根拠となった試験の抄録
背景:アジスロマイシンの使用により、予期していない帝王切開分娩の女性における母体感染症が減少するが、計画経膣分娩の女性に対する効果は不明である。分娩期におけるアジスロマイシン経口投与により、母体および出生児の敗血症または死亡が減少するかどうかについてのデータが必要である。
方法:この多国籍プラセボ対照ランダム化試験において、妊娠28週以上の陣痛があり、経膣分娩を計画している女性を、アジスロマイシン2gの単回経口投与またはプラセボ投与に割り付けた。
主要アウトカムは、母親の敗血症または死亡の複合と、死産や新生児の死亡または敗血症の複合の2つであった。中間解析において、データ・安全モニタリング委員会は、母体への有益性を理由に試験の中止を勧告した。
結果:合計29,278例の女性がランダム化を受けた。母体の敗血症または死亡の発生率はアジスロマイシン群でプラセボ群より低く(1.6% vs. 2.4%)、相対リスクは0.67(95%信頼区間[CI] 0.56~0.79、P<0.001)、死産、新生児死亡または敗血症の発生率は同等(10.5% vs. 10.3%)で相対リスクが1.02(95%CI 0.95~1.09; P=0.56) であった。母体の主要転帰の差は、主に敗血症の発生率(アジスロマイシン群1.5%、プラセボ群2.3%)に起因すると思われ、相対リスクは0.65(95%CI 0.55~0.77); 原因を問わず死亡の発生率は両群で0.1%(相対リスク 1.23、95%CI 0.51~2.97)となった。新生児敗血症は、それぞれ9.8%と9.6%に発生した(相対リスク 1.03、95%CI 0.96〜1.10)。死産の発生率は両群で0.4%(相対リスク 1.06、95%CI 0.74~1.53)、出生後4週間以内の新生児死亡は両群で1.5%(相対リスク 1.03、95%CI 0.86~1.24)であった。アジスロマイシンは、有害事象の発生率の高さとは関連していなかった。
結論:経腟分娩を計画している女性において、アジスロマイシンの単回経口投与は、母親の敗血症または死亡のリスクをプラセボよりも有意に低下させたが、新生児の敗血症または死亡にはほとんど影響を与えなかった。
資金提供:Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Developmentなど
ClinicalTrials.gov number:NCT03871491
引用文献
Azithromycin to Prevent Sepsis or Death in Women Planning a Vaginal Birth
Alan T N Tita et al. PMID: 36757318 DOI: 10.1056/NEJMoa2212111
N Engl J Med. 2023 Mar 30;388(13):1161-1170. doi: 10.1056/NEJMoa2212111. Epub 2023 Feb 9.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36757318/
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