スタチン長期使用と脳内出血リスクとの関連性はどのくらい?(デンマーク症例対照研究; Neurology. 2022)

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スタチン使用は脳内出血リスクとなるのか?

低コレステロール血症が脳内出血リスクを増加させることが報告されており、これは疑いようのない事実のようです。しかし、スタチン使用によるLDL-C低下療法が脳内出血リスクになる確証はありません。2019年のメタ解析の結果、脳梗塞の既往を有する患者において、スタチンは脳梗塞の発症を有意に増加させず(ただしリスクは増加傾向)、脳梗塞の再発、あらゆる脳卒中、死亡率、機能的転帰不良のリスクを有意に減少させました(PMID: 30150320)。しかし、実臨床におけるスタチンの長期使用と脳内出血リスクとの因果関係については依然として不明です。

そこで今回は、ICHによる入院と入院前のスタチン使用との関連について検討したデンマークの症例対照研究についてご紹介します。

本試験では、Danish Stroke Registryを用い、2005~2018年にICHを初めて発症した45歳以上の全患者を特定しました。脳内出血症例は、年齢、性別、暦年を一般人口から抽出した対照群とマッチさせました。1995年以降のデンマークの地域薬局で調剤されたすべての処方箋に関する情報を有する薬物登録は、recency(最終投薬日からの期間)、治療期間、および強度について分類された過去のスタチン曝露を確認するために使用されました。条件付き回帰を用い、潜在的交絡因子を調整した上で、ICHのリスクに関する調整オッズ比(aOR)および対応する95%信頼区間(CI)を算出しました。

試験結果から明らかになったことは?

研究対象は、脳内出血患者16,235例と対照者640,943例でした。

現在のスタチン使用(症例25.9% vs. 対照24.5%;aOR 0.74、95%CI 0.71〜0.78) および現在のスタチン使用期間が長いこと(1年未満:aOR 0.86、95%CI 0.81〜0.92; 1年以上5年未満:aOR 0. 72、95%CI 0.68〜0.76; 5年以上10年未満:aOR 0.65、95%CI 0.60〜0.71; 10年以上:aOR 0.53、95%CI 0.45〜0.62; 傾向のP<0.001)は脳内出血リスクの低下と関連していました。

スタチン使用強度によって層別化した解析でも、同様の治療期間の関係が認められました(高強度療法 使用期間1年未満:aOR 0.78、95%CI 0.66〜0.93; 使用期間10年以上:aOR 0.46、95%CI 0.33〜0.65; 傾向のP=0.001)。

コメント

脂質レベルと脳内出血リスクとの関連性が示されています。しかし、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)による治療と脳内出血リスクとの関連性については明らかとなっていません。

さて、本試験結果によれば、スタチン使用期間の長さは、脳内出血リスクの低さと関連していました。試験43件のメタ解析の結果と同様であることから、試験結果の信頼性は高いと考えられます。

低コレステロール血症と脳内出血リスク増加との関連性はあるようですが、スタチン治療は脳内出血リスクの低下と関連しているようです。

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✅まとめ✅ スタチン使用期間の長さは、脳内出血リスクの低さと関連していた。

根拠となった試験の抄録

背景と目的:スタチンの長期使用と脳内出血(ICH)リスクとの因果関係は依然として不明である。デンマークの人口ベースの全国規模の症例対照研究において、ICHによる入院と入院前のスタチン使用との関連について検討した。

方法:Danish Stroke Registryを用い、2005~2018年にICHを初めて発症した45歳以上の全患者を特定した。ICH症例は、年齢、性別、暦年を一般人口から抽出した対照群とマッチさせた。1995年以降のデンマークの地域薬局で調剤されたすべての処方箋に関する情報を有する薬物登録は、recency(最終投薬日からの期間)、治療期間、および強度について分類された過去のスタチン曝露を確認するために使用された。条件付き回帰を用い、潜在的交絡因子を調整した上で、ICHのリスクに関する調整オッズ比(aOR)および対応する95%信頼区間(CI)を算出した。

結果:研究対象は、ICH患者16,235例と対照者640,943例であった。現在のスタチン使用(症例25.9% vs. 対照24.5%;aOR 0.74、95%CI 0.71〜0.78) および現在のスタチン使用期間が長い(1年未満:aOR 0.86、95%CI 0.81〜0.92; 1年以上5年未満:aOR 0. 72、95%CI 0.68〜0.76; 5年以上10年未満:aOR 0.65、95%CI 0.60〜0.71; 10年以上:aOR 0.53、95%CI 0.45〜0.62; 傾向のP<0.001)はICHリスク低下と関連していた。スタチン使用強度によって層別化した解析でも、同様の治療期間の関係が認められた(高強度療法 使用期間1年未満:aOR 0.78、95%CI 0.66〜0.93; 使用期間10年以上:aOR 0.46、95%CI 0.33〜0.65; 傾向のP=0.001)。

考察:スタチン使用期間の長さは、ICHのリスクの低さと関連することが分かった。

証拠の分類:この研究は、現在のスタチン使用およびスタチン使用期間の長さがそれぞれ、より低いICHのリスクと関連するというクラスIIエビデンスを提供する。

引用文献

Association of Long-term Statin Use With the Risk of Intracerebral Hemorrhage: A Danish Nationwide Case-Control Study
Daniel Albjerg Rudolph et al. PMID: 35577575 DOI: 10.1212/WNL.0000000000200713
Neurology. 2022 May 16;10.1212/WNL.0000000000200713. doi: 10.1212/WNL.0000000000200713. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35577575/

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