根拠となった試験の抄録
目的:本研究の目的は、デュロキセチンの鎮痛効果、特に人工股関節置換術または人工膝関節置換術後の術後疼痛、オピオイドの消費量、関連する副作用について調査することである。
方法:この系統的レビューとメタ解析では、ルーチンの疼痛管理プロトコルに追加した場合にデュロキセチンとプラセボを比較した研究を2022年11月までMedline、Cochrane、EMBASE、Scopus、およびWeb of Scienceで検索した。個々の研究のバイアスリスク評価は、Cochrane risk of bias tool 2に基づき実施した。ランダム効果モデルのメタ解析は、平均差で行い、アウトカムを評価した。
結果:最終解析には9件のランダム化臨床試験(RCT)が含まれ、総患者数は806例であった。デュロキセチンは、術後(postoperative days, POD)2日目(平均差(MD) -14.35、p=0.02)、POD3(MD -13.6、p<0.001)、POD7(MD -7.81、p<0.001)およびPOD 14(MD -12.72、p<0.001)のオピオイド消費(経口モルヒネmg換算)を抑制した。デュロキセチンは、POD1、3、7、14、90の活動時の疼痛(すべてp<0.05)、POD2、3、7、14、90の安静時の疼痛(すべてp<0.05)を軽減した。副作用の有病率は、傾眠・眠気のリスク増加(リスク比 1.87、p=0.007)を除き、有意差はなかった。
結論:現在のエビデンスでは、周術期のデュロキセチンのオピオイド温存効果は低~中程度であり、疼痛スコアは臨床的に有意ではないが、統計的に有意に減少することが示されている。デュロキセチンを投与された患者は、傾眠と眠気のリスクが増加した。
キーワード:鎮痛薬、人工関節置換術、Duloxetine、股関節、膝関節、オピオイド、置換術
引用文献
Effect of Duloxetine on opioid consumption and pain after total knee and hip arthroplasty: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials
Amirali Azimi et al. PMID: 37027215 DOI: 10.1093/pm/pnad045
Pain Med. 2023 Apr 7;pnad045. doi: 10.1093/pm/pnad045. Online ahead of print.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37027215/
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