尿酸降下薬の心血管リスクはどのくらいですか?(データベース研究; Clin Transl Sci. 2023)

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フェブキソスタットおよびトピロキソスタットによる心血管リスクの程度は?

高尿酸血症や痛風治療において、尿酸生成抑制薬や尿酸降下薬が用いられます。特に尿酸降下薬が主に使用されていますが、米国において一部の尿酸降下薬による心血管リスク増加が示唆されています。一方、日本においては、尿酸降下薬の使用と心血管イベント発生のリスク増加との関連性について充分に検討されていません。

そこで今回は、日本におけるアロプリノールと比較した場合のフェブキソスタットおよびトピロキソスタットのリスクに主眼を置き、尿酸降下薬と心血管イベントとの関連を検討したデータベース研究の結果をご紹介します。

2010年8月1日から2018年3月31日までの新規尿酸降下薬使用者を対象に、日本の全国健康保険請求・特定健診データベースを用いてコホートデザインによる観察研究が実施されました。曝露群と対照群は、尿低下薬の初回処方に基づき、曝露群はフェブキソスタットまたはトピロキソスタット、対照群はアロプリノール、二次対照群はベンズブロマロンと定義されました。

主要アウトカムは、急性冠症候群、脳梗塞、脳出血の複合と定義される心血管イベントでした。

試験結果から明らかになったことは?

各暴露群および対照群の患者数は、フェブキソスタット群 1,357,671例、トピロキソスタット群 83,683例、アロプリノール群 1,273,211例、ベンズブロマロン群 258,786例でした。

心血管リスク
調整済みハザード比 aHR(95%信頼区間[CI])
vs. アロプリノール
フェブキソスタット群aHR 0.97(0.95〜0.98
トピロキソスタット群aHR 0.84(0.78〜0.90

心血管リスクの調整済みハザード比は、フェブキソスタット群が0.97(95%信頼区間[CI] 0.95〜0.98)、トピロキソスタット群が0.84(95%CI 0.78〜0.90)でした。ベンズブロマロン群も同様の結果を示しました。

日本における高尿酸血症患者において、アロプリノールと比較した場合、フェブキソスタットまたはトピロキソスタットで心血管リスクの増加は認められませんでした。

コメント

尿酸降下薬であるフェブキソスタットは、米国において心血管イベントのリスク増加を示唆する報告がなされました。しかし、日本においては充分に検討されていません。

さて、日本のデータベース研究の結果、アロプリノールと比較して、フェブキソスタットおよびトピロキソスタットによる心血管リスク増加は認めらませんでした。これはベンズブロマロンと比較した場合も同様でした。日本人は白人と比較して、ベースラインの心血管リスクが相対的に低いことから当然の結果であると結論づけることもできます。しかし、本試験で対象となったのは新規尿酸降下薬使用者です。したがって、高尿酸血症患者なのか痛風患者なのか不明です。痛風発作を経験している患者においては、心血管イベントの発生リスクが高くなる可能性が示唆されています(PMID: 35916846)。そのため、本データベース研究の結果のみで、尿酸降下薬による心血管リスク増加はないと結論づけられません。サブグループ解析やランダム化比較試験などの追試あるいは追加の解析が求められます。

また、そもそも高尿酸血症に対して尿酸降下薬が必要なのか?という点についても明らかにした方が良いでしょう。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 日本のデータベース研究の結果、アロプリノールと比較して、フェブキソスタットおよびトピロキソスタットによる心血管リスク増加は認められなかった。

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