重症腎不全患者の静脈血栓塞栓症治療におけるアピキサバン vs. ワルファリン(SR&MA; Thromb Res. 2023)

two people holding pineapple fruits against a multicolored wall 02_循環器系
Photo by Maksim Goncharenok on Pexels.com
この記事は約5分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

慢性腎臓病のVTEに対するアピキサバン vs. 低分子ヘパリンorワルファリン

慢性腎臓病は静脈血栓塞栓症(VTE)の独立した危険因子です。従来、VTE治療には低分子ヘパリン(LMWH)に続いてワルファリンが使用されてきました。アピキサバンを含む直接経口抗凝固薬(DOAC)は、腎機能が正常な患者において、従来の治療法と比較していくつかの利点を示していることが示されました。しかし、ワルファリンやLMWHと比較したデータは限られています。

そこで今回は、重症腎不全におけるVTE治療において、ワルファリンと比較したアピキサバンの安全性と有効性を検討することを目的に実施されたメタ解析の結果をご紹介します。

本試験では、PubMed、Embase、Cochraneの各データベースで文献検索が行われました。推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/min/m2未満または透析中の成人患者において、ワルファリンと比較したアピキサバンの臨床的有効性および安全性の転帰を含むレトロスペクティブ観察研究が対象となりました。

試験結果から明らかになったことは?

8件の研究が解析に含まれました。

RR(95%CI)
アピキサバン vs. ワルファリン
VTE再発RR 0.65(0.43〜0.98)、P=0.04、I2=78%
全死亡率RR 0.99(0.91〜1.07)、P=0.74、I2=0%
大出血RR 0.72(0.62〜0.84)、P<0.0001、I2=34%
小出血イベントRR 0.42(0.21〜0.86)、P=0.02、I2=10%
臨床的に関連性のある非大出血RR 0.81(0.65〜1.00)、P=0.05、I2=67%

ワルファリンと比較してアピキサバンでVTE再発の有意な減少が観察されました(RR 0.65、95%CI 0.43〜0.98、P=0.04、I2=78%)。全死亡率はアピキサバンとワルファリンで有意差はありませんでした(RR 0.99、95%CI 0.91〜1.07、P=0.74、I2=0%)。

アピキサバンはワルファリンと比較して大出血(RR 0.72、95%CI 0.62〜0.84、P<0.0001、I2=34%)および小出血イベント(RR 0.42、95%CI 0.21〜0.86、P=0.02、I2=10%)の発生率が有意に低いことが示されました。臨床的に関連性のある非大出血については、アピキサバンとワルファリンとの間に有意差は認められませんでした(RR 0.81、95%CI 0.65〜1.00、P=0.05、I2=67%)。

コメント

実臨床における直接経口抗凝固薬(DOAC)の使用が増えていますが、実臨床における有効性・安全性のデータは限られています。

さて、後向き観察研究8件のメタ解析の結果、重症腎不全におけるVTE治療では、アピキサバンがワルファリンよりも有利であり、VTEの再発および出血リスクを低下させました。全死亡および臨床的に関連性のある非大出血イベントには差が認められませんでした。アウトカムによっては異質性が高いこと、ランダム化比較試験などの前向き研究が含めれていないことなど、試験の限界点が挙げられます。本メタ解析の結果のみでアピキサバンの方がワルファリンよりも優れているとは結論づけられません。

続報に期待。

photo of person s palm

✅まとめ✅ 後向き観察研究8件のメタ解析の結果、重症腎不全におけるVTE治療では、アピキサバンがワルファリンよりも有利であり、VTEの再発および出血リスクを低下させた。全死亡および臨床的に関連性のある非大出血イベントには差が認められなかった。

根拠となった試験の抄録

はじめに:慢性腎臓病は静脈血栓塞栓症(VTE)の独立した危険因子である。従来、VTE治療には低分子ヘパリン(LMWH)に続いてワルファリンが使用されてきた。アピキサバンを含む直接経口抗凝固薬(DOAC)は、腎機能が正常な患者において、従来の治療法と比較していくつかの利点を示している。本メタ解析の目的は、重症腎不全におけるVTE治療において、ワルファリンやLMWHと比較したアピキサバンの安全性と有効性を検討することである。

方法:PubMed、Embase、Cochraneの各データベースで文献検索を行った。推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/min/m2未満または透析中の成人患者において、ワルファリンと比較したアピキサバンの臨床的有効性および安全性の転帰を含むレトロスペクティブ観察研究を対象とした。

結果:8件の研究が解析に含まれた。ワルファリンと比較してアピキサバンでVTE再発の有意な減少が観察された(RR 0.65、95%CI 0.43〜0.98、P=0.04、I2=78%)。全死亡率はアピキサバンとワルファリンで有意差はなかった(RR 0.99、95%CI 0.91〜1.07、P=0.74、I2=0%)。アピキサバンはワルファリンと比較して大出血(RR 0.72、95%CI 0.62〜0.84、P<0.0001、I2=34%)および小出血イベント(RR 0.42、95%CI 0.21〜0.86、P=0.02、I2=10%)の発生率が有意に低かった。臨床的に関連性のある非大出血については、アピキサバンとワルファリンとの間に有意差は認められなかった(RR 0.81、95%CI 0.65〜1.00、P=0.05、I2=67%)。

結論:重症腎不全におけるVTE治療では、アピキサバンがワルファリンよりも有利であり、VTEの再発および出血リスクを低下させた。全死亡および臨床的に関連性のある非大出血イベントには差が認められなかった。RCTや前向き研究が限られているため、さらなるエビデンスが必要である。

キーワード:アピキサバン、慢性腎臓病、有効性、安全性、静脈血栓塞栓症、ワルファリン

引用文献

Safety and efficacy of apixaban versus low-molecular weight heparin or vitamin-K antagonists for venous thromboembolism treatment in patients with severe renal failure: A systematic review and meta-analysis
Anwar Almajdi et al. PMID: 37419006 DOI: 10.1016/j.thromres.2023.06.027
Thromb Res. 2023 Jul 4;229:77-85. doi: 10.1016/j.thromres.2023.06.027. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37419006/

コメント

タイトルとURLをコピーしました