスク比
(95%CI)
リスク差
(95%CI)
創感染
(局所外用抗生物質投与群 vs. プラセボ投与群)
プールリスク比 0.57
0.37~0.86
p=0.01
プールリスク差 -3.1%
-5.8% ~ -0.34%
p=0.03

局所外用抗生物質投与群では、プラセボ投与群に比べて創感染が少ないことが示されました(プールリスク比 0.57、95%CI 0.37~0.86;p=0.01、プールリスク差 -3.1%、95%CI -5.8% ~ -0.34%、p=0.03)。

リスク比
(95%CI)
リスク差
(95%CI)
創感染
(局所外用抗生物質投与群 vs. 消毒薬群)
プールリスク比 0.56
0.23~0.91
p=0.02
プールリスク差 -3.7%
-7.9 ~ +0.6%
p=0.09

消毒薬と比較して、局所抗生物質は統計学的に有意な相対リスク減少を示しました(プールリスク比 0.56、95%CI 0.23~0.91;p=0.02)が、有意な絶対リスク減少は認められませんでした(プールリスク差 -3.7%、95%CI -7.9 ~ +0.6%;p=0.09)。

コメント

合併症のない創傷の感染予防のために局所抗生物質を処方することは一般的ですが、有効性については充分に検討されていません。

さて、メタ解析の結果によれば、局所抗生物質はプラセボや消毒薬と比較して、外科的処置後の創感染症の減少に有効であることが示されましたが、その絶対的有益性は小さいことが示されました。

局所抗生物質を積極的に使用する意義は低いようです。重症化リスクを有する患者に対しては、内服あるいは静脈内投与が選択される可能性が高いことから、局所抗生物質を使用するケースの特定が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 局所抗生物質は外科的処置後の創感染症の減少に有効であるが、その絶対的有益性は小さいことが示された。

根拠となった試験の抄録

背景:合併症のない創傷の感染予防のために局所抗生物質を処方することは一般的である。しかし、その有効性はあまり報告されていない。そこで本研究の目的は、予防的外用抗生物質による合併症のない創傷の感染予防に関する利用可能なエビデンスのシステマティックレビューとメタアナリシスを実施することである。

材料と方法:検索対象は、Pubmed、Google Scholar、SCOPUS、Embase、Cochrane、ClinicalTrials.gov、International Clinical Trials Registry Platform、National Technical Information Service、National Guidelines Clearinghouseとした。

結果:システマティックレビューの基準を満たす8件のランダム化比較試験と4件の準ランダム化試験を同定した。これらの試験のうち、外用抗菌薬とプラセボの効果を比較するために11試験をメタ解析にプールし、合併症のない創傷に対する外用抗菌薬と外用消毒薬の効果を比較するために4試験をプールした。外用抗生物質投与群では、プラセボ投与群に比べて創感染が少なかった(プールリスク比 0.57、95%CI 0.37~0.86;p=0.01、プールリスク差 -3.1%、95%CI -5.8% ~ -0.34%、p=0.03)。消毒薬と比較して、局所抗生物質は統計学的に有意な相対リスク減少を示した(プールリスク比 0.56、95%CI 0.23~0.91;p=0.02)が、有意な絶対リスク減少は認められなかった(プールリスク差 -3.7%、95%CI -7.9 ~ +0.6%;p=0.09)。

結論:局所抗生物質は外科的処置後の創感染症の減少に有効であるが、その絶対的有益性は小さい。世界的な抗菌薬耐性の出現を考慮すると、抗生物質の慎重な使用が推奨され、局所抗生物質の合理的な代替手段として防腐剤の使用が考慮されるべきである。

キーワード:予防、局所抗生物質、創傷感染症

引用文献

A systematic review and meta-analysis on the use of prophylactic topical antibiotics for the prevention of uncomplicated wound infections
Qiao-Jing Tong et al. PMID: 29588605 PMCID: PMC5858851 DOI: 10.2147/IDR.S151293
Infect Drug Resist. 2018 Mar 16:11:417-425. doi: 10.2147/IDR.S151293. eCollection 2018.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29588605/

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