高齢者の心血管リスクにおける運動トレーニングの効果はどのくらい?(RCT; Eur Heart J. 2021)

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高齢者における長期の運動トレーニング効果はどのくらいか?

高齢者は加齢に伴い身体機能の低下、心血管イベントのリスク増加が報告されています。高齢者の心血管リスクプロファイルにおける運動トレーニングの効果は明らかになっていません。

そこで今回は、高齢者の心血管リスクプロファイルに対して、5年間の監督付き運動トレーニング(ExComb)の効果を検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。さらに本試験では、高強度インターバルトレーニング(HIIT)と中強度連続トレーニング(MICT)のサブグループの差分効果を対照群と比較しました。

本試験の対象となったのは、ノルウェーのトロンハイムに住む70~77歳の高齢者(n=1,567、女性50%)でした。試験参加者は、週2回のHIIT(ピーク心拍数(HR)の約90%、n=400)またはMICT(ピーク心拍数の約70%、n=387)のセッションを5年間行い、ExComb群(n=787)と、対照群(身体活動の推奨事項に従うように指導される、n=780)にランダムに割り付けられました。主要評価項目は、連続的な心血管リスクスコア(CCR)、個々の心血管リスク因子、およびピーク酸素摂取量(VO2peak)でした。

試験結果から明らかになったことは?

ExComb群では、対照群と比較して、心血管リスクスコア(CCR、-0.19、99%信頼区間(CI)-0.46~0.07)、VO2peak(0.39mL/kg/min、99%CI -0.22~1.00)に有意な差が認められませんでした。

サブグループ解析において、HIITでは、VO2peak(0.76mL/kg/min、99%CI 0.02~1.51)は高かったものの、CCR(-0.32、99%CI -0.64~0.01)は対照と比べて低くなりました。一方、MICTでは、対照群およびHIITと比較して、有意な差を示しませんでした。個々のリスクファクターは、HIITが対照群よりも優れているという例外を除き、ほとんど群間で有意な差を示されませんでした。また、性別による有意な効果の修飾は認められませんでした。さらに心血管イベント数は群間で同程度でした。

健康でフィットした研究サンプル、介入群間のコンタミネーションとクロスオーバーにより、群間差を検出できる可能性は低いことが考察されます。

コメント

運動による心血管や死亡リスクの低下が報告されていますが結果は一貫していません。また高齢者における運動効果については充分に検討されていません。

さて、本試験結果によれば、5年間の監督付き運動トレーニングは対照群(身体活動の推奨事項に従うように指導された)と比較して、心血管リスクスコア及びVO2peakに影響が認められませんでした。サブグループ解析の結果ではありますが、高強度インターバルトレーニングによる心血管リスクスコアの低下が示されました。追試が求められますが、高齢者においても心血管リスクを低下させるためには、高強度の運動が必要なのかもしれません。ただし、5年間の持続的な運動トレーニングが必要であることから、持続可能なトレーニングが求められます。そもそもフレイルや基礎疾患を有している集団では運動の継続自体が困難となる可能性が高いです。今後は、どのような集団で運動効果がより得られるのか検証していく必要があると考えます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 高齢者を対象とした5年間の指導付き運動トレーニングは、心血管リスクプロファイルにほとんど影響を及ぼさず、心血管イベントも減少しなかった。

根拠となった試験の抄録

目的:本研究の目的は、高齢者の心血管リスクプロファイルに対して、5年間の監督付き運動トレーニング(ExComb)の効果、および高強度インターバルトレーニング(HIIT)と中強度連続トレーニング(MICT)のサブグループの差分効果を対照群と比較することであった。

方法:ノルウェーのトロンハイムに住む70~77歳の高齢者(n=1,567、女性50%)を対象に、週2回のHIIT(ピーク心拍数(HR)の約90%、n=400)またはMICT(ピーク心拍数の約70%、n=387)のセッションを5年間行い、ExCombを併用する群(n=787)と、対照群(身体活動の推奨事項に従うように指導される、n=780)にランダムに割り付けた。
主要評価項目は、連続的な心血管リスクスコア(CCR)、個々の心血管リスク因子、およびピーク酸素摂取量(VO2peak)であった。

結果:ExCombでは、対照群と比較して、心血管リスクスコア(CCR、-0.19、99%信頼区間(CI)-0.46~0.07)、VO2peak(0.39mL/kg/min、99%CI -0.22~1.00)に有意な差が認められなかった。
HIITでは、VO2peak(0.76mL/kg/min、99%CI 0.02~1.51)は高かったが、CCR(-0.32、99%CI -0.64~0.01)は対照と比べて低くなかった。
MICTでは、対照群およびHIITと比較して、有意な差を示さなかった。個々のリスクファクターは、HIITが対照群よりも優れているという例外を除き、ほとんど群間で有意な差を示さなかった。
性別による有意な効果の修飾はなかった。
心血管イベント数は群間で同程度であった。健康でフィットした研究サンプル、介入群間のコンタミネーションとクロスオーバーにより、群間差を検出できる可能性は低かった。

結論:高齢者を対象とした5年間の指導付き運動トレーニングは、心血管リスクプロファイルにほとんど影響を及ぼさず、心血管イベントも減少しなかった。

臨床試験登録:ClinicalTrials.gov: NCT01666340

キーワード:高齢化、心肺機能、心血管リスク因子、運動、高強度インターバルトレーニング

引用文献

Effect of 5 years of exercise training on the cardiovascular risk profile of older adults: the Generation 100 randomized trial
Jon Magne Letnes et al. PMID: 34746955 DOI: 10.1093/eurheartj/ehab721
Eur Heart J. 2021 Nov 8;ehab721. doi: 10.1093/eurheartj/ehab721. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34746955/

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