根拠となった試験の抄録
背景:日本の実臨床におけるオレキシン受容体拮抗薬(ORA)の処方パターンを検討した研究はほとんどない。
目的:日本における不眠症患者へのORA処方に関連する因子を分析することを目的とした。
方法:2018年4月1日から2020年3月31日の間に不眠症に対して1種類以上の催眠剤(睡眠薬)を処方された外来患者(20歳以上75歳未満)で、12ヵ月以上継続して登録されているものをJMDC Claims Databaseから抽出した。多変量ロジスティック回帰を行い、睡眠薬の新規使用者または非新規使用者(それぞれ睡眠薬処方歴のない患者またはある患者)におけるORA処方と関連する因子(患者属性および精神科併存疾患)を特定した。
結果:新規使用者58,907例のうち、11,589例(19.7%)が指標日にオレキシン受容体拮抗薬(ORA)を処方されていた。男性(オッズ比[OR]1.17、95%信頼区間[CI]1.12〜1.22)および双極性障害(OR 1.36、95%CI 1.20〜1.55)はORAの処方確率の上昇と関連していた。88,611例の非新規使用者のうち、15,504例(17.5%)が指標日にORAを処方されていた。若年および神経認知障害(OR 1.64、95%CI 1.15〜2.35)、物質使用障害(OR 1.19、95%CI 1.05〜1.35)、双極性障害(OR 1.14、95%CI 1.07〜1.22)、統合失調症スペクトラム障害(OR 1.07、95%CI 1.01〜1.14)、不安障害(OR 1.05、95%CI 1.00〜1.10)などの精神疾患合併症と、より高いORAの処方確立は関連があった。
結論:本研究は、日本におけるORA処方に関連する因子を明らかにした初めての研究である。我々の知見は、ORAを用いた適切な不眠症治療の指針になると考えられる。
引用文献
Factors Associated with Prescriptions for an Orexin Receptor Antagonist Among Japanese Patients with Insomnia: Analysis of a Nationwide Japanese Claims Database
Shoki Okuda et al. PMID: 36867350 PMCID: PMC9982805 DOI: 10.1007/s40801-023-00356-4
Drugs Real World Outcomes. 2023 Jun;10(2):271-281. doi: 10.1007/s40801-023-00356-4. Epub 2023 Mar 3.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36867350/
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