高齢者ではスタチンによるLDLコレステロール低下作用が大きい?(デンマーク全国コホート研究; Ann Intern Med. 2023)

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スタチンによるLDLコレステロール低下効果は年齢により異なるのか?

スタチン治療に対する低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の反応性には患者間で大きなばらつきがあることが知られています。LDL-Cの減少は治療を受けた患者の年齢に依存する可能性があるものの、特に高齢者ではランダム化比較試験に組み入れられる割合が大幅に低いことからエビデンスが充分ではありません。

そこで今回は、年齢とスタチンによるLDL-C低下との関連を検討するためにデンマークで行われた全国規模の登録ベースのコホート研究(2008~2018年)の結果をご紹介します。

解析の対象となったのは、スタチン使用前および使用中にLDL-Cを測定したシンバスタチンまたはアトルバスタチン開始者 82,958例でした。

スタチン反応(プレスタチンLDL-C値の減少率として定義)、LDL-Cの縦断的モデルに基づく年齢、シンバスタチンまたはアトルバスタチン用量による減少率差(PRD)について比較検討されました。

試験結果から明らかになったことは?

スタチン投与開始者 82,958例中、10,388例(13%)が75歳以上でした。

スタチン開始年齢における平均LDL-C低下率75歳以上50歳未満
シンバスタチン20mg39.0%33.8%
アトルバスタチン20mg44.2%40.2%

低〜中強度スタチンでは、75歳以上の開始者は50歳未満の開始者よりも平均LDL-C低下率が大きいことが示されました。例えば、シンバスタチン20mgでは39.0% vs. 33.8%、アトルバスタチン20mgでは44.2% vs. 40.2%でした。

75歳以上の開始群 vs. 50歳未満の開始群
調整後のLDL-C減少率差(PRD)2.62%ポイント
 一次予防2.54%ポイント
 二次予防2.32%ポイント
 アトルバスタチン40mg1.36%ポイント
 アトルバスタチン80mg-0.58%ポイント

75歳以上の開始群では、50歳未満の開始群と比較した調整PRDは2.62%ポイントでした。この関連は一次予防(2.54%ポイント)および二次予防(2.32%ポイント)で一貫していましたが、高強度スタチン(アトルバスタチン40mg: 1.36%ポイント;アトルバスタチン80mg:-0.58%ポイント)で小さいことが示されました。

コメント

スタチン治療に対する低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の反応性には患者間でバラツキがあることが知られていますが、この要因の一つとして年齢がどの程度影響しているのかについては明らかになっていません。

さて、デンマークで実施されたコホート研究の結果、低~中強度のシンバスタチンは若年者よりも高齢者においてLDL-C値のより大きな低下と関連していました。ただし、このLDLコレステロールの低下作用が、心血管疾患や死亡などのより重要な患者転帰へどのように影響しているのかは不明です。つまり、75歳以上の高齢者におけるLDLコレステロールの低下作用が大きいことと、高齢者の予後が良好になることとの関連性については明らかになっていない、ということです。

余命の他、併存疾患や併用薬、国や地域など様々な要因が影響することから、さらなる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 低~中強度のシンバスタチンは若年者よりも高齢者においてLDL-C値のより大きな低下と関連していたが、心血管疾患などのより重要な転帰への影響は不明である。

根拠となった試験の抄録

背景:スタチン治療に対する低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の反応性には患者間で大きなばらつきがある。LDL-Cの減少は治療を受けた患者の年齢に依存する可能性があり、特に高齢者ではランダム化比較試験での割合が大幅に低い。

目的:年齢とスタチンによるLDL-C低下との関連を検討すること。

試験デザイン:全国規模の登録ベースのコホート研究

設定:デンマーク、2008~2018年。

参加者:スタチン使用前および使用中にLDL-Cを測定したシンバスタチンまたはアトルバスタチン開始者 82,958例。

測定:スタチン反応(プレスタチンLDL-C値の減少率として定義)、LDL-Cの縦断的モデルに基づく年齢、シンバスタチンまたはアトルバスタチン用量による減少率差(PRD)。

結果:スタチン投与開始者 82,958例中、10,388例(13%)が75歳以上であった。低〜中強度スタチンでは、75歳以上の開始者は50歳未満の開始者よりも平均LDL-C低下率が大きかった。例えば、シンバスタチン20mgでは39.0%対33.8%、アトルバスタチン20mgでは44.2%対40.2%であった。75歳の開始群では、50歳の開始群と比較した調整PRDは2.62%ポイントであった。この関連は一次予防(2.54%ポイント)および二次予防(2.32%ポイント)で一貫していたが、高強度スタチン(アトルバスタチン40mg: 1.36%ポイント;アトルバスタチン80mg:-0.58%ポイント)では小さかった。

限界:管理データの使用、欠損データの割合が中等度に高い観察的前後比較、肥満指数に関する情報の欠如、主に白人の研究集団であることから、一般化可能性が制限される可能性がある。

結論:低~中強度のスタチンは若年者よりも高齢者においてLDL-C値のより大きな低下と関連しており、有害事象のリスクが高い高齢者の初期治療としてより魅力的である可能性がある。

主要資金源:デンマーク独立研究基金、Brødrene Hartmanns Fond、Fonden til Lægevidenskabens Fremme

引用文献

Association Between Age and Low-Density Lipoprotein Cholesterol Response to Statins : A Danish Nationwide Cohort Study
Giulia Corn et al. PMID: 37523692 DOI: 10.7326/M22-2643
Ann Intern Med. 2023 Aug;176(8):1017-1026. doi: 10.7326/M22-2643. Epub 2023 Aug 1.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37523692/

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