薬剤師主導の在宅血圧テレモニタリングにより血圧コントロールが向上する?(SR&MA; Am J Cardiol. 2023)

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薬剤師主導の遠隔モニタリングにより血圧コントロールは改善するのか?

医療システムは、特にCOVID-19の流行以来、米国全土で遠隔医療を急速に導入しています。しかし、薬剤師主導の在宅血圧遠隔モニタリングを診察室ベースの通常ケアに加えることで血圧が改善するかどうかについてのデータは限られています。

そこで今回は、薬剤師主導の在宅血圧遠隔モニタリングと通常ケアに関する研究を比較したメタ解析の結果をご紹介します。

本解析では、PubMed/MEDLINEおよびEmbaseで、2000年1月から2022年4月までのランダム化比較試験について検索、解析されました。

試験結果から明らかになったことは?

1,550例の参加者を含む6件のランダム化比較試験が組み入れ基準を満たしました。

薬剤師主導の遠隔モニタリング追加 vs. 通常ケアのみ平均差(95%信頼区間)
収縮期血圧-8.09
-11.15 ~ -5.04
p<0.001
I2=72%
拡張期血圧-4.19
-5.58 ~ -2.81
p<0.001
I2=42%

薬剤師主導の遠隔モニタリング群の参加者は774例、通常ケア群の参加者は776例でした。通常のケアに薬剤師主導の遠隔モニタリングを追加することは、通常のケアと比較して収縮期血圧(平均差 -8.09、95%信頼区間 -11.15 ~ -5.04、p<0.001、I2=72%)および拡張期血圧(平均差 -4.19、95%信頼区間 -5.58 ~ -2.81、p<0.001、I2=42%)の有意な低下と関連していました。

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高血圧は米国の成人人口の約30%、日本においても全体として約4,300万人いると推定されており、およそ3人に1人が高血圧という状況です。高血圧症は心血管系疾患の主要な危険因子であり、死亡原因の約35%を占めているとされています(PMID: 27781063PMID: 26811276)。残念ながら、高血圧の服薬アドヒアランスは依然として低く、治療を複雑にしています(PMID: 28298894)。このようなケアにおける現在および予測されるギャップは、遠隔医療を活用し、医師の業務拡張として薬剤師を活用することで最小化できる可能性があります。

遠隔医療は、特にCOVID-19パンデミックの発生後、医療へのアクセスを改善するために急速に発展しており、血圧コントロールの改善に役立つ有望なプラットフォームとなっています。しかし、薬剤師が患者と医師の橋渡しをし、患者の服薬コンプライアンスを確保することで、血圧コントロールに与える影響を最大化できるのかについては明らかとなっていません。

さて、ランダム化比較試験6件のメタ解析の結果、通常ケアに薬剤師主導の在宅血圧遠隔モニタリングを加えることで、通常ケア単独よりも良好な血圧コントロール達成が示されました。

患者数・試験数が少ないことから、今後の検討結果により結果が覆る可能性があるものの、通常ケアに薬剤師の遠隔モニタリングにより患者の血圧コントロールが改善する可能性が高いことが明らかとなりました。ただし、服薬アドヒアランスについては、4件の研究で改善が見られていないことから、血圧低下に他の要因が影響している可能性があります。

薬剤師にできることはまだまだありますね。続報に期待。

smiling pharmacist with beard

✅まとめ✅ ランダム化比較試験6件のメタ解析の結果、通常ケアに薬剤師主導の在宅血圧遠隔モニタリングを加えることで、通常ケア単独よりも良好な血圧コントロール達成が示された。

根拠となった試験の抄録

背景:医療システムは、特にCOVID-19の流行以来、米国全土で遠隔医療を急速に導入している。しかし、薬剤師主導の在宅血圧遠隔モニタリングを診察室ベースの通常ケアに加えることで血圧が改善するかどうかについてのデータは限られている。

方法:PubMed/MEDLINEおよびEmbaseで、2000年1月から2022年4月までのランダム化比較試験を検索し、薬剤師主導の在宅血圧遠隔モニタリングと通常ケアに関する研究を比較した。

結果:1,550例の参加者を含む6件のランダム化比較試験が組み入れ基準を満たした。薬剤師主導の遠隔モニタリング群の参加者は774例、通常ケア群の参加者は776例であった。通常のケアに薬剤師主導の遠隔モニタリングを追加することは、通常のケアと比較して収縮期血圧(平均差 -8.09、95%信頼区間 -11.15 ~ -5.04、p<0.001、I2=72%)および拡張期血圧(平均差 -4.19、95%信頼区間 -5.58 ~ -2.81、p<0.001、I2=42%)の有意な低下と関連していた。

結論:このメタアナリシスは、通常ケアに薬剤師主導の在宅BP遠隔モニタリングを加えることで、通常のケア単独よりも良好なBPコントロールが達成されることを示した。

引用文献

Adding Pharmacist-Led Home Blood Pressure Telemonitoring to Usual Care for Blood Pressure Control: A Systematic Review and Meta-Analysis
Nischit Baral et al. PMID: 37499595 DOI: 10.1016/j.amjcard.2023.06.109
Am J Cardiol. 2023 Jul 25;203:161-168. doi: 10.1016/j.amjcard.2023.06.109. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37499595/

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