根拠となった試験の抄録
試験の重要性:DL-3-n-ブチルフタリド(NBP)は急性虚血性脳梗塞の治療薬であり、複数の活性標的に作用することにより神経保護作用を示すと考えられている。再灌流療法を受けている急性虚血性脳卒中患者におけるNBPの有効性はまだ不明である。
目的:静脈内血栓溶解療法や血管内治療による再灌流療法を受けている急性虚血性脳卒中患者におけるNBPの有効性と安全性を評価する。
試験デザイン、設定、参加者:この多施設共同二重盲検プラセボ対照並行ランダム化比較試験は、中国の59施設で実施され、90日間の追跡が行われた。急性虚血性脳卒中患者1,236例のうち、米国国立衛生研究所脳卒中スケールスコアが4~25の急性虚血性脳卒中と診断され、症状発現から6時間以内に試験薬を開始でき、遺伝子組換え型組織プラスミノーゲン活性化因子(rt-PA)静注療法または血管内治療、または血管内治療への橋渡しとなるrt-PA静注療法のいずれかを受けた18歳以上の患者1,216例が、参加拒否または適格基準を満たさない患者20例を除外した後に登録された。データは2018年7月1日から2022年5月22日まで収集された。
介入:症状発現後6時間以内に、NBPまたはプラセボを投与する群に1:1の割合でランダムに割り付けた。
主要アウトカムと評価基準:有効性の主要評価項目は、ベースラインの脳卒中重症度に応じて0~2ポイントの閾値が設定された90日修正Rankin Scaleスコア(0[症状なしまたは完全に回復]~6[死亡]のグローバルな脳卒中障害スケール)に基づく良好な転帰を得た患者の割合とした。
結果:登録患者1,216例中、827例(68.0%)が男性で、年齢中央値は66(IQR 56〜72)歳であった。合計607例がブチルフタリド群に、609例がプラセボ群にランダムに割り付けられた。90日後に良好な機能的転帰が得られたのは、ブチルフタリド群344例(56.7%)、プラセボ群268例(44.0%)であった(オッズ比 1.70、95%CI 1.35〜2.14;P<0.001)。90日以内の重篤な有害事象は、ブチルフタリド群で61例(10.1%)、プラセボ群で73例(12.0%)に発生した。
結論と関連性:静脈内血栓溶解療法および/または血管内治療を受けた急性虚血性脳卒中患者において、DL-3-n-ブチルフタリドはプラセボと比較して90日後に良好な機能的転帰を得た患者の割合が高かった。
臨床試験登録:ClinicalTrials.gov Identifier. NCT03539445
引用文献
Efficacy and Safety of Butylphthalide in Patients With Acute Ischemic Stroke: A Randomized Clinical Trial
Anxin Wang et al.
JAMA Neurol. 2023 Jun 26;e231871. doi: 10.1001/jamaneurol.2023.1871. Online ahead of print. PMID: 37358859 PMCID: PMC10294018 DOI: 10.1001/jamaneurol.2023.1871
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