選択的セロトニン再取り込み阻害薬と経口抗凝固薬の併用と大出血リスクとの関連性はどのくらい?(SR&MA; Thromb Haemost. 2022)

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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と経口抗凝固薬(OAC)併用による出血リスクはどのくらいか?

最も処方されている抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、大出血のリスクをわずかに増加させることに関連しています。また、SSRIと経口抗凝固薬(OAC)の両方で治療を受けている患者では、大出血のリスクはかなり高くなる可能性があります。しかし、SSRIとOAC併用による出血リスクの評価は充分に行われていません。

そこで今回は、SSRIとOACの併用による大出血リスクを、OAC単独使用と比較して評価したメタ解析の結果をご紹介します。

本試験では、MEDLINE、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials(創刊から2021年12月1日まで)を検索し、SSRIとOACの併用と大出血リスクとの関連を評価した臨床試験および観察的試験が検索されました。研究の均質性が充分であることから、ランダム効果メタ解析を実施し、OAC単独使用と比較して、SSRIとOACの併用に関連する大出血のプールされたハザード比(HR)が推定されました。

試験結果から明らかになったことは?

レビューには、コホート研究7件とネステッドケースコントロール(コホート内症例対照)研究7件を含む14件の研究が含まれました。臨床的・方法論的異質性を評価した結果、8件の研究、合計98,070例の患者がメタ解析に適格とされました。

大出血のハザード比 HR
(95%CI)
一次解析
SSRI+OAC
HR 1.35
1.14~1.58
二次解析
SSRI+DOAC
HR 1.47
1.03~2.10

SSRIとOACの併用による大出血のプールHRは1.35(95%信頼区間[CI] 1.14~1.58)でした。また二次解析では、SSRIとDOACの併用に関するプールHRは、1.47(95%CI 1.03~2.10)でした。

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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の一部では、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンとの併用により出血リスクが増加することが報告されています。一方、直接経口抗凝固薬との相互作用については充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、観察研究のメタ解析の結果、SSRIとOACの併用は、大出血のリスク上昇と関連していました。またDOACとの併用についても同様のリスク上昇が認められました。

いずれも観察研究あるいはコホート内症例対照研究のメタ解析の結果であることから、あくまでも可能性が示されたにすぎません。どのような場合に大出血リスクが上昇するのか、交絡因子も含めた更なる検証が求められます。

続報に期待。

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☑まとめ☑ 観察研究のメタ解析の結果、SSRIとOACの併用は、大出血のリスク上昇と関連していた。

根拠となった試験の抄録

背景:最も処方されている抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、大出血のリスクをわずかに増加させることに関連している。しかし、SSRIと経口抗凝固薬(OAC)の両方で治療を受けている患者では、大出血のリスクはかなり高くなる可能性がある。

目的:SSRIとOACの併用による大出血のリスクを、OAC単独使用と比較して評価すること。

方法:MEDLINE、Embase、PsycINFO、Cochrane Central Register of Controlled Trials(創刊から2021年12月1日まで)を検索し、SSRIとOACの併用と大出血のリスクとの関連を評価した臨床試験および観察的試験を検索した。研究の均質性が十分であることから、ランダム効果メタ解析を実施し、OAC単独使用と比較して、SSRIとOACの併用に関連する大出血のプールされたハザード比(HR)を推定した。

結果:レビューには、コホート研究7件とネステッドケースコントロール(コホート内症例対照)研究7件を含む14件の研究が含まれた。臨床的・方法論的異質性を評価した結果、8件の研究、合計98,070例の患者がメタ解析に適格であった。SSRIとOACの併用による大出血のプールHRは1.35(95%信頼区間[CI] 1.14~1.58)であった。二次解析では、SSRIと直接OACの併用に関するプールHRは、1.47(95%CI 1.03~2.10)であった。

結論:SSRIとOACの併用は、大出血のリスク上昇と関連していた。全体として、我々の知見は、医師がOACを使用している患者にSSRIを処方する際に、個々の患者の出血の危険因子に応じて治療を調整する必要があることを示唆している。

引用文献

Concomitant Use of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors and Oral Anticoagulants and Risk of Major Bleeding: A Systematic Review and Meta-analysis
Alvi A Rahman et al. PMID: 36037829 DOI: 10.1055/a-1932-8976
Thromb Haemost. 2022 Oct 28. doi: 10.1055/a-1932-8976. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36037829/

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