慢性腎臓病患者のアルブミン尿に対するダパグリフロジン、エプレレノンおよびそれらの併用効果は?(クロスオーバー試験; J Am Soc Nephrol. 2022)

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SGLT2阻害薬とMRAの併用によりアルブミン尿を低減できるのか?

ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬およびミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、慢性腎臓病(CKD)患者において、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を低下させ、腎臓および心血管保護作用を付与することが報告されています。しかし、これらの併用効果については、充分に検証されていません。

そこで今回は、CKD患者において、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンとMRAであるエプレレノンの単独および併用における有効性と安全性を評価したランダム化クロスオーバー試験の結果をご紹介します。

本試験では、尿中アルブミン排泄量100mg/24時間以上、eGFR 30~90mL/min/1.73 m2、ACE阻害薬(ACEi)またはアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の最大忍容量の安定的な投与を受けている患者が対象となりました。ダパグリフロジン10mg/日、エプレレノン50mg/日、またはそれらの併用投与をランダムに選択し、4週間のウォッシュアウト期間が設けられました。本試験の主要評価項目は、治療間のUACR変化量の相関でした。

試験結果から明らかになったことは?

スクリーニングされた57例の患者のうち、46例が3つのグループにランダムに割り付けられました(平均eGFR 58.1mL/min/1.73m2、UACR中央値 401mg/g)。

ベースラインから4週間投与後のUACR平均変化率
ダパグリフロジン-19.6%(95%CI -34.3 ~ -1.5
エプレレノン-33.7%(95%CI -46.1 ~ -18.5
ダパグリフロジン-エプレレノン-53%(95%CI -61.7 ~ 42.4
P<0.001 vs. ダパグリフロジン
P=0.01 vs. エプレレノン

ダパグリフロジン、エプレレノン、ダパグリフロジン-エプレレノンのベースラインから4週間投与後のUACR平均変化率は-19.6%(95%CI -34.3 ~ -1.5)、-33.7%(95%CI -46.1 ~ -18.5)、-53%(95%CI -61.7 ~ 42.4;P<0.001 vs. ダパグリフロジン;P=0.01 vs. エプレレノン)でした。

ダパグリフロジンまたはエプレレノン投与中のUACRの変化は、ダパグリフロジン-エプレレノン投与中のUACRの変化と相関がありませんでした(それぞれ r=-0.13、P=0.47;r=-0.08、P=0.66)。

高カリウム血症の発現は、ダパグリフロジン(0例:0%)、ダパグリフロジン-エレレノン(2例:4.3%、群間P=0.003)に比べエプレレノンで多く報告されました(8例:17.4% )。

コメント

薬剤による腎保護作用において、尿中アルブミンの低減が挙げられます。ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬およびミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、それぞれ、慢性腎臓病(CKD)患者において、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を低下させ、腎臓および心血管保護作用を付与することが報告されています。

さて、本試験結果によれば、ダパグリフロジンとエプレレノンの併用は、個々の単独治療と比較して、強固な尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)低下作用が得られました。ただし、本試験は非盲検のクロスオーバー試験ですので、薬剤の持ち越し効果などの影響が考えられます。また短期間の検討結果であることから、より長期的な有効性・安全性の検証が求められます。

ちなみに本試験の対象となった患者は、ACEiあるいはARBの最大忍容量を使用していますが、ここにSGLT2阻害薬とMRAをいきなり追加することは、やや難しいと考えられます。実際は、まずMRAあるいはSGLT2阻害薬を追加し、その後、患者の状態や検査値を見つつ3剤併用になると考えられます。MRAあるいはSGLT2阻害薬のどちらを先に追加した方が良いのかについては、まだまだ検証が充分ではありません。また高血圧症や糖尿病などの併存疾患によっても異なるため、目の前の患者がどのような特徴を有しているのか把握する必要があります。

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✅まとめ✅ ダパグリフロジンとエプレレノンの併用は、個々の単独治療と比較して、強固な尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)低下作用が得られた。

根拠となった試験の抄録

背景:SGLT2阻害薬およびミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は、慢性腎臓病(CKD)患者において、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を低下させ、腎臓および心血管保護作用を付与する。我々は、CKD患者において、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジンとMRAであるエプレレノンの単独および併用における有効性と安全性を評価した。

方法:尿中アルブミン排泄量100mg/24時間以上、eGFR 30~90mL/min/1.73 m2、ACE阻害薬(ACEi)またはアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の最大忍容量の安定的な投与を受けている患者を対象に、ランダム化オープンラベルクロスオーバー試験を実施した。投与期間は、ダパグリフロジン10mg/日、エプレレノン50mg/日、またはそれらの併用投与をランダムに選択し、4週間のウォッシュアウト期間を設けた。
主要評価項目は、治療間のUACR変化量の相関とした。副次的アウトカムは、24時間UACRのベースラインからの変化率とした。

結果:スクリーニングされた57例の患者のうち、46例が3つのグループにランダムに割り付けられた(平均eGFR 58.1mL/min/1.73m2、UACR中央値 401mg/g)。ダパグリフロジン、エプレレノン、ダパグリフロジン-エプレレノンの4週間投与後のUACRのベースラインからの平均変化率は-19.6%(95%CI -34.3 ~ -1.5)、-33.7%(95%CI -46.1 ~ -18.5)、-53%(95%CI -61.7 ~ 42.4;P<0.001 vs. ダパグリフロジン;P=0.01 vs. エプレレノン)であった。ダパグリフロジンまたはエプレレノン投与中のUACRの変化は、ダパグリフロジン-エプレレノン投与中のUACRの変化と相関がなかった(それぞれ r=-0.13、P=0.47;r=-0.08、P=0.66)。高カリウム血症はダパグリフロジン(0例:0%)、ダパグリフロジン-エレレノン(2例:4.3%、群間P=0.003)に比べエプレレノンで多く報告された(8例:17.4% )。

結論:ダパグリフロジンとエプレレノンによるアルブミン尿の変化には相関がなく、治療の最適化のためにこれらの治療法を系統的にローテーションすることが支持された。ダパグリフロジンとエプレレノンの併用により、強固な相加的UACR低下作用が得られた。SGLT2阻害剤とMRAの併用療法の長期的な有効性と安全性を確認するために、この集団におけるより大規模な試験が必要である。

臨床試験登録名と登録番号:欧州連合臨床試験登録 EU2017-004641-25

キーワード:アルブミン尿、アルドステロン、慢性腎臓病、ダパグリフロジン、エプレレノン、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、ランダム化比較試験、ナトリウムグルコースコトランスポーター

引用文献

Albuminuria-Lowering Effect of Dapagliflozin, Eplerenone, and their Combination in Patients with Chronic Kidney Disease: A Randomized Cross-Over Clinical Trial
Michele Provenzano et al. PMID: 35440501 DOI: 10.1681/ASN.2022020207
J Am Soc Nephrol. 2022 Apr 19;ASN.2022020207. doi: 10.1681/ASN.2022020207. 
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35440501/

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