孤立性拡張期高血圧患者の血圧低下と心血管アウトカムとの関連性は?(後向き研究; Eur J Prev Cardiol. 2023)

a healthcare worker measuring a patient s blood pressure using a sphygmomanometer 02_循環器系
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孤立性拡張期高血圧による患者予後への影響は?

高血圧症は脳卒中などの心血管リスク増加による患者予後への影響が示されています。高血圧症の定義は「一般的に診察室で計測した血圧が140/90mmHg以上、自宅で測定の場合、135/85mmHg以上の場合」とされています。一方で、拡張期血圧のみ基準値よりも高値である孤立性拡張期高血圧(IDH)は心血管疾患(CVD)の危険因子として過小評価されている可能性があります。さらに、IDHを有する成人において血圧の低下がCVDイベントと関連するかどうかは現在のところ不明です。

そこで今回は、IDH患者における血圧低下とCVD発症との関係を明らかにすることを目的とした試験結果をご紹介します。

本試験では、IDH患者71,297例のデータがレトロスペクティブに解析されました。孤立性拡張期高血圧は収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧(DBP)90mmHg以上と定義されました(年齢中央値 48歳、男性 83.1%、DBP中央値 92mmHg)。参加者のうち、ベースライン時に血圧降下薬を服用していた者やCVDの既往があった者はいませんでした。拡張期血圧はベースライン時と1年後の追跡時に測定され、参加者は1年後のDBPに基づいて2群に分類されました(90mmHg以上または90mmHg未満)。

本試験の主要アウトカムは心筋梗塞、脳卒中、全死亡を含む複合エンドポイントでした。

試験結果から明らかになったことは?

平均追跡期間 1,100±859日で、1,317件の複合CVDエンドポイントが記録されました。

複合CVDイベントハザード比 HR
(95%信頼区間 CI)
1年後のDBPが90mmHg未満の参加者
vs. 90mmHg以上の参加者
HR 0.75
0.67〜0.83
DBPが5mmHg減少するごとのリスク低下HR 0.92
0.89〜0.95

1年後のDBPが90mmHg未満の参加者は、1年後のDBPが90mmHg以上の参加者よりも複合CVDイベントのリスクが低いことが示されました[ハザード比(HR) 0.75、95%信頼区間(CI) 0.67〜0.83]。

1年間の追跡期間中にDBPが5mmHg減少するごとに、複合CVDイベントリスクは低下しました(HR 0.92、95%CI 0.89〜0.95)。この結果は多くの感度分析においても一貫していました。

コメント

高血圧症では収縮期血圧が注目されやすく、拡張期血圧、特に収縮期血圧が正常値範囲以内の孤立性拡張期高血圧についてはあまり注視されません。そのため孤立性拡張期高血圧による患者予後への影響はデータが限られています。

さて、日本の大規模疫学データセットの解析により、孤立性拡張期高血圧患者では拡張期血圧の低下が心血管イベントリスクの低下と関連することが示された。

あくまでも相関関係が示されたに過ぎませんが、孤立性拡張期高血圧患者においても、血圧を低下させることは有効な治療であると考えられます。

続報に期待。

a healthcare worker measuring a patient s blood pressure using a sphygmomanometer

✅まとめ✅ 大規模疫学データセットの解析により、孤立性拡張期高血圧患者では拡張期血圧の低下が心血管イベントリスクの低下と関連することが示された。

根拠となった試験の抄録

目的:孤立性拡張期高血圧(IDH)は心血管疾患(CVD)の危険因子として過小評価されている。IDHを有する成人において血圧の低下がCVDイベントと関連するかどうかは現在のところ不明である。われわれはIDH患者における血圧低下とCVD発症との関係を明らかにすることを目的とした。

方法:IDH患者71,297例のデータをレトロスペクティブに解析した。孤立性拡張期高血圧は収縮期血圧140mmHg未満、拡張期血圧(DBP)90mmHg以上と定義した(年齢中央値 48歳、男性 83.1%、DBP中央値 92mmHg)。参加者のうち、ベースライン時に血圧降下薬を服用していた者やCVDの既往があった者はいなかった。血圧はベースライン時と1年後の追跡時に測定され、参加者は1年後のDBPに基づいて2群に分類された(90mmHg以上または90mmHg未満)。
主要アウトカムは心筋梗塞、脳卒中、全死亡を含む複合エンドポイントとした。

結果:平均追跡期間 1,100±859日で、1,317件の複合CVDエンドポイントが記録された。1年後のDBPが90mmHg未満の参加者は、1年後のDBPが90mmHg以上の参加者よりも複合CVDイベントのリスクが低かった[ハザード比(HR) 0.75、95%信頼区間(CI) 0.67〜0.83]。1年間の追跡期間中にDBPが5mmHg減少するごとに、複合CVDイベントリスクは低下した(HR 0.92、95%CI 0.89〜0.95)。この結果は多くの感度分析においても一貫していた。

結論:大規模疫学データセットの解析により、IDH患者ではDBPの低下がCVDイベントリスクの低下と関連することが示された。

キーワード 心血管イベント;孤立性拡張期高血圧;予防。

引用文献

Reduction in blood pressure for people with isolated diastolic hypertension and cardiovascular outcomes
Yuta Suzuki et al. PMID: 36416186 DOI: 10.1093/eurjpc/zwac278
Eur J Prev Cardiol. 2023 Aug 1;30(10):928-934. doi: 10.1093/eurjpc/zwac278.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36416186/

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