mRNA COVID-19ワクチン3回接種によるSARS-CoV-2オミクロンおよびデルタ変異株による症候性感染の予防効果は?(test negative case-control試験; JAMA. 2022)

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SARS-CoV-2の変異ウイルスであるオミクロンに対するmRNA COVID-19ワクチンの有効性は?

2021年11月24日、南アフリカの保健当局がSARS-CoV-2の新型であるB.1.1.529(オミクロン)の出現を報告しました(WHO)。オミクロンは急速に拡大し、2022年1月6日の時点で世界保健機関の全6地域の149ヵ国で確認されています(WHO)。 オミクロンは2021年12月1日に米国で初めて検出され、2022年1月1日までに、シークエンスされた新規症例の95%を占めると推定されています(CDCCDC)。 初期のオミクロン株のシークエンスでは、受容体結合ドメインを含むスパイクタンパク質に30以上の変異があることが確認されました(PMID: 34897752GISAID)。これらの変異は、COVID-19のワクチン接種率やSARS-CoV-2感染の既往が充分に行われている環境であっても患者数が指数関数的に増加していることと相まって、感染性の増加や免疫逃避の可能性について懸念されるようになりました(WHONICDUK HSAECDCCDC)。

そこで今回は、Increasing Community Access to Testing(ICATT)プラットフォームのデータのサブセットを用いて、mRNA COVID-19ワクチンの3回接種(未接種および2回接種)とオミクロンおよびデルタ変異体の症候性感染との関連を推定したtest negative case-control試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

全体として、症例 23,391例(オミクロン13,098例、デルタ10,293例)と対照 46,764例が含まれました(平均年齢 40.3[SD 15.6]歳、女性 42,050[60.1]人)。

mRNAワクチン
3回接種者の割合
mRNAワクチン
2回接種の割合
未接種の割合
オミクロン症例18.6%
(n=2,441)
55.3%
(n=7,245)
26.0%
(n=3,412)
デルタ症例6.6%
(n=679)
44.4%
(n=4,570)
49.0%
(n=5,044)
対照39.7%
(n=18,587)
41.6%
(n=19,456)
18.6%
(n=8,721)

mRNAワクチン3回接種の経験があるのは、オミクロン症例の18.6%(n=2,441)、デルタ症例の6.6%(n=679)、対照の39.7%(n=18,587)であることが報告されています。
mRNAワクチンの2回接種歴は、それぞれ55.3%(n=7,245)、44.4%(n=4,570)、41.6%(n=19,456)、未接種は26.0%(n=3,412)、49.0%(n=5,044)、18.6%(n=8,721)と報告されています。

3回接種と未接種の調整オッズ比(aOR)3回接種と2回接種のaOR
オミクロン感染リスクaOR 0.33
(95%CI 0.31〜0.35
aOR 0.34
(95%CI 0.32〜0.36
デルタ感染リスクaOR 0.065
(95%CI 0.059〜0.071
aOR 0.16
(95%CI 0.14〜0.17

3回接種と未接種の調整オッズ比は、オミクロンで0.33(95%CI 0.31〜0.35)、デルタで0.065(95%CI 0.059〜0.071)、3回接種と2回接種の調整オッズ比はオミクロンで0.34(95%CI 0.32〜0.36)、デルタで0.16(95%CI 0.14〜0.17)であった。

周期閾値の中央値は、オミクロン、デルタともに3回接種例と2回接種例で有意に高かった(オミクロンN遺伝子:19.35 vs. 18.52、オミクロンORF1ab遺伝子:19.25 vs. 18.40、デルタN遺伝子:19.07 vs. 17.52、デルタORF1ab遺伝子:18.70 vs. 17.28、デルタS遺伝子:23.62 vs. 20.24)。

コメント

SARS-CoV-2ウイルスの変化はめまぐるしく、次々に新しい変異ウイルスが報告されています。中でもデルタとオミクロンは伝播が強いことから危険性について懸念されています。

さて、本試験結果によれば、mRNA COVID-19ワクチンの3回接種は、検査陰性対照者と比較して、症状を有するSARS-CoV-2感染者では低いことが明らかとなりました。つまり、ワクチンを3回接種していることでSARS-CoV-2感染を防げる可能性が高いことが示されました。また、ワクチン3回接種により、未接種および2回接種と比較して、オミクロンおよびデルタに対して、より感染リスクを低下できることが示唆されました。デルタとオミクロンの比較において、ワクチン接種は、デルタに対する防御よりも、オミクロンに対する防御が低い可能性が示されました。とはいえ、ワクチン未接種と比較すれば、ワクチン接種によりSARS-CoV-2(オミクロン)感染予防効果は示されています。

11歳未満の小児におけるワクチンのリスク・ベネフィットはまだ充分とはいえませんが、少なくとも成人においてはワクチンを接種する方が有益であると考えられます。特に高齢者や免疫機能が低下している人と同居、あるいは濃厚接触する機会がある場合は、ワクチン接種は必須でしょう。

vaccine text and a person wearing latex glove while holding a syringe on pink background

✅まとめ✅ mRNA COVID-19ワクチンの3回接種(未接種および2回接種と比較)は、検査陰性対照者と比較して、症状を有するSARS-CoV-2感染者では可能性が低いことがわかった。

✅まとめ✅ mRNAワクチンの3回接種を受けた場合、未接種および2回接種を受けた場合と比較して、オミクロンおよびデルタの両変種に対する防御に関連することが示唆されたが、デルタと比較してオミクロンに対する防御が低いことも示された。

根拠となった試験の抄録

試験の重要性:急速に拡大しているSARS-CoV-2変異体であるオミクロンに対するCOVID-19ワクチンの性能を評価することは、公衆衛生の指針を示す上で極めて重要である。

目的:Pfizer-BioNTech BNT162b2 または Moderna mRNA-1273 ワクチンの3回接種と症候性 SARS-CoV-2感染の関連を、変種ウイルス(オミクロン Omicronおよびデルタ Delta)ごとに層別化して推定することである。

試験デザイン、設定、参加者:全国の薬局ベースの検査プログラム(米国49州にわたる4,666のCOVID-19検査施設)により2021年12月10日から2022年1月1日に検査したCOVID様疾患を有する18歳以上の成人におけるtest negative case-control(検査陰性ケースコントロール)解析。

曝露:mRNA COVID-19ワクチン3回接種(3回目は検査の14日前以上、2回目は6ヵ月後以上) vs. 未接種 vs. 検査の6ヵ月以上前に2回接種(つまりブースター接種対象者)。

主要アウトカムおよび指標:症候性SARS-CoV-2感染(S遺伝子標的不全を用いて定義されたオミクロンまたはデルタ変異体により層別化)とワクチン接種(3回接種 vs. ワクチン非接種、3回接種 vs. 2回接種)の関連性。関連性は多変量多項式回帰で測定した。症例では、変異型とワクチン接種の有無で層別化した3つのウイルス遺伝子のサイクル閾値(標的核酸の存在量に反比例する)の中央値を副次的評価項目とした。

結果:全体として、症例 23,391例(オミクロン13,098例、デルタ10,293例)と対照 46,764例が含まれた(平均年齢 40.3[SD 15.6]歳、女性 42,050[60.1]人)。mRNAワクチン3回接種の経験があるのは、オミクロン症例の18.6%(n=2,441)、デルタ症例の6.6%(n=679)、対照の39.7%(n=18,587)であることが報告されている。mRNAワクチンの2回接種歴は、それぞれ55.3%(n=7,245)、44.4%(n=4,570)、41.6%(n=19,456)、未接種は26.0%(n=3,412)、49.0%(n=5,044)、18.6%(n=8,721)であると報告されている。
3回接種と未接種の調整オッズ比は、オミクロンで0.33(95%CI 0.31〜0.35)、デルタで0.065(95%CI 0.059〜0.071)、3回接種と2回接種の調整オッズ比はオミクロンで0.34(95%CI 0.32〜0.36)、デルタで0.16(95%CI 0.14〜0.17)であった。
周期閾値の中央値は、オミクロン、デルタともに3回接種例と2回接種例で有意に高かった(オミクロンN遺伝子:19.35 vs. 18.52、オミクロンORF1ab遺伝子:19.25 vs. 18.40、デルタN遺伝子:19.07 vs. 17.52、デルタORF1ab遺伝子:18.70 vs. 17.28、デルタS遺伝子:23.62 vs. 20.24)。

結論と関連性:2021年12月に米国でCOVID様疾患の検査を受けた人のうち、mRNA COVID-19ワクチンの3回接種(未接種および2回接種と比較)は、検査陰性対照者と比較して、症状を有するSARS-CoV-2感染者では可能性が低いことがわかった。これらの結果から、mRNAワクチンの3回接種を受けた場合、未接種および2回接種を受けた場合と比較して、オミクロンおよびデルタの両変種に対する防御に関連することが示唆されたが、オミクロンに対する高いオッズ比は、デルタに対する防御よりも、オミクロンに対する防御が低いことを示唆している。

引用文献

Association Between 3 Doses of mRNA COVID-19 Vaccine and Symptomatic Infection Caused by the SARS-CoV-2 Omicron and Delta Variants
Emma K Accorsi et al. PMID: 35060999 DOI: 10.1001/jama.2022.0470
JAMA. 2022 Jan 21. doi: 10.1001/jama.2022.0470. Online ahead of print.
— 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35060999/

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