痛風患者の心血管リスクはアロプリノール開始とベンズブロマロン開始、どちらで高い?(韓国 人口ベースコホート研究; Eur Heart J. 2021)

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痛風に伴う心血管疾患リスクは尿酸降下薬により異なる?

痛風患者を対象にフェブキソスタットを用いた臨床試験で、心血管死の増加傾向が示唆されました。その後に米国で行われたCARES試験において、アロプリノールと比較して、心血管死および全死亡の増加が報告されました。一方、欧州で行われたFAST試験では、フェブキソスタットとアロプリノールを比較したところ、心血管死や全死亡に差は認められませんでした。

また、痛風に伴う心血管疾患の罹患率が高いことから、尿酸降下薬それぞれの心血管(CV)安全性の比較に関する情報はますます重要になっています。しかし、尿酸降下薬のCVリスクを検討した研究は充分に行われていません。

そこで今回は、アロプリノールとベンズブロマロンを開始した痛風患者におけるCVリスクを比較検討した韓国の研究結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

平均1.16年の追跡期間中に、2,258例が複合CVイベントを発症しました。

アロプリノール開始ベンズブロマロン開始群
複合CVイベントの発生率1.81/100人・年1.61/100人・年
複合CVイベントのハザード比(HR)1.22
(95%CI 1.05〜1.41
vs. ベンズブロマロン
全死亡のHR1.66
(95%CI 1.43〜1.93
vs. ベンズブロマロン
複合CVイベント:心筋梗塞、脳卒中/一過性脳虚血発作、冠動脈血行再建術の複合

複合的なCVイベントの発生率は、アロプリノール開始群(1.81/100人・年)の方がベンズブロマロン開始群(1.61/100人・年)よりも高く、HR 1.22(95%CI 1.05〜1.41)でした。

全死亡のHRは、ベンズブロマロン開始者と比較して、アロプリノール開始者で1.66(95%CI 1.43〜1.93)でした。

コメント

尿酸と心血管リスクについて、関連性は示されているものの、決定的な因子は特定されていません。これまでの研究では、尿酸値が高くても低くても死亡リスクが高いことが報告されています。一方、痛風患者においては心血管リスクの高さが示されていることから、痛風患者における尿酸降下薬の選択が求められています。

さて、痛風患者を対象に、アロプリノール(尿酸排出促進薬)とベンズブロマロン(尿酸生成抑制薬)を比較した韓国のコホート研究の結果によれば、心筋梗塞、脳卒中/一過性脳虚血発作、冠動脈血行再建術の複合CVエンドポイントの発生が、有意に高いことが示されました。さらに全死亡の発生についても高いことが示されました。主要評価項目は複合であることから、個々のアウトカムの発生についてもみていく必要がありますが、本論文は有料であるため詳細を確認することができませんでした。

とは言え、心血管イベントの発生だけでなく死亡リスク増加の可能性が示されたことから、今後の研究結果に注目していきたいところです。

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✅まとめ✅ 集団ベースの痛風患者コホートにおいて、アロプリノールはベンズブロマロンと比較して、複合CVイベントおよび全死亡のリスク上昇と関連していたが、あくまでも仮説生成的な結果であり、追試が求められる。

根拠となった試験の抄録

目的 : 痛風とそれに伴う心血管疾患の罹患率が高いことから、個々の尿酸降下薬のCV安全性の比較に関する情報はますます重要になっている。しかし、尿酸降下薬のCVリスクを検討した研究は少ない。我々は、アロプリノールとベンズブロマロンを開始した痛風患者のCVリスクを比較した。

方法:韓国国民健康保険の請求データ(2002~17年)を用いて、アロプリノール(n=103,695)またはベンズブロマロン(n=20,739)のいずれかを開始した痛風患者124,434例を、傾向スコアで5:1の割合でマッチさせてコホート研究を行った。
主要評価項目は、心筋梗塞、脳卒中/一過性脳虚血発作、冠動脈血行再建術の複合CVエンドポイントとした。死亡の競合リスクを考慮して、原因別のハザードモデルを用いて、アロプリノール開始者とベンズブロマロンを比較したアウトカムのハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

結果:平均1.16年の追跡期間中に、2,258例が複合CVイベントを発症した。複合的なCVイベントの発生率は、アロプリノール開始者(1.81/100人・年)の方がベンズブロマロン(1.61/100人・年)よりも高く、HR 1.22(95%CI 1.05〜1.41)であった。全死亡のHRは、ベンズブロマロン開始者と比較して、アロプリノール開始者で1.66(95%CI 1.43〜1.93)であった。

結論:この大規模な集団ベースの痛風患者コホートにおいて、アロプリノールはベンズブロマロンと比較して、複合CVイベントおよび全死亡のリスク上昇と関連していた。ベンズブロマロンは痛風患者のCVリスクと死亡率を低下させる可能性があるが、今回の結果を確認し、そのメカニズムの理解を深めるためにはさらなる研究が必要である。

キーワード アロプリノール、ベンズブロマロン、心血管リスク、痛風、高尿酸血症

引用文献

Cardiovascular risk associated with allopurinol vs. benzbromarone in patients with gout
Eun Ha Kang et al. PMID: 34508567 DOI: 10.1093/eurheartj/ehab619
Eur Heart J. 2021 Sep 11;ehab619. doi: 10.1093/eurheartj/ehab619. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34508567/

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