慢性特発性蕁麻疹に対する抗ヒスタミン薬はどれが良いですか?(RCT; Clin Cosmet Investig Dermatol . 2022)

footwear leather shoes wear 08_炎症・免疫・アレルギー系
Photo by Pixabay on Pexels.com
この記事は約6分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

慢性特発性蕁麻疹に対するビラスチン vs. フェキソフェナジン vs. レボセチリジン

国内外の診療ガイドラインにおいて、第二世代抗ヒスタミン薬は慢性特発性蕁麻疹(CSU)の第一選択薬とされています。しかし、患者の50%は第二世代抗ヒスタミン薬に反応しないことが報告されています。

このような患者には、第二世代抗ヒスタミン薬の増量(倍量)または異なる抗ヒスタミン薬の併用について診療ガイドラインで推奨されていますが、これらの治療レジメンを比較した研究は限られています。

そこで今回は、CSU患者を対象に実施されたランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験では、ビラスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジンのいずれかを標準用量で2週間投与する群にランダムに割り付けました。2週間投与後、非奏功例に対してビラスチンまたはフェキソフェナジンを倍量投与し、レボセチリジン群にはヒドロキシジン25mg 1日1回を追加しました。

患者は主にCSU、QOL、傾眠の改善御度について評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

合計110例のCSU患者が組み入れられました。

4週間後、ビラスチン群33/39例、フェキソフェナジン群26/35例、レボセチリジン群22/36例に蕁麻疹症状の改善がみられました。
投与後2週目では、蕁麻疹活性スコア(UAS7)の改善度に各群間で統計的な差はみられませんでしたが、4週目では、ビラスチン群とレボセチリジン群で統計的な差が認められました(p<0.05)

傾眠はビラスチン群で有意に少ないことが示されました(p<0.05)。
ビラスチンは両群に比べ、QOLの改善において統計学的に有意でした(p<0.05)。

試験期間中の主な有害事象は報告されませんでしたが、ビラスチンはレボセチリジンと比較して有害事象の発生が有意に少ないことが示されました(p<0.05)。

コメント

抗ヒスタミン薬による抗アレルギー作用は個人差が大きく、そのため診療ガイドラインでは同種同効薬の切換えや、倍量投与が推奨されています。同様の理由から、第二世代の推奨はなされていますが、特定の薬剤に関する推奨文はありません。

さて、本試験結果によれば、慢性特発性蕁麻疹に対するビラスチンの2倍量投与は、フェキソフェナジンの2倍量投与および第一世代と第二世代の抗ヒスタミン薬併用投与と比較して、安全性を損なうことなく症状を改善することが示されました。ただし、本試験は小規模なランダム化比較試験の結果であること、有効性の評価スコアであるUAS7の臨床的に重要な差異の最小差(MCID)について言及されていないことから、結果の一般化が困難です。有害事象については、これまでの報告と矛盾しません。したがって、傾眠などの有害事象に懸念がある患者においては、ビラスチンの使用を考慮しても良いでしょう。いずれにせよ追試が求められます。

続報に期待。

man person legs grass

☑まとめ☑  慢性特発性蕁麻疹に対するビラスチンの2倍量投与は、フェキソフェナジンの2倍量投与および第一世代と第二世代の抗ヒスタミン薬併用投与と比較して、安全性を損なうことなく症状を改善することが示された。

根拠となった試験の抄録

はじめに:第二世代抗ヒスタミン薬は慢性特発性蕁麻疹(CSU)の第一選択薬であるが、患者の50%は第二世代抗ヒスタミン薬に反応しない。このような患者には、第二世代抗ヒスタミン薬の増量または異なる抗ヒスタミン薬の併用が診療ガイドラインで推奨されている。しかし、これらの治療レジメンを比較した研究は限られている。

方法:本試験では、CSU患者を対象に、ビラスチン、フェキソフェナジン、レボセチリジンのいずれかを標準用量で2週間投与する群にランダムに割り付けた。2週間投与後、非奏功例にはビラスチンまたはフェキソフェナジンを倍量投与し、レボセチリジン群にはヒドロキシジン25mg 1日1回を追加した。患者は主にCSU、QOL、傾眠の改善について評価された。

結果:合計110例のCSU患者が募集された。4週間後、ビラスチン群33/39例、フェキソフェナジン群26/35例、レボセチリジン群22/36例に蕁麻疹症状の改善がみられた。2週目では、蕁麻疹活性スコア(UAS7)の改善度に各群間で統計的な差はなかったが、4週目では、ビラスチン群とレボセチリジン群で統計的な差が見られた(p<0.05)。傾眠はビラスチン群で有意に少なかった(p<0.05)。ビラスチンは両群に比べ、QOLの改善において統計学的に有意であった(p<0.05)。また、試験期間中の主な有害事象は報告されなかったが、ビラスチンはレボセチリジンと比較して有害事象の発生が有意に少なかった(p<0.05)。

結論:ビラスチンの2倍量投与は、フェキソフェナジンの2倍量投与および第一世代と第二世代の抗ヒスタミン薬併用投与と比較して、安全性を損なうことなくCSU症状を改善することが示された。

引用文献

A Comparative, Three-Arm, Randomized Clinical Trial to Evaluate the Effectiveness and Tolerability of Bilastine vs Fexofenadine vs Levocetirizine at the Standard Dose and Bilastine vs Fexofenadine at Higher Than the Standard Dose (Up-Dosing) vs Levocetirizine and Hydroxyzine (in Combination) in Patients with Chronic Spontaneous Urticaria
Bela Shah et al. PMID: 35221703 PMCID: PMC8867222 DOI: 10.2147/CCID.S350122
Clin Cosmet Investig Dermatol. 2022 Feb 18;15:261-270. doi: 10.2147/CCID.S350122. eCollection 2022.
― 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35221703/

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました