中二病の特徴とは?
「中二病」とは、日本で思春期に発生する特徴的な一過性の体調不良を表す言葉です(IRCS UNUD Journals. 2017、9784000246491、椙山女学園大学研究論集 人文科学篇 2015、978-4-7753-0685-7)。中二病という概念は、1990年代にラジオ番組で開発され、2000年代に入って急速に広まりました(4575154458)。「中二」は第8学年、「病」は病気を意味するため、中二病は「第8学年症候群」(JMCS. 2020)または「第8学年病」(IRCS UNUD Journals. 2017)と訳されています。しかし、中二病はICD-11(International Classification of Diseases 11th Revision)に分類される疾患ではありません(ICD-11, 2019)。
自分を大切に見せようとするなど、中二病に特徴的な行動は、思春期の情動発達の過程で観察され(IRCS UNUD Journals. 2017、椙山女学園大学研究論集 人文科学篇 2015、4575154458、PMID: 22538178)、中二病に関連する行動は、思春期以降に自然に解消されることが多いとされています(978-4-7753-0685-7、4575154458)。これらの変化は、思春期に経験する通常の変化とは異なるもののようです。 中二病の人は、思春期に一時的に超自然的な力を手に入れてしまうことについて十代の空想を引き出すような、攻撃的、欠損的、妄想的、内向的、誇大的な行動や、アニメ、漫画、コスプレ、ゲームに見られるような日本文化特有のキャラクターに言及するような行動をとります(IRCS UNUD Journals. 2017、4575154458、JMCS. 2020)。例えば、中二病の人は、悪魔から与えられた力を「封印」するために、傷ついていない腕に包帯を巻いたり、自分は超自然的な存在を見ることができると主張したり、「研究者」や「ドリームソルジャー」などのより高次の名称を自分で呼称したりすることがあります(IRCS UNUD Journals. 2017、978-4-7753-0685-7)。また、コミュニケーション能力の低下、原因不明のストレス、いじめ、大人になっても中二病のままなど、中二病にまつわる問題を経験する人もいます(IRCS UNUD Journals. 2017、9784000246491、978-4-7753-0685-7、4575154458)。
中二病は病気ではないため、中二病への関心は低く、中二病の”子供”に対して十分な対策がとられていません。中二病に関心を持つ人が増えれば、中二病の子供を取り巻く家族、教師、友人、大人がより良い環境を提供できるようになる可能性があります。 しかし、これまでの研究では、中二病の詳細な特徴の報告は充分ではなく、中二病の定義が標準化されていません。
そこで今回は、中二病に関する同名の質問紙を作成し、中二病によって経験した問題を調査することで、中二病の特徴を明らかにした日本の横断研究の結果をご紹介します。
試験結果から明らかになったことは?
中二病群の年齢中央値は31歳で、男性が多く(n=79、64.8%)、何らかの問題があると回答した人の割合が比較的高いことが示されました(n=82、67.2%)。
設問内容でYESと回答 | 中二病群 (122例) | 非中二病群 (192例) |
「学力テストは自分の真の価値を反映していない」 | 47.5% (58例) p=0.024 | 35.4% (66例) |
「世界に居心地の悪さを感じる」 | 61.1% (77例) p<0.001 | 34.9% (67例) |
「空想の友人や彼氏・彼女がいる」 | 32.0% (39例) p<0.001 | 5.2% (10例) |
中二病群では「学力テストは自分の真の価値を反映していない」と感じている回答者の割合が高く(n=58、47.5% vs. n=66(35.4%)、p=0.024)、「世界に居心地の悪さを感じる」(n=77、61.1% vs. n=67、34.9%、p<0.001)、「空想の友人や彼氏・彼女がいる」(n=39、32.0% vs. n=10、5.2%、p<0.001)と回答した人の割合も高いことが示されました。
問題のある中二病サブグループとそれ以外のサブグループでは同様の結果でした。中二病に対してネガティブな印象を持っている人は80例(25.4%)、ポジティブな印象を持っている人は21例(6.7%)でした。
コメント
中二病という思春期特有の状態について、日本から初めて報告された非常に興味深い研究です。オンラインアンケート結果の結果ですので、あくまでも傾向が認められたということですが、概ね予想通りの結果です。
さて、本試験結果によれば、中二病群では「学力テストは自分の真の価値を反映していない」、「世界に居心地の悪さを感じる」、「空想の友人や彼氏・彼女がいる」と回答した人の割合が高いことが示されました。
もしかすると一種の防衛反応なのかもしれないですね。続報に期待。
✅コメント✅ 中二病を経験した集団の体験や思考を収集することで、日本における中二病の特徴が明らかとなった。
根拠となった論文の抄録
背景:「中二病」とは、日本の思春期特有の一過性の精神状態を表す言葉であるが、その特徴や正確な定義は標準化されていない。中二病の認知度が上がれば、中二病経験者の環境改善につながる可能性がある。本研究では、中二病の特徴と問題点を明らかにすることを目的として、無記名の質問紙を用いて調査を行った。
材料と方法:2021年2月に日本で匿名のオンラインアンケートを実施した。合計314例のボランティアが匿名のオンラインアンケートに回答した。回答者を中二病群(n=122)と非中二病群(n=192)に分け、両群間でアンケート回答を比較した。さらに、問題のある中二病群(n=82)とそれ以外の中二病群(n=232)の間で回答を比較した。
主要評価項目は、「中二病を経験したことがある」または「中二病を発症したと言われたことがある」という項目への回答に基づいて、中二病グループを特定することであった。
結果:中二病群の年齢中央値は31歳で、男性が多く(n=79、64.8%)、何らかの問題があると回答した人の割合が比較的高かった(n=82、67.2%)。また中二病群では、「学力テストは自分の真の価値を反映していない」と感じている回答者の割合が高く(n=58、47.5% vs. n=66(35.4%)、p=0.024)、「世界に居心地の悪さを感じる」(n=77、61.1% vs. n=67、34.9%、p<0.001)、「空想の友人や彼氏・彼女がいる」(n=39、32.0% vs. n=10、5.2%、p<0.001)と回答した人の割合が高かった。問題のある中二病サブグループとそれ以外のサブグループでは同様の結果であった。また、中二病に対してネガティブな印象を持っている人は80例(25.4%)、ポジティブな印象を持っている人は21例(6.7%)であった。
結論:本研究は、中二病を経験した人の体験や考えを収集することで、中二病の特徴を報告した初めての研究である。
引用文献
Characteristics of “chūnibyō” identified by a questionnaire
Masafumi Shimoda et al. PMID: 34818343 DOI: 10.1371/journal.pone.0260375
PLoS One. 2021 Nov 24;16(11):e0260375. doi: 10.1371/journal.pone.0260375. eCollection 2021.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34818343/
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